The Birthday @ 日本武道館

完璧。以上。

というか、いろいろ説明すればするほど嘘臭くなるんじゃないか、というくらい完全無欠のライヴだった。LOOKING FOR THE LOST TEARDROPS TOUR Final――9月17日横浜BAY HALLを皮切りに約4ヶ月にわたり全国34ヶ所で繰り広げられたツアーの最終日であり、しかもバンドにとって初の武道館。けれども、いつもと何ひとつ変わらないThe Birthdayがいた。特別なセットや演出は一切なし、ステージの上はカーペットと楽器だけ。アリーナはすべてスタンディング・エリアとなっている。

SEが鳴って、ゆったりとメンバーが現れ、楽器を手に取る。その冷静な仕草はまるで職人のようである。低く重く会場中に地響きを起こすような「ハーロー」をきっかけに、“タランチュラ”が始まった。ホールのせいか、音のひとつひとつの表情がはっきりと聴こえる。ドラマチックな楽曲なのにステージとの距離をまったく感じさせない、ライヴハウスのような熱っぽさもある。最新作『TEADROPS』を中心にドラマティックな楽曲が続く。渋谷O-EASTでの初ライヴで体験した革命前夜のレジスタンスのような混沌とした熱狂が、わずか1年半で、ものすごいスケール感ときっぱりと確立したバンド・サウンドでもって繰り広げられている様に鳥肌が立った。中でも、「ブランニュー・ファンキー・イヤー! アー・ユー・ファンキー?」というチバの叫びで始まり、《みんなファンキー》と何気なくオーディエンスに歌わせる“プレスファクトリー”、そして本編最後の“KAMINARI TODAY”は圧巻。 “KAMINARI TODAY”で《カミナリ鳴らしに行こうぜ》とオーディンスを誘う声が今も耳にこびりついて離れない。

2度目のアンコール、ギター・アルペジオを弾きながら、レナード・コーエンの“ハレルヤ”の感動的なフレーズから始まった“ハレルヤ”は、いつものThe Birthdayと変わらないと思っていたこの夜がとても特別なものだと思えた瞬間だった。この日のライヴは、3月26日にライヴDVDとしてリリースされる。こちらもとても楽しみだ。

印象的だったのは、“プレスファクトリー”が始まる前の、この日唯一ともいえるクハラのMC。「武道館初めてやるんですけど――」と、語り始めた時、当然、初武道館への意気込みとか感想とかを話してくれるのかと思いきや、「2階にレストランがあって、その名前が『レストラン武道』って言うんですよ。勇ましい名前だなと思って……」というのが、とても彼ららしかった。こんなまっさらな視点で風景を眺めながら旅してるんだなあ、このバンドは。と改めて思った。(井上貴子)
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