The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT

The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
 The Mirrazの自主企画『PYRAMID de 427 part7 ~THE ROAD of the RINGOS~Tokyo to Osaka~』の東京公演が代官山UNITで行われた。『PYRAMID de 427』とは、The Mirrazが毎年4月27日(“しにな”の日)に行う3バンド対バン形式の恒例イベント。7回目となる今年は、東京公演にふくろうず(2年連続出演)と東京カランコロンが対戦相手に選ばれた。

 そしてこのイベントの最大の目玉となるのは、畠山承平(Vo/Gt)もとい、はたけやまんた監督による完全自主製作のパロディーショートムービーの上映。今年はイベントタイトルからお分かりのように、あの超大作をパロディー化したもの。映画の上映に対バンライヴと、もはやこの企画の趣旨が全く見えてこないけれど、そのカオスっぷりが病みつきになる。The Mirrazの真剣すぎる悪ふざけに存分に楽しませてもらったイベントとなった。

The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
 トップバッターは、ふくろうず。まるで天井から降ってくるかのような内田万里(Vo/Key)のハイトーンヴォイスと、宇宙遊泳をしている感覚に陥る浮遊感たっぷりのサウンドに心と体が揺れた。「今日は晴れだけど、街はいつも雨模様!」という内田の叫びにも似た力強い声から始まった“街はいつも雨のよう”や、6月に発売されるアルバムからは“37.3”を披露。MCでは安西卓丸(Ba/Vo)は畠山とメール友達とのことで、最近は彼から長文メールが来ないことで夢に畠山が出てきたという話で会場を沸かし、ラストは「ふくろうずはこういうバンドです」というアンセムソング“砂漠の流刑地”で会場をふくろうず色に染めながらも、しっかりとバトンを繋いだ。

The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
そしてトップからアンカーへのバトン繋ぎを任されたのは、ARABAKI ROCK FEST.14からハシゴ出演を果たした東京カランコロン。リハーサルの時点でいちろー(Vo/Gt)のテンションの高いこと高いこと。これは楽しくなる予感しかしない! 初っ端から会場一体となるクラップを巻き起こして“少女ジャンプ”で弾けるほどの多幸感をまき散らす。続く“16のbeat”ではいちろーとせんせい(Vo/Key)のユニゾンが美しく煌めき、5月に発売される新曲“恋のマシンガン”も披露。The Mirrazとは今日が初対面という東京カランコロンのメンバーだったが、せんせいは以前からファンだったと照れ気味に話し、いちろーも楽屋にあったウェルカムメモにひどく感動していた。新鮮さこそあるもののしっかりとその存在感を示した初対バンのラストは、全員笑顔の“泣き虫ファイター”で締めくくった。


 そしてラストはThe Mirraz。暗転したフロアでステージにメンバーが現れるのを待っていると、点いたのはステージの照明ではなく、フロア横に取り付けられた大きなスクリーンだった。中島ケイゾー(Ba)によるカミソリのCM(風な)映像を挟み、いよいよ『ROAD of the RINGOS~Tokyo to Osaka~』の上映!公園で死体となって発見された女性アルウェン(佐藤真彦)の横には、人の心を操り洗脳する「力のりんご」が落ちていた。発見者であるガンダルフ(ケイゾー)、アラゴルン(新谷元輝)、ゴラム(佐藤真彦)の3人。犯人を探していく中で更に被害者は増えていく。遂には互いを疑いはじめるガンダルフとアラゴルン。犯人は一体…!?というストーリーなのだが、これはもう、観てほしい!(色んな意味で)衝撃のラストだし、大人が本気でふざけると凄いんだということがよく分かった。残念ながら上映を観ることができなかった方々に朗報なのだが、これとは別バージョンの映像(25分)が近日HPで公開となるそうなので、是非チェックしてほしい。(正直最初は笑って観ていたが、中盤から本気で観入ってしまっていた)

