【インタビュー】カネヨリマサル、もっと大きなフィールドへ駆けてゆく! 問答無用の最高到達点。ミニアルバム『昨日を生きない私達へ』で破った壁を語る

【インタビュー】カネヨリマサル、もっと大きなフィールドへ駆けてゆく! 問答無用の最高到達点。ミニアルバム『昨日を生きない私達へ』で破った壁を語る
約1年ぶり、5枚目のミニアルバム『昨日を生きない私達へ』は、カネヨリマサルというバンドの可能性と存在感を、とてつもなく広げた作品である。心を揺さぶる歌詞やアレンジの作り方が飛躍的に進化していて、楽曲の強度が格段にスケールアップしている。これまでもカネヨリマサルのポテンシャルを信じていたが、想像や期待を遥かに超えて、「こんなことまでできたのか!」と驚かされるほどの仕上がりである。2曲の制作にいしわたり淳治がプロデューサーとして入ったことも転機となったようだが、もちろんそれだけではない。絶対により多くの人にカネヨリマサルの音楽を届けてやる、という強い意志が生み出したものについて、3人に語り尽くしてもらった。

インタビュー=矢島由佳子 撮影=横山創大


自分の歌がみんなの歌になってほしいということを意識するようになって。感情を整理するためだけに作っていたのとは全然違うようになってきました

──最高傑作ができましたね。お世辞抜きで、本当に感動しました。

ちとせみな(Vo・G) ありがとうございます!

──前作の時は「いろんな壁にぶつかってた」と話してくれていたけど、完全に壁を一枚ブチ破ったなと思って。

ちとせ ああ、嬉しいです。

──その要因はいろいろあると思うから、今日ここでひとつずつ聞いていきたいなと思うんですけど。まずバンドとしてすごくいいモードで、全員の目線を高いところで合わせられているのだろうな、ということを感じ取っていて。

ちとせ そうですね。成長したいという想いが3人とも同じで、焦ってるポイントも、嬉しいところも、目標にしているところも一緒なのが、音楽にもすごく表れたなと思います。

もりもとさな(Dr・Cho) この1年は特に、みんなが同じ熱量でいられたなと思います。話し合う時間も増えました。

──「爆飲会」(JAPAN2024年7月号)の時、上京するか否か悩んでいたけど、その後どうしたの?

ちとせ 関東に部屋借りました! 実家に住みつつ、関東に来る時にみんなで住む家を借りたので、2拠点になりました。それが10月くらいからです。

──おお! 一緒に住む家を借りたのはひとつとして、他にこの1年でバンドにとって大きかった要因は何があったと思いますか?

ちとせ 初めてワンマンツアーを 回って、2時間丸々自分たちだけで魅せることが必要になって、ライブについてもものすごく話し合いましたし。9月の大阪城野音のチケットを売り切ることをいちばんのチームの目標にして、それに向かって何事も取り組めたこともデカかったなと思います。

いしはらめい(B・Cho) ライブに正解とかはないですけど、勢い任せにやることは自分たちの音楽においては正解じゃないよねと。カネヨリマサルにはいろんな曲があって、盛り上がる曲もあれば、泣いちゃうような曲もある。それを全部繊細に表現することを考えるようになりました。そこがいちばん向き合ったところかもしれないです。

ちとせ 全部が繋がっている気がします。いい曲を作りたい、ライブをよくしたい、もっとバンドを大きくしたいとか、いろんな要素で高みを目指したのが全部繋がった1年やったなって。

──その結果、曲の魅力も圧倒的に増していると思うんです。自分たちとしてはどんな変化を自覚していますか?

ちとせ 自分の殻にこもらないように、人に伝わる歌詞について、めちゃくちゃ考えさせられた1年でしたね。

──みなさんにとってカネヨリでのソングライティングは、自分の失恋の喪失や困惑から始まったものだったけど、表現欲求の矛先が変わってますよね。

ちとせ そうですね。人に受け取ってもらうことを前提に作ってなかった時代が長いことあったけど、自分の歌がみんなの歌になってほしいということを意識するようになって。自分の心の引き出しから言葉を探してはいるし、ちゃんと自分の言葉なんですけど、感情を整理するためだけに作っていたのとは全然違うようになってきました。自分で経験した気持ちだけど、他の人にも通ずるように親和性の高い言葉を使いたいし、難しい言葉でかっこつけたくないと思うようになりましたね。

──めいさん、さなさんは、みなさんの歌詞の変化をどう感じていますか?

いしはら 正直に話すと、昔からそうしていると思うんです。自分の気持ちを書いてる中でも、ずっと私たちにもちゃんとわかる言葉だったし、ちゃんと伝わっていたし。本人が意識し始めたのはここ最近なのかもしれないですけど、昔からそういう感性を持っていたんだろうなって思いますね。今は、どっちの言い回しの方が人により伝わるかというところで悩んでいたり相談してくれたりしていて、それをより形にすることに意識が向いているんだろうなって思います。

もりもと ライブハウスにいる人だけじゃなくて、あまりライブに興味ない人とか、一般的なところまでも意識しているんやろうなと感じますね。

──ライブも大事にしつつ、ライブハウスの外にもどれだけ音楽を届けるかという意識と意志がバンドの中でかなり強くなって、それを全方位で発揮できた1年だった、という手応えがある?

ちとせ 3人とも、もっと広いフィールドに届けたいという意識を持って、バンド活動の軸をそこに置き出したのが、この1年やったなって思います。

次のページ「自分ひとりで生きていきます」じゃなくて、「一緒に生きていこうぜ」という作品にしたかったし、そういう音楽になってほしい
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