〈a flood of circle〉
SEを背中に、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(B)、Duran(G)、佐々木亮介(Vo・G)の順に登場。1曲目“GO”から容赦なしに鋼鉄のサウンドがぶっ放される! そのまま《Walk, Walk,Skywalk 崖っ淵の先へ》という佐々木のシャウトから“スカイウォーカー”へ。単体でも十分に華のある4人の音がひとつのバンドの音として放たれ、歪に転がっていくことの美学。そのサウンドはまさにロックンロールの業そのものである。SAKANAMON・森野光晴の友人だという佐々木は、最初のMCで「『アリが対バンツアー』という可愛い名前のツアーに呼んでいただきました。革ジャンですが、(Duranを指しながら)顔濃いですが、(HISAYOを指しながら)ヒール高いですが、意外といいヤツらなのでよろしくお願いします」と挨拶。真紅の照明が妖艶だった“Blood Red Shoes”からは「OK、飛ばしていこうか!」「さあさあ行こうぜみなさん!」とフロアを煽りまくる佐々木。渡邊のハイスピードな8ビートが楽曲を前へ引っ張っていく“Golden Time”ではサビでシンガロングも起こって大盛り上がりだ。そして、佐々木/Duran/HISAYOが渡邊の元に視線を集めステージに背を向ける。息を合わせてイントロのキメを炸裂させてから突入した“プシケ”では「2014年12月1日、恵比寿リキッドルームにお集まりのみなさんに俺の大事なメンバーを紹介します!」という佐々木の言葉をきっかけに、渡邊→HISAYO→Duran→佐々木の順に音を重ねていく。そして「a flood of circle!」という高らかな宣言とともに溢れ出すバンドのサウンド、沸き上がる歓声――ライヴで恒例の自己紹介演出は、フラッドファン/SAKANAMONファンという垣根を痛快にぶっ壊し、フロアを満たすキッズたちの心を大いに興奮させた。「キムはどこかネジが飛んでて、森野と俺は2人ともスピッツが好きなんだけど……いいヤツで、藤森は天才タイプだね。楽屋でずっと曲作ってた」「さっきみんなでスーファミ(スーパーファミコン)のストファイⅡ(『ストリートファイターⅡ』)をやったんだけど、キムはめっちゃ上手くて友達が減るタイプだね(笑)。うちのDuranが一番強かったです」と舞台裏でのエピソードを話す佐々木。「素晴らしいバンドに呼んでもらえて、ここであなたに会えて嬉しいです。今日しかやらない曲をやります」と哀愁あるバラード“コインランドリー・ブルース”へ。か細い声&エレキギターの音による佐々木の弾き語りから始まり、それに寄り添い、かつその歌を奮い立たせるかのようにバンドの音が加わっていき、熱を帯びていくアンサンブル。佐々木がしゃがれた声を震わせる様子は、先ほどまでのアッパーチューンでは咆哮のようだが、こういったバラードではまるで嗚咽のよう。オーディエンスたちは息を飲んでステージを見つめていた。そして「俺たちとアンタたちの明日に捧げます!」と“シーガル”でフィニッシュ!
「こんばんはSAKANAMONです、よろしくお願いします!」と超早口で藤森元生(Vo・G)が叫ぶと、“マジックアワー”でスタート。「愛してるよ、リキッドー!」と歌詞を替えてオーディエンスを沸かせるものの、すぐに「いや、ビール!」と付け加えて笑いに変えてしまうのも実に藤森らしい。森野光晴(B)&木村浩大(Dr)のリズム隊の瞬発力と爆発力が特に光る冒頭3曲。“空想イマイマシー”恒例のアドリブではフラッドの“Dancing Zombiez”を演奏した。「SAKANAMON界の松田龍平、カレー大好き、森野光晴です!」「SAKANAMON界のもたいまさこ、ファミチキ大好き、木村浩大です!」「SAKANAMON界の能年玲奈、ビール大好き、藤森元生です!」という自己紹介を挟み、「お母さんが買ってくる変なものってありますよね。あれ、やめてほしいです。でも懐かしいなあとも思います」(藤森)と“マザーラインナップ”へ。“害虫”のような複雑に各旋律が絡み合う楽曲が気取らないキャッチーな楽曲になりえるのは、3人のキャラクターや演奏技術があってこそだろう。
■セットリスト
〈a flood of circle〉
01.GO
02.スカイウォーカー
03.Blood Red Shoes
04.Dancing Zombiez
05.Golden Time
06.プシケ
07.コインランドリー・ブルース
08.シーガル
〈SAKANAMON〉
01.マジックアワー
02.幼気な少女
03.便乗鴎の世界
04.空想イマイマシー
05.マザーラインナップ
06.害虫
07.爆弾魔のアクション ~願い~
08.AGEINST
09.シグナルマン
10.ミュージックプランクトン
11.TOWER
12.アリカナシカ
(encore)
13.君の○○を××したい(w/佐々木亮介)
14.トンガリ’95(スピッツ)(w/佐々木亮介)
15.妄想DRIVER