LUNA SEA@横浜アリーナ

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LUNA SEAにとって特別な夜が今年もやってきた。「クリスマス・イブイブ」となる12月23日に、ドームやアリーナクラスのスペシャル・ライヴを何度も実施している彼ら。今年6月から来年3月にかけての結成25周年ツアーをロード中の今年は、彼らの地元・神奈川にある横浜アリーナにて「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE」が開催された。横アリでのライヴは2000年の終幕直前のツアー以来14年ぶりということもあり、会場に集まった15000人のファンの熱気は開演前から最高潮。定刻を10分ほど過ぎた頃には何処からともなくハンドクラップが沸き起こり、5人の登場を今や遅しと待ち受けるムードがアリーナ全体に伝播していく。

LUNA SEA@横浜アリーナ
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そして16時18分。暗転した場内にお馴染みのSE“月光”が鳴り響き、5人が颯爽と登場。真矢のハイハットのカウントからスタートしたのは最新アルバム『A WILL』でもオープニングを飾る“Anthem of Light”である。真っ白な光に包まれたステージから押し寄せる、眩くも威風堂々としたアンサンブル。音の大きさやメロディの強靭さというレベルを超えて、会場の隅々まで光を届けていくようなグルーヴのスケール感に、このバンドの凄さを改めて実感する。そして2曲目にしてキラー・チューン“Déjàvu”投下! SUGIZO(G・Violin)、INORAN(G)、J(B)は勢いよくステージ上を飛び回り、オーディエンスの歓喜を底から突き上げていく。その後も“Rouge”“JESUS”と新旧のレパートリーを交互に披露して、アニバーサリー・イヤー最後の特大花火を豪快に打ち上げていく彼ら。一転して甘美なメロディが映える“乱”では、サングラスを外して客席をまっすぐ見据えたRYUICHI(Vo)による情感豊かなヴォーカルが届けられ、会場を神秘の世界へと引き込んでいった。

LUNA SEA@横浜アリーナ
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2日前のさいたまスーパーアリーナ公演では、知る人ぞ知るバンド初期のスロー・チューン“VAMPIRE’S TALK”を中盤に奏でて会場をどよめかせた彼ら。そんなサプライズ精神はこの日も健在で、ライヴではレアなシングルカップリング曲“Lost World”を披露して、大きな拍手を誘っていく。そして“MARIA”“Glowing”と最新アルバム曲でディープな世界に潜り込んだ後、ヴァイオリンに持ち替えたSUGIZOと、アコギを手にしたINORANのみがステージに残って演奏されたジャム・セッションが素晴らしかった。その響きひとつで聴き手を昇天させるヴァイオリンの旋律と、繊細でオーガニックなアコースティックのカッティング。LUNA SEAらしい透明感と荘厳さを匂わせながらもダンサブルに前進していく音像は、ふたりのプレイヤヴィリティの確かさと同時に、生き生きとしたクリエイティヴィティに満ちたLUNA SEAの「今」を鮮烈に印象づけていたと思う。その後の真矢(Dr)のドラム・ソロでは、目にも止まらぬ速さで叩き出される爆音とともに、グングン熱を帯びていく15000人一丸の「真矢ー!」コール――とんでもないポテンシャルを持った5人の集合体であるLUNA SEAの奇跡を、改めて痛感させられた瞬間である。

LUNA SEA@横浜アリーナ
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“TONIGHT”で後半戦の口火を勢いよく切ると、「(今年は)久しぶりに全国各地に行ったけど、皆のパワーが凄くて感動しました。2015年は新たなスタート地点だと思います。今のLUNA SEAにできるドライヴ感でまた暴れていくから、皆しっかりついて来いよ!」とRYUICHI。そのまま雪崩れ込んだ“Thoughts”の《スピードを上げて 息は荒れたままで/この歩みはもう 止まないと》という歌が、2015年も全力疾走していこうとする5人のモードを力強く物語っているように思えた。そしてJのパワフルなベース・ソロで横アリを完全沸騰させると、スモークが濛々と噴き上がる中での“The End of the Dream”、25年分のファンとの絆を確かめ合うような一糸乱れぬコールが決まった“TIME IS DEAD”、さらに「いくぞー!」というRYUICHIの野太い絶叫からの“ROSIER”と猛ダッシュ! 2日前のさいたま公演では、“ROSIER”中盤のJのマイクパフォーマンス後にステージ後方に投げたマイクスタンドがセットに当たって壊れるというハプニングもあったけど、この日は難なくきめてオーディエンスを沸かせる一幕もあり、臨界点へと達した横浜アリーナの狂騒感にトドメを刺してくれた。そして“absorb”の大海原をたゆたうようなエモーショナルなサウンドで会場を優しく抱きしめたところで、本編終了。

