SYMPHOBIA

クラシック・ミーツ・ポップ、再び!
ジャンルの壁を鮮やかに横断する「SYMPHOBIA」始動

ヒップホップとクラシックを融合させたポップ・サウンドを身上とするロベルト・“ジオ”・ローサン、新プロジェクトのシンフォビアで再始動である。ジオは1997年にバッハの“G線上のアリア”をモチーフにした“Everything’s Gonna Be Alright”を世界中で大ヒットさせたユニット、スウィートボックスのソングライターとして活躍していたことでも知られるが、2007年に脱退。その後、このクラシック=ポップ路線はもっぱらスウィートボックスの看板になっていたわけだが、今回ヴォーカルのアディーシャと新ユニット、シンフォビアを結成し、満を持してクラシック=ポップ全開のアルバムを用意してきたのである。ほぼ全曲クラシックの名曲を使いつつ、ジオ特有のモダン・ポップを聴かせる内容になっていて、そこにMCも歌も卓越したアディーシャのヴォーカル・パフォーマンスが加わる。おそらくシンフォビアはジオにとって長年描いてきた音が今初めて現実に鳴ったといえるユニットなのだ。

(文=高見展)

渾身のファースト・アルバム『ノクターン』

もともとは殺人的にキャッチーなメロやフックをオリジナルとして聴かせるのがジオの最大の強みで、クラシック曲を自作曲にちりばめるのはあくまで一つのアレンジとしてのもの。しかし、自作パートとその時々のクラシック曲の組み合わせには天才的なものがあって、これがジオの創作にもクラシック曲にも強力な相乗効果をもたらして作用していくところは今回の『ノクターン』でも最大の魅力となっている。たとえば『白鳥の湖』使いの“I Do I Do”や『運命』使いの“We Are”などはあからさまなクラシック・ネタとして始まるが、アディーシャの骨っぽいMCでそこをしっかり中和させてから、とてつもなく冴えたブリッジを聴かせるところなどはジオにとってきっと会心の出来となっているはず。そうした意味でアディーシャの資質なしには考えられなかった内容になっていて聴き応えがあるし、浅田真央のレパートリーとしても聴き覚えのあるラフマニノフがリアーナばりのミッド・テンポ・チューンへと変貌していく様なども刺激に満ちていて、まさに渾身の内容となっているのだ。

We Are feat. Daniel Dice
I Do I Do
What’s Done Is Done

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