The Birthday@ 日本武道館

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The Birthday@ 日本武道館
暗闇の中、舞台背後の巨大ヴィジョンに1本、また1本と映し出されたキャンドルは全部で10本。「The Birthday 10th」と書かれたケーキの絵が浮かび上がり、お馴染みのSE“Sixteen Candles”に合わせてチバユウスケ(Vo・G)が指揮者のようなアクションで煽ると、日本武道館は割れんばかりの大歓声に包まれる――。2005年の結成から10周年を迎えたThe Birthdayの、自身3度目となる武道館ワンマンライヴ「LIVE AT NIPPON BUDOKAN 2015 "GOLD TRASH"」。この日、広大な空間に渦巻いていたのは、狂気の果てからでも、イメージの極北からでもなく、その燃え盛る魂から真っ直ぐに、僕らの心のど真ん中を撃ち抜くロックンロールそのものだった。

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タイトなビートで満場の武道館を震わせた“6つ数えて火をつけろ”。そして、曲始めの《電話探した あの娘に聞かなくちゃ/俺さ 今どこ?》をオーディエンスの合唱に委ねたチバの「今どこだ? The Birthday、今年で10周年! ザ・日本武道館!!」の咆哮をきっかけに、“涙がこぼれそう”のドライヴ感がオーディエンスの歓喜を無限増幅させていく。デビューシングル“stupid”から2015年の“I KNOW”へつないでみせたり、フジイケンジ(G)加入後初アルバムだった『I'M JUST A DOG』(2011年)のオープニングナンバー“ホロスコープ”の鋭利なロックンロールが熱気を痛快に貫いていったり……といった鮮烈な展開のひとつひとつが、結成から10年間のバンドの足跡と進化を如実に物語っていた。

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この日のセットリストは、ライヴの翌日=9月16日リリースの10周年記念ベストアルバム『GOLD TRASH』の収録曲と同様、ファンによる楽曲投票結果を参考にして決定されたもの。“KIKI The Pixy”“ROKA”など歴代シングル曲はもちろんのこと、巨大ミラーボールきらめく“WALTZ”(最新シングル『MOTHER』カップリング曲)、チバ&フジイのWギターがディスコード寸前のスリリングなせめぎ合いを聴かせる“シルエット”(『I'M JUST A DOG』収録)といった選曲もいちいち最高だったが、何よりそれを歌い鳴らすチバユウスケ/フジイケンジ/ヒライハルキ(B)/クハラカズユキ(Dr)の、骨太な強靭さとタフな包容力に満ちたロックンロールアンサンブルが、過去2回の武道館よりも格段に迫力を増していることに、改めて驚きと感激を覚えずにいられなかった。

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10周年記念ライヴとはいっても、「いいね……なんか、空気がね」と武道館を見回してチバがぽつりと口にしたり、「平日なのに、こんなにたくさん来ていただいて、ありがとうございます」とクハラがオーディエンスに感謝を伝えたりした以外は、いつもの通りストイックに演奏に専念していた4人。そんな中、唯一MCらしいMCがあったのはライヴ中盤。「みんな、10年前は、10歳若かったんだよね。不思議だよね。生まれてないかもしれないね……」というチバの語りに、客席にリラックスした笑いが広がる。が、それに続く「……死んじゃったやつもいるか。人生それぞれだわ」の言葉で、会場の空気が一瞬張りつめる。そこへ響き渡ったのは“爪痕”。《忘れてしまおうと思ってたけど/爪痕 消えなくて 消えなくて》というチバ&クハラの絶唱に、抑え難く胸が震えた。

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「新曲やるわ!」というチバのコールとともに披露されたのは、10月にリリースされるニューアルバム『BLOOD AND LOVE CIRCUS』の収録曲“FULLBODYのBLOOD”。チバの歌が、フジイのギターが、ヒライ&クハラのビートがかつてないほどワイルドにうねりながら、ミステリアスな躍動感を描き出していく。“愛でぬりつぶせ”から“ダンス・ナンバー”“マスカレード”へ……と刻一刻と会場の温度を上げていく4人、“くそったれの世界”あたりからいよいよ熱を帯びる一面のシンガロングを、“MOTHER”ではチバがさらなる高揚の頂へと煽り導いてみせる。揺るぎないロックンロールが濃密なコミュニケーションを生んだ、珠玉の名シーンだった。

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“KAMINARI TODAY”の圧巻のスケール感で本編を締め括った後、アンコールでは再び『BLOOD AND LOVE CIRCUS』から新曲“声”を晴れやかに響かせたThe Birthday。続けて“さよなら最終兵器”“COME TOGETHER”で沸点越えのクラップとシンガロングの輪を生み出してフィナーレ……かと思いきや、割れんばかりの手拍子に応えて三たび4人が舞台に登場! “READY STEADY GO”をどこまでもダイナミックに轟かせた後、チバが人差し指を立てて「もう1曲」の合図。この日のラスト・ナンバーは“ローリン”! 幾度もライヴのエンディングを飾ってきたこの曲で、チバのシャウトに熱いコール&レスポンスが沸き返って――終了。10周年の祝砲であると同時に、『BLOOD AND LOVE CIRCUS』から始まる「その先」への号砲として強烈に胸に残る、至上のロックンロールアクトだった。(高橋智樹)

●セットリスト

01.6つ数えて火をつけろ
02.涙がこぼれそう
03.stupid
04.I KNOW
05.ホロスコープ
06.KIKI The Pixy
07.カレンダーガール
08.ROKA
09.ALRIGHT
10.爪痕
11.WALTZ
12.シルエット
13.FULLBODYのBLOOD (新曲)
14.愛でぬりつぶせ
15.ダンス・ナンバー
16.マスカレード
17.くそったれの世界
18.なぜか今日は
19.MOTHER
20.KAMINARI TODAY
(encore 1)
21.声 (新曲)
22.さよなら最終兵器
23.COME TOGETHER
(encore 2)
24.READY STEADY GO
25.ローリン
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