宮川愛李、再始動の想いを込めた1stフルアルバム『Reboot』を語る

宮川愛李、再始動の想いを込めた1stフルアルバム『Reboot』を語る

あんまり私の想いや歌に振り回されてほしくない

──アルバム全体的に、繊細な情景描写があって、聴き手それぞれの物語や想像力に委ねられていますよね。

「歌詞に本当の私が思ってる気持ちが露骨に出ないように意識してるんです。自分の気持ちを言葉にする時、1個フィルターを置くイメージで。本当のことは言わないけど、ちゃんと気持ちは伝える表現をしたくて。感覚の話なんでわかりづらいかもしれないんですけど、本当に私が伝えたいことは私だけ知ってたいんですよ(笑)。自分でも不思議なんですけど。あんまり私の想いに、歌に、振り回されてほしくないってのもありますし。私自身、音楽がすごい好きで、誰かの曲を聴いてる時、自分の中で勝手にストーリーができあがっていったりするのとか、『私だったらこうするな』ってMVがイメージできたりして盛り上がっていくのがすごく好きなんですね。そういう楽しみ方をしてるのは私だけじゃないかもと思ってるので、私の曲たちにもそういう自由さを持っててほしいんです。別にすごい秘密主義とかじゃないんですけど(笑)、ちょっと秘密があったほうがおもしろいかなって思ってるので、うっすらぼかしてるんですね」

──そのバランスで悩んだりすることはありますか?

「私はまだまだ音楽制作の経験が浅くて。その中で、自分自身でできることは作詞かなと思ってやらせてもらってきてるんですけど、数を重ねていく中で、自分の好きな表現の仕方がある程度決まってくるんですよね。進めれば進めるほど、自分の癖ができてくる。それで狙いすぎちゃったり。でも、それだとたくさんの人に伝わらないんじゃないかって考えたりして、色々立ち止まって考えて悩んで。今回のアルバムは言葉の選び方がすごく難航したんです。やっぱり、一曲一曲レコーディングで歌っていけばいくほど、どうしても自己中心的になってしまうというか。作詞に対して自分の想いが強く入りすぎちゃうところがあったので悩みましたね。レコーディングの最中に何回も修正したりした期間がありました。そういう面では、進みながら止まりながら、みたいな感じで進めていったところがありますね。やっと自分の音楽について知り始められてる時期かなって思ってます」

──たとえば、“思案ブルー”は恋のすれ違いの曲ですが、《変えたくて 変わりたくて/レンズ越しに見つめた君の顔/嫌いも恋もすぐに終わるから 涙に変えてみせるよ》という歌詞があったり、「変えたい」という気持ちがこのアルバムには節々に出てると思ったんですが、それについてはどう思いますか?

「思いきり変えたい感が出てたら恥ずかしいんですけど(笑)、それはあると思います。二十歳っていう切り替えの時期というか、一歩大人になる時期に作ったアルバムなので。もっともっと音楽について知りたいし、自分の楽曲に対する想いや私自身の考えを見つめ直した一年を経ているというのもあります。そのうえで、アルバム全体にそういう私の強い気持ちが乗っかるようにしたので、たぶん節々にそういう想いがいるんだと思います(笑)」

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真っ白な状態での私を楽しんでほしいし、私も楽しみたい

──宮川さんはそもそも、お兄さんが音楽活動をしていることもあって興味を持って、ライブに出たりする中で、自身も音楽活動をやっていこうと決断されたわけですが、今アーティストとしてはどんなことを考えていますか?

「まず、私自身が活動自体を楽しまなきゃと思ってますね。はじめはやっぱり何もかも不安で、心から楽しめてたかっていうとそうではなかったかもしれないです。でも、苦労して、力を出し切った作品が表に出て、リスナーの方の心に届いて、それぞれの心の中で違うストーリーになって曲が流れていくことにすごく充実感を感じたんですね。今回のアルバムを作り上げた達成感もすごく大きかったので、その気持ち良さを感じるために、もっともっと自分自身を知りたいし、表現の仕方も勉強していきたいっていう気持ちになってますね」

──では、「宮川愛李」とは、どんなアーティストだと位置付けますか?

「えー、なんだろう?(笑)。今はびしっとその質問に答えられるようアーティストになれてる自覚はないんですけど。私、長所とか短所とか、自分のことを答えるの苦手なんですよね(笑)。何せ、まさに今どんどん理解している途中なので。なんか思春期みたいなこと言ってますけど(笑)。音楽性に関しても、目指してる具体的な何かがあるわけじゃなくて。いい意味でも悪い意味でも、私が音楽の経験がまだ浅いからこそ、すぐに具体的な道を見つけたくなくて。真っ白な状態から始めて、今はとにかくいろんなところに寄り道して学習してっていうのを繰り返していきたい。まだ二十歳だし、やりたいことがたくさんあるので。だから、真っ白な状態での私を楽しんでほしいし、私も楽しみたいなって思ってますね。あと今回、内澤さんとコラボさせてもらったことが、自分の力になったってすごく実感しているので、また他のアーティストの方とのコラボも積極的にやっていきたいと思ってます」

──アルバムにも収録されている1stシングル“Sissy Sky”のインタビューで、目的なく空を見てることが多いとおっしゃっていて。アルバムの歌詞にも空という単語がいくつも出てきますが、まだまだ何かを探している状態なんでしょうね。

「空が好きなんでしょうね(笑)。なんかノートみたいなイメージなんですよね。空を見上げてぼーっとしてる瞬間に考えてることが、私の本当の気持ちなのかなって思ったりします。作詞もそういう風に湧き上がってきた気持ちをどんどん乗せていったりするので。ぼーっとしてる時間にパッと出てくる感情っていうのが、いちばん自分の真理に近いんじゃないかっていうことをちょうど最近考えてましたね。どうしても、『じゃあ、じっくり考えよう』って思った時って、自分のかっこつけたい部分だとか、理論立てたい部分が出てきてしまって、『いや、なんでだよ!』って自分で突っ込んだりするんですよね(笑)。空を見る時間に限らず、ぼーっとする時間がいちばん正直に自分のことを考えられる時間だと思うので、その時間は大事だと思ってます」

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