心底シビレて涙がにじんだ。このどうしようもない時代、チバ流の憂いを含んだロマンチックなレベルミュージック。シンプルなキックとベース、音数少なく心に刺さるようなギターに乗せた静かな歌い出しから、張り裂けそうに切ないギターが静かな怒りを含んで《俺は決めたんだ　あのクズ共から　世界を奪い返すって》と続く。直接的なメッセージというわけではない。なのに、強く強く心を掴まれてしまう。そして《その後でお前を／根こそぎ抱きしめてやる》である。ノックアウト。これは全世界に向けた最高のラブソングだ。アウトローたちが奏でるありったけの愛。SF映画の中の、地球人にやられてしまったエイリアンのことを思うナイーヴな歌詞も、チバの眼差しをよく表している。ファンにとって、今後重要な1曲になることは間違いない。カップリングの“木枯らし6号”はブルージーなロックンロール。ますます深みを増しながら、でも決して丸くなることはないチバのボーカルがとてもいい。The Birthdayの根底にはBLUESがあることを、それぞれ違う角度で再認識させられるシングルだ。（杉浦美恵）