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ファンによる恒例の“きよしこの夜”の大合唱が響きわたった後のアンコールでは、サンタ帽を被った5人が登場! 「皆で歌える曲をプレゼントします」とジョン・レノンの“Happy X’mas(War Is Over)”のカヴァーを披露して、聖なる夜を祝祭感で満たしていく。“BREATHE”後のメンバー紹介では、5人それぞれの一言コメントが。INORANだけはRYUICHIに耳打ちしてコメントを代弁してもらい、その声を聞かせることはなかったけど、そんな微笑ましいやり取りにも現在の5人の親密な関係性が表れていて、嬉しくなる。そして「日々凄いことが起こるんだよね、このメンバーといると。本当に日々歴史が刻まれていく感じで……」と口を開いたRYUICHIが、25万人を動員した25周年ツアーのファイナルとして、2015年3月14日に大阪城ホール公演を開催することを発表! 歓喜するファンを尻目に、25周年ツアーでも各地の会場で随一のダイナミズムと切れ味を放ってきた“Metamorphosis”を満を持して投下する! 5月29日の代々木第一体育館のライヴも観ている筆者だが、半年間におよぶツアー行脚を経て、より強靭な肉体性と殺傷力を獲得したバンドドサウンドの凄みには、もう圧倒されるばかりであった。そのままインディー時代の名曲“PRECIOUS…”、「お前ら全員でかかってこーい!」というRYUICHIの決まり文句からの“WISH”で赤・緑・金のクリスマスカラーのテープが発射して大団円! これで終演かと思いきや、まだまだ鳴りやまない拍手に応えて『A WILL』のラスト・ナンバー“Grace”を最後に届け、メンバーとオーディエンス全員が手を取り合っての恒例の大ジャンプを繰り出して、3時間弱に及んだステージは幕となった。その後は名残惜しそうに客席に手を振ってステージを後にする5人。INORANは「14年経っても僕らをここに連れて来てくれてありがとう。これからもLUNA SEAをヨロシクな!」とこの日初めて言葉を発し、最後までステージに残ったSUGIZOは長いお辞儀で温かな拍手を浴び、感動的なフィナーレに華を添えていた。

RYUICHIも話していた通り、25万人を動員した25周年ツアーの大一番となった、至福の一夜。アニヴァーサリー・ライヴらしくファンとの絆を象徴するような往年の名曲もふんだんに盛り込まれていたけれど、何より彼らの想いが感じられたのは、最新アルバム『A WILL』の楽曲でオープニングとラストを飾った点ではないか。過去に輝かしい歴史を刻んだ伝説のバンドとしてではなく、今の時代に風穴を開けるモンスターバンドとしての凄みを見せつけてくれた、LUNA SEA。その攻めの姿勢にはただただ感服させられるし、そんなドライヴ感に突き動かされた彼らだからこそ、来年以降も孤高のロックバンドとしての存在感をより一層増していくことだろう。それを強く予感させてくれた最高の一夜だった。年明けは1月10日・11日の大宮ソニックシティ公演からツアーを再開。まずは3月14日の大阪城ホール公演へと続く25周年ツアーの熱狂を、しっかりと見届けていきたい。(齋藤美穂)

■セットリスト

01.Anthem of Light
02.Déjàvu
03.Rouge
04.JESUS
05.乱
06.Lost World
07.MARIA
08.Glowing
09.Violin & AG Jam
 ※Dr. Solo
10.TONIGHT
11.Thoughts
 ※Bass Solo
12.The End of the Dream
13.TIME IS DEAD
14.ROSIER
15.absorb

(encore)
16.Happy X’mas(War Is Over) ~ BREATHE
17.Metamorphosis
18.PRECIOUS…
19.WISH
20.Grace
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