「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - Mrs. GREEN APPLE/all pics by 古溪一道Mrs. GREEN APPLE/all pics by 古溪一道
音楽・アートの複合的な祭典としてスペースシャワーが展開している「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016」。その企画のひとつである「SPACE SHOWER NEW FORCE」は、期待の新人アーティストをプッシュするというものだ。今回選出されているアーティストは、あいみょん、Suchmos、シンリズム、DAOKO、never young beach、パノラマパナマタウン、PELICAN FUNCLUB、ぼくのりりっくのぼうよみ、Mrs. GREEN APPLE、LILI LIMITの10組。渋谷WWWで行われたショーケースライヴでは、そのうち6組が出演して、素晴らしい一夜を作り上げてくれた。

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - DAOKODAOKO
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トップバッターはDAOKOである。ワンマン公演と同様、紗幕スクリーンに歌詞タイポグラフィーの刺激的なアニメーションを映し出しながらのパフォーマンスだ。「今日は一緒に楽しんでいきましょう」と挨拶して、“高い壁には幾千のドア”からウィスパリングヴォーカルにエモーションを忍ばせるラップを放つ。トラックがカラフルに弾ける“きみ”以降は、DAOKO同様にブルーのフードパーカーを着た女子ダンサー2名も加わり、“さみしいかみさま”に“ShibuyaK”と、アップリフティングなダンスチューンを立て続けに放っていった。ナイーヴで深い思考をポップに見せる、彼女の魅力が凝縮されたステージだった。

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - SuchmosSuchmos
「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - SuchmosSuchmos
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ポスト・クラブジャズ/ポスト・ヒップホップ時代の、ファンキーで洗練されたポップミュージックを放ち喝采を浴びたのは、湘南を拠点に活動する6人組=Suchmosだ。オープニングの“YMM”は、『ダイナマイト』の頃のジャミロクワイを彷彿とさせて素晴らしい。YONCE(Vo)は新曲“JET COAST”の歌詞にクールな批評精神を込めながらファルセットで歌い上げ、「いろんな音楽を聴く人がいるじゃん。これからのアーティストに、こうやって注目してくれて。俺はそういうの、いいと思う」と告げると、メロウ&グルーヴィな最終ナンバー“Life Easy”まで全6曲、高度な演奏力に遊び心も添えて、存在感を残していった。

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - never young beachnever young beach
「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - never young beachnever young beach
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続いては、デヴェンドラ・バンハートのSEに乗って登場した5ピースバンド=never young beachだ。“どんな感じ?”を皮切りに、軽快な60年代サーフィンポップ風の“MOTEL”と楽曲を放つ。ナイアガラ系の、洋楽文化と日本語歌謡の折衷に根ざしているというか、安部勇磨(Vo・G)のリアルな生活感を感じさせる節回しのおかげで、ブルックリンのインディーバンドを四畳半フォーク歌手がリードしているような面白さがある。「俺たち、さっきまで大貧民やっててさあ。めっちゃ仲いいんだぜ。この後も多分、Suchmosと朝まで大貧民やる」と楽しそうに告げながら、ルーズなブルースロックあり、トロピカルサウンドありの豊かなステージを繰り広げた。

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - あいみょんあいみょん
「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - あいみょんあいみょん
「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - あいみょんあいみょん
渋谷WWWのラウンジスペースにて、ソロ弾き語りのパフォーマンスを計2回、3曲ずつ繰り広げたのは、兵庫県西宮市出身のあいみょんである。1回目のステージでは、痛ましい死生観を込めた“どうせ死ぬなら”を手始めに楽曲を放つのだが、決して自暴自棄な破天荒パフォーマンスにはならず、すっくと立ってタフに生きる姿が演奏から立ち上っていて素晴らしい。2回目のステージでは、ライヴ初公開の新曲“生きていたんだよな”や、上京して寂しかった時に、この歌の主人公から手紙を貰って嬉しかった、というエピソードと共に届けられる“◯◯ちゃん”と、たったひとりで強いカタルシスを導くライヴを繰り広げた。最高だ。

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - LILI LIMITLILI LIMIT
「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - LILI LIMITLILI LIMIT
「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - LILI LIMITLILI LIMIT
ライヴステージに戻ると、2012年に結成された5人組・LILI LIMITが登場だ。ダンサブルなのだけれども、傷つきやすく湿った情感が拭えない、そんな若く人間臭い楽曲の数々を放つ。“Boys eat Noodle”まで3曲を披露すると、志水美日(Key・Cho)が2/21から行われるミニアルバム『#apieceofcake』の東名阪ツアーについて告知する。一方、牧野純平(Vo・G)は「NEW FORCEは、スターウォーズに先駆けて付けたって今日伺って、引きました」と笑いを誘いつつ、今回の機会を得たことの喜びと強い意気込みを語って、ポコポコとユーモラスなフレーズが弾けて楽しい“seta gaya”や、豊かなコーラスが加わる“Festa”で持ち時間を駆け抜けていった。

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - Mrs. GREEN APPLEMrs. GREEN APPLE
「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - Mrs. GREEN APPLEMrs. GREEN APPLE
さあ、新世代の個性的な才能がひしめきあう「NEW FORCE」のイベントで、トリの大役を担うのはMrs. GREEN APPLEだ。5人が勢い良くステージに駆け込んできて挨拶すると、鮮烈極まりないオープニング曲“愛情と矛先”を放ちながら、お揃いの振り付けで観る者を楽しませる。“Speaking”のサウンドの迫力は圧巻で、賑々しく煽り立てる前線4人を支える山中綾華(Dr)の力量が窺えた。音も歌詞もステージ演出も、情報量は膨大なのに、とことんキャッチーに整理されている。ミセスの情報処理能力の高さに、あらためて舌を巻くライヴになった。オーディエンスは飛び跳ねながら、“アンゼンパイ”のコーラスを高らかに歌う。

「SPACE SHOWER NEW FORCE」@渋谷WWW - Mrs. GREEN APPLEMrs. GREEN APPLE
そして大森元貴(Vo・G)は、「今日対バンした人たちって、日常生活の中で普通に名前を聞く人たちじゃないですか。ちょっと怖かったよね、今日ね」と告げながらも、「でもみんな、楽しかったよね? 一緒一緒!!」と全力で「NEW FORCE」を楽しみ尽くそうとしている。“StaRt”で新人イベントに相応しい本編クライマックスを描き出し、さらにはアンコールの催促にも応えて“パブリック”も投下。ポップシーンの未来を明るく照らし出す一夜を、見事に締めくくって見せた。(小池宏和)

●セットリスト

DAOKO

01. 高い壁には幾千のドア
02. かけてあげる
03. 水星
04. きみ
05. さみしいかみさま
06. ShibuyaK

Suchmos

01. YMM
02. Alright
03. JET COAST(新曲)
04. STAY TUNE
05. Miree
06. Life Easy

never young beach

01. どんな感じ?
02. MOTEL
03. あまり行かない喫茶店で
04. 新曲
05. 散歩日和に布団がぱたぱたと
06. 明るい未来
07. どうでもいいけど

あいみょん

(1st)
01. どうせ死ぬなら
02. 泥だんごの天才いたよね
03. 19歳になりたくない
(2nd)
01. 生きていたんだよな
02. ◯◯ちゃん
03. 貴方解剖純愛歌~