互いのバンド論を熱く語り合う、
同い年・相思相愛対談!

 THE BACK HORNとアルカラ。お互いに、他に似たバンドがいないある意味孤高の存在でありつつ、濃密で一筋縄ではいかない楽曲世界を持ち、ライヴでは一度観たら忘れられないほどの圧倒的な熱量を放つ、という共通点があるこの2バンド。更にもっと言えばとても真面目で、10年以上活動してきても、一つ所に留まることなく進化を続けている部分も同じだと常々思っていた。そんな2組がそれぞれ、11thアルバム『運命開花』(THE BACK HORN)、8thアルバム『ちぎれろ』(アルカラ)をリリースするということで、今回、菅波栄純(G)と稲村太佑(Vo・G)の対談が実現した! バンドとしてのキャリアに差はあるが、実はふたりは同い年。お互いのバンドに対する印象から自分たちのバンド論、そして世代論まで存分に語り合ってもらった。

インタヴュー・撮影=塚原彩弓

「江戸時代やったらこんなんまともに戦えへんので、もう暗殺したいです」って(笑)(稲村)

ライヴ中の稲村さんって時々冷静で、目からビーム出てる感じで客席を見回してる時がある(菅波)

――おふたりは仲がいいと伺ってます。

稲村 最近ですけどね。

菅波 急激に。

――初めて会ったのはいつなんですか?

稲村 2年ぐらい前に大阪の清水音泉のイベントで。

菅波 3マンだっけ? 後藤まりこちゃんと。今考えればすげえイベントだったよね。

稲村 それでちょっと近づいて、また何回かフェスとかイベントとかで一緒になって、その都度話していきつつ。山田(将司/Vo・THE BACK HORN)さんとは対談をする機会もあって。年上やと思ってずっと敬語を使ってたら、どうやら一緒やってわかったから。徐々に減らしていくスタイルで、「これいいやんなー、これはこうって思うねんけど、まあそれはいいと思いますよ」みたいな。

菅波 ははははは! 混ざり期間。

稲村 で、混ざり合ってるって察知されたらあかんから、いきなり山田さんのことを「ヤマピー」って言って。胸ぐら掴みながらも距離感を保つ、ヒットアンドアウェイ。僕からしたらずっと雲の上のさらに上にいる人だったから。

菅波 どこにいるの俺ら(笑)。

――菅波さんはアルカラのことは知ってたんですか?

菅波 俺はまずYouTubeで観て。すげえ若くてキレたバンドが出てきたなと思って、怖え怖えと思ってたら、なんか同い年っぽいと(笑)。でもそう考えるとちょっとびっくりしますけどね。

――初めて会った時のお互いの印象ってどんな感じでした?

稲村 僕はもっと前の、バックホーンがハタチとか22とかぐらい、もうデビューして話題になっていく中でバックホーンのことを好きだっていう神戸の後輩たちがいて、「めっちゃいいんですよ」って自分たちのライヴの登場SEで使ったりとか。

菅波 まじで?(笑)。

稲村 そういう存在だったんです。で、実際ライヴを観たら、「あ、全然もう想像つかんところに行ってるわ」って。僕らはまだ全然やわって思いました。それで、どうしたら僕らを気にかけてくれるだろうって思って、顔と名前を印象に残していかないとって。「あの毎回なんか挨拶してくる奴な」みたいなところから始まって、「あいつなんかええ奴やから、ライヴちょっとどんな感じでやってんのか観よっかなー」っていうところにどう火をつけていくかっていう。

菅波 すげえ、そう思ってたんだ。

稲村 それが(THE BACK HORN「KYO-MEIツアー」)札幌の打ち上げでもう「栄純」扱いですよ、一気に。「お酒好きなん?」みたいな(笑)。ガッと行かないと、やっぱすごい音楽家として見てしまうと話が止まってしまうんで、ただのそのへんの連れやと思いながら。

菅波 そんなことを思ってくれてるとはつゆ知らず。いやー、うれしいですけどね。

――憧れもありつつ、かなり闘争心があったってことですよね。

稲村 追う側やっていう気持ちがあるので。

菅波 えー! まじ?

稲村 ライヴもぶっちぎりでかっこいいんですよ。たとえばバックホーンっていうバンドは、野球で言えば、4人がいてナインが揃う、みたいな。ひとりひとりの出るところと引くところと。音楽的に言えば支える側に徹するか、あるいは攻めるかという。どうやってんねやろなって思うぐらい、全員が全員の役目をしっかり果たしているというか。

菅波 (笑)すごくうれしい。

稲村 音源とかはある程度ドーピングできるじゃないですか。やり直しもできるし。何回もライヴを観てるけど、いつも、この唯一無二感は何なんやろと思いながら。この前も札幌でご一緒させてもらった時に、地元のラジオの方に「どうでした?」って訊かれて。「江戸時代、幕末やったらね、このバンド斬ってましたわ僕」って。「こんなんまともに戦えへんので、もう暗殺したいです」って答えて(笑)。

――真正面からじゃなくて暗殺っていう(笑)。菅波さんがアルカラを知ったのはいつなんですか?

菅波 たぶん“キャッチーを科学する”のタイミングですね。YouTubeでPVを観たのが最初だから。「わー、完成度が高え」って思った(笑)。曲とか演奏とか見た目も含めて。メロディは絶対日本人がキュンと来る、脈々と流れてるツボを押さえてるし、ギターはポストロックっぽかったり急にハードロックっぽくなったり、でも歌詞はちょっと引っかき回す感じで。あの曲はそういう要素がバランス良く詰まっていて。でも「似てるな」って思ったのはほんとに札幌の時で。ツーマンをやるとわかるんですけど、ライヴ中の稲村さんって、わーってお客さんを煽ってるし、自分もガーッと入り込んでるけど、時々なんか冷静な、目から緑のビーム出てるような感じで客席を見回してる時がある。

稲村 (笑)。

菅波 なんかこの人って冷静と混乱の狭間を行き来してるようなタイプなんだなと思って。自分も結構そういうところがあって、ライヴ中もわけわかんなくなってる時と、目からビームが出て、一番後ろのお客さんまでなんとなく感じがわかってる時と両方あるから、なんか似てるのかもしれないなと思って。

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