The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
 そして上映が終わると、ステージには4人の姿が。いよいよメインである(あくまで映画はサブ)、ライヴの幕開け! 始まりに相応しい“レディース & ジェントルメン”から、「どうもこんばんは、THE BAWDIESです!」という畠山渾身のギャグに突っ込む間もなく“CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい”へ畳み込む。畠山の口から絶え間なく流れ出す言葉の洪水に飲み込まれるように踊り、掻き回されるフロアが熱を帯びていく。畠山が観客に対して盛り上がりを強制することはほとんどない。この日のライヴ中でも“スーパーフレア”の前に「盛り上がってくれ」と至って普通のトーンで呟いただけだった。楽曲の激しさやリフの速さ、言葉数の多さから考えるとステージの4人も激しく狂い、さらにはフロアを煽りながらプレイしてもおかしくないのに、その点では割とクールにライヴをする。なんというか、フロアとステージの一体感を感じにくい。昨今のライヴでは、例えばコール&レスポンスやシンガロンでフロアとステージとのボーダーを無くし、そこで生まれる一体感が重視されているが、The Mirrazのライヴには盛り上がる楽曲の多さに比べてそれらが少ないように感じる。コーラスのケイゾーと真彦が滅多に煽らないというのもあるけれど、逆にそれがかっこいい。「俺らは好きにやるから、お前らも好きにやれよ」という自然体でラフなスタンスがThe Mirrazにはある。この日のMCでもオーディエンスに対して「なんか今日、若干やりづらい」と素直に言ってしまうくらいだ。そういう一面があるからなのか、たまに垣間見る温度差にゾクっとするような狂気を感じることがある。

The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
 そんな彼らだが、「新曲をやります。去年ロスに行ったんだけど、着いて最初にしたのが寿司を食うことだったの。その時はスーパーで買ったんだけど、意外と美味くてさ。で、寿司屋を検索したら、【寿司屋ゴーゴー】って店が在って。その店の歌です」と言って新曲“SUSHI A GO! GO! GO!”を披露するもんだから、本当にこのバンドは面白い。緩い。全く読めない。

 そして“ふぁっきゅー”“なんだっていい/////”“WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!”のキラーチューンオンパレードに続くは、5月21日に発売される新曲“この惑星(ほし)のすべて”。ミイラズ的バラードと言ってもいいような、疾走感のなかに切なさを感じさせる、タイトルの壮大さとは裏腹に、《目の前の君に》向けて直向きに歌ったナンバーだ。

さらに「元輝(Dr)になってから初めて演る昔の曲」と言って“Let's Go!”を披露すると、フロアからは歓声が上がる。そして、“check it out! check it out! check it out! check it out!”“ラストナンバー”“僕らは”とラストまで減速なしでそのままに走り抜いた。

The Mirraz×東京カランコロン×ふくろうず@代官山UNIT
 アンコールでは「新曲をやります。アークティックモンキーズのギターの人が、アンコールで新曲を演るなんて愚の骨頂だ、って言っていたけど、演ります」と、“プロタゴニストの一日は”を披露。さらに、ふくろうずと東京カランコロンのメンバーをステージに呼び、ラストは全員集合の大演壇の中“観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは”でステージの幕を閉じた。

来年の427の日にもまたこのイベントがあることを期待して、「死にな」と言われても意地でも「死なず」に生きていきたいと思う。(峯岸利恵)



■The Mirraz セットリスト

M-1 レディース & ジェントルマン
M-2 CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
M-3 気持ち悪りぃ
M-4 スーパーフレア
M-5 真夏の屯田兵〜yeah! yeah! yeah!〜
M-6 僕はスーパーマン
M-7 SUSHI A GO! GO! GO!(新曲)
M-8 ふぁっきゅー
M-9 なんだっていい//////
M-10 WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!
M-11 この惑星(ほし)のすべて
M-12 I want u
M-13 Let’s Go!
M-14 check it out! check it out! check it out! check it out!
M-15 ラストナンバー
M-16 僕らは

ENC1 プロタゴニストの一日は(新曲)
ENC2 観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
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