水曜日のカンパネラ・コムアイ×Moodoïd、スペシャル対談! コラボ楽曲“マトリョーシカ”について、ふたりの「共通言語」で語り合う

水曜日のカンパネラ・コムアイ×Moodoïd、スペシャル対談! コラボ楽曲“マトリョーシカ”について、ふたりの「共通言語」で語り合う

いろんな表現の仕方を持っているから、この人とならコラボレーションができると思ったんです(コムアイ)


──パブロ自身にとって、水曜日のカンパネラの印象はどういうものだったんですか。

パブロ 水曜日のカンパネラについては、ヨーコに紹介してもらって、ミュージック・ビデオもすべて観ていったんですけど、ぼくには本当に新鮮なもので。もともとぼくが日本のシーンについてはよく知らなかったということもあるんだろうけど、でも、この音楽のクリエイティビティには本当に驚かされました。コムアイの声も大好きになったから、水曜日のカンパネラと仕事ができることになって本当に嬉しかったです。

コムアイ わたしのMoodoïdの印象は、まずパブロがなんでもかんでもやっていて、それはやっぱりわたしにはできないことだなというのがあって。わたしはしっかり調理されたお料理に乗っかっているようなもので、それに対してパブロは自分たちのミュージック・ビデオまで撮ってるわけだから。たとえば、わたしのひとつの強味として、自分の身体を使って何かを視覚化してみせるというのがあるんですけど、パブロもそれができるし、そこがまたすごくインスピレーションになったり。男の人でもこれができちゃうんだあって思いました。忌野清志郎さんとかデヴィッド・ボウイとかすごくかっこいいし、彼がそのふたりを好きかどうかはわからないですけど、パブロはメイクアップも自分でやっているそうなので、なんでもするなあって。ビデオもすごくしっかりしているけど、本人は映画も好きみたいで、ちゃんとコンセプトもあるし。だから、音楽だけをやるっていうんじゃなくて、いろんなことが多角的に好きで、この人とだったら一緒にミックスして作っていけるというところで、話がしやすいと思いました。わたしも音楽だけじゃないから、全然。むしろ、音楽は一番最後に自分に来たっていう感じだったから。踊るにしても、ビデオの演出にしても、作曲にしても、演奏するにしても、いろんな表現の仕方を持っているから、この人とならコラボレーションができると思ったんです。

パブロ それはキミもまた同じことで、キミもキミの宇宙を作り上げているわけだから。ビデオやそれ以外のいろんなものでもね。ぼくもそこが気に入って、インスピレーションになったところもあるんです。

──Moodoïdは最新EP『Reptile』で、初期にはなかったような強烈なビートとグルーヴをエレクトロ・ポップの世界に導入していて、これがすさまじいポップな魅力をもたらしているわけですけど、それはまた、水曜日のカンパネラの『SUPERMAN』までの作品世界ともすごく通じるところもあるわけです。パブロからみて、水曜日のカンパネラの魅力とはどういうものだったんでしょうか。

パブロ ぼくから言わせてもらうと、水曜日のカンパネラの音はとても未来派的なものなんですよ。むしろ未来から届けられてきた音楽のような感じがするんです。“マトリョーシカ”についても、そこがすごく気に入ってるところで、ものすごく曲としてよくできているし、新しいし、ぼくたちのやっていることと共通しているところはまったくないと思うくらいです。ぼくのやっている音楽は、もっとノスタルジックなものだから。もっと80年代とか、いろんな過去のバイブが放り込まれたミックスになっていて、そこにはノスタルジーがたくさん詰まっているんですね。なんせぼくはイエロー・マジック・オーケストラとか、プリンスとか、そういうのが大好きだから。

──その辺、コムアイさんはどう思います?

コムアイ それはパブロだけじゃなくて、フランスのアーティストってすごくノスタルジーに向かうところがあるのかなあと思っていて。フランスのアーティストには大好きな人もいるけど、みんなそういう要素を持っているなあと。でも、そこが好きでもあって、ほかの国のミュージシャンとは違うと思うんです。すごく若いアーティストでも、そういうノスタルジーをちゃんと表現できるところがあるから。それはやっぱり、今のフランスの音楽シーンのトレンドなんですかね?

ヨーコさん いや、国民性だと思います。

全員 (笑)。

ヨーコさん (笑)とにかく古いものが好きなんですよ。

パブロ そうそう。だから、ぼくたちはビンテージ・キーボードが大好きだし(笑)、東京に来る時にはそういうキーボードを買おうって、それがすごく楽しみなんですよ。でも、その一方で、フランスではものすごくエレクトロニック・シーンが盛り上がっていて、ダフト・パンクの影響下にあるエド・バンガー・レコードのアーティストたちはみんなすごく新しいものでもあるんですよね。

コムアイ たとえば、日本でも織物とか、古いものはすごく好まれるし、わたしも歌舞伎みたいな伝統芸能とか、歌舞伎の衣裳とか好きなんですね。ただその一方で、東京では古い建物があまり残っていないところもあって。日本の伝統的な建物になると木と紙で作られているところもあるから燃えやすくて、戦争とか、地震とか、大火事で何度となく跡形もなく焼きつくされて、そこにまた建て直して、ということを繰り返してきたところがあって。

パブロ そういうことが日本の音楽でもあったようにぼくは思っていて。ぼく個人としては日本の80年代の音楽シーンがすごく好きなんです。というのも、80年代というのはキーボードなどでまったく新しい機種がいくつも紹介された時代でもあって、東京はそういう楽器の実験室みたいになっていたところがあったんだと思うんです。いろんな人たちがいろんな新しい楽器を使って新しい音楽を試みていたという、そんな時代と場所だったんじゃないかと。


ぼくたちに未来はあるよ(笑)(パブロ)


──では、今回のコラボレーションの結果をあらためて振り返ってみてどう思いますか。将来的にもまた何かやれると思います?

パブロ ぼくたちに未来はあるよ(笑)。フランスでライブをやらなきゃならないから。

コムアイ フランスでもあるし、日本でもあります。

パブロ ぼくたちの新作(6月27日リリースとなるMoodoïdの2ndアルバム『Cité Champagne』)のプロデューサーを務めてくれた友達のピエール(・ルソー)は、Paradis(パラディ)というユニットのメンバーなんですけど、彼がね、みんなでコムアイと一緒にフルアルバムを作りたいって言っていました。

コムアイ ほんとに? わたしでよければいつでもお助けします(笑)。

──すると、今回の“マトリョーシカ”を制作していた時期に、パブロはMoodoïdの新作の制作も進めていたわけなんですか。

パブロ はい。そういうわけで、ぼくのアルバムでもコムアイに歌ってほしいとお誘いしているんです。

コムアイ それがこの“Langage”という曲です。

パブロ オリジナルバージョンと日本語バージョン、ふたつでき上がっている感じです。

コムアイ 今回は“マトリョーシカ”をこっちで作って、パブロに参加してもらって、その一方で向こうで作っている作品にわたしが参加するということになったのが“Langage”なんですよ。その中でわたし、日本語を喋ったりしました(笑)。あと、その“Langage”のビデオをパブロが来週撮るんですよ。だから、それもすごく楽しみで。

──“マトリョーシカ”のビデオではなくて?

コムアイ “マトリョーシカ”は昨日撮りました。

──じゃあ、今後は「MIDNIGHT SONIC」(「SUMMER SONIC 2018」の深夜イベント)にどちらも出演し、ビジュアルでのコラボレーションもお見かけできると。

パブロ ミュージック・ビデオは2本控えているからね。

コムアイ 昨日のは一発撮りで撮りました。わたしとしては、ほかのアーティストと踊ってみるのって初めてのことだったから、いつもとかなり違う感じだったけど、とても自然な感じでもあって。うーん、だから、わたしにとっては新しい体験でした。


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