【インタビュー】ミヤ(MUCC)×千秋(DEZERT)特別対談!――ターニングポイントを迎えた両バンドのキーマンが語る、音楽と生き様

【インタビュー】ミヤ(MUCC)×千秋(DEZERT)特別対談!――ターニングポイントを迎えた両バンドのキーマンが語る、音楽と生き様

DEZERTは、そもそも夢を持っていたバンドではないんですよ。でもMUCCに出会って「夢がある」と思ったんです、僕は(千秋)

――共演も多い2組ですが、おふたりが初めて会った時のことや、お互いに対しての最初の印象は覚えていますか?

千秋「確かライブを観に行って挨拶に行かせてもらったのが、直接会った最初ですね。むっちゃ怖かったのを覚えています。前から『怖い』って聞いていたし、『特にミヤさんは怖い』って聞いてたんですよ。イメージ通りでした」

ミヤ「怖い怖いと言われて挨拶に来たら、そりゃあ怖くも見えるでしょ。そもそもライブの時はバタバタしているし、どうしたって丁寧に挨拶できなかったりするんだから。それは周りの人がよくない」

千秋「はははは(笑)」

ミヤ「俺は、最初にどうやってDEZERTを知ったのかはもう覚えていないけど……確かミュージックビデオを観たのが最初だったかな。“「殺意」”っていう曲のMVを観たんだと思うけど、『すげえ直接的なバンドだな』と思った。それが第一印象ですね」

――DEZERTにとって、MUCCはどのような存在と言えますか?

千秋「DEZERTは、そもそも夢を持っていたバンドではないんですよ。僕はゼロ年代のネオヴィジュアル系と言われるものを見て育った人間なので、華やかで、金髪で、二次元的な存在……そういうものをど真ん中に見てきたんですよね。二次元という意味では、ボカロも世代だし。ただ、自分らがDEZERTを始めた時、そういう形の表現は自分たちがやるには合わないなと思って。それで『どうやって自分を表現していこうか?』と模索していく中で、白コンを付けて黒い音楽をやり始めたりして。最初は『こっちのほうが俺ららしいけど、絶対に売れへんやろうな』と思いながら、でもバンドは楽しかったから自分の表現として続けているという感じだったんですけど、そこでMUCCに出会ったんです。もちろんMUCCのことは知っていたけど、僕はthe GazettE派だったので、正直『MUCCって怖いな、暗いな』と思っていたんですよ。でも自分でバンドを始めてからですね、こういう音楽で武道館や幕張メッセでライブをやっていて……言い方は失礼かもしれないけど、『夢がある』と思ったんです、僕は。『こんなに暗いことを歌いながら武道館でライブができるんや』って、ひとつの指標になった。確かMUCCは9年くらいで最初の武道館をやったんですけど、『僕らもそのくらいで武道館ができればいいな』と指標を立てた記憶があります」

――ミヤさんからすると、今千秋さんがおっしゃった世代感などはどのように感じますか?

ミヤ「『一回りした世代だな』と感じた記憶はありますね。年齢も一世代下という感じだし、後輩は後輩だけど、結構下だから、あまり接点がない子たち。そういうイメージが最初はありました。だから、活動の仕方も曲の感じも、自分たちの時代にはないものを持っているバンドなんだろうなと」

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    ミヤ(MUCC)

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    千秋(DEZERT)

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ミヤさんは、すげえ音楽的。ミヤさんがいるから、音楽として成り立つ場面は多いと思う(千秋)


――お互いに対して印象に残っている出来事などはありますか?

千秋「MUCCとDEZERTでツーマンツアーをさせてもらった時に、MUCCから『絶対に勝ってやる』みたいな空気が流れていたんですよ。僕からすると『え?』みたいな。大体、先輩ってライブ後に『よかったよ!』とか言ってくれるものじゃないですか。でも、MUCCはそんな感じが一切なくて、めっちゃ怖かった。……『……すげえ大人げないやん』と思って」

ミヤ「ははははは(笑)」

千秋「あとミヤさんのエピソードで言うと、イベントの楽屋でミヤさんに呼ばれて、『おい千秋、“蘭鋳”弾ける?』と言われたんです。それでミヤさんのギターを借りて弾くことになったんですけど、ミヤさんのギターと僕のギターのチューニングが違って。でもスタッフの人が用意してくれたし、弾くしかないから、10分くらいでなんとか練習して弾いたんです。ライブはめっちゃ盛り上がったんですよ。後輩が急遽ステージに出て盛り上がる。いいじゃないですか。そうしたらライブ後の楽屋で、ミヤさんに『おい千秋、ちゃんと弾けよ』って怒られたんです。……『そこ、怒る?』と思って」

――(笑)。

千秋「めっちゃ怖かったんですよ。キレてるほどではないけど、顔がガチやし。『急やったし、チューニングも違うんだから、ええやん。なんやねん……』と思って。それを覚えています(笑)」

ミヤ「そもそも俺だったら、先輩にそう言われて引き受けたらチューニングはまず調べるけどね」

千秋「いやいや……ミヤさんのギターのチューニングは変えれないじゃないですか」

ミヤ「いいでしょ。『変えちゃダメ』なんて言ってねえもん、俺」

千秋「(笑)……まあ、最終的にはめっちゃ真面目なんですよ、ミヤさんは。すげえ音楽的。いくら楽しかろうが、ノリだろうが、『音楽はちゃんとやろうぜ』という感じなんです。ミヤさんがというよりは、MUCCがそういうバンドなんですよね。バンドにひとりミヤさんみたいな人がいると、いいなと思いますよ。ミヤさんがいるから音楽として成り立つ場面は多いと思う。僕らは音楽として崩壊しちゃう時があるので。僕が歌詞を飛ばしても、声が出なくても、メンバーは僕を責めないし」

ミヤ「みんな優しいなと思うよ、DEZERTは。DEZERTはライブの流れの中でセッションみたいなことをやり始めるじゃん。あれは、ああいう流れを元々考えているの?」

千秋「いや、考えてないですね」

ミヤ「フリーでやっているよね。フリーというか、無茶ぶりというか。ああいうの、俺好きなんだよ」

千秋「僕、セッションの時に目で合図する癖があるんですけど、たとえば、この間もドラムのAllenくんとセッションしたんですけど(MUCCのサポートも務めるドラマー・Allen)、目で合図しても、わかってもらえないですね。僕らは昔からバンドの中で、良くも悪くもずっとそういうことをやっているんやなと思いました」

ミヤ「頭の中で鳴っているものを伝えるって、メンバー以外だとやっぱり難しいところはあるよ。Allenも理解したら早いんだよ。そこはタイム感の違いだと思う。引き出しの中に入っているものは同じなんだけど、その引き出しに行くまでに複雑な道があって、そこにすぐに行ける人と、時間が掛かる人がいる。バンドって長い年月を同じメンバーでやっているから、『この引き出しあるでしょ?』ということが、他のメンバーもすぐにわかったりするものなんだよね」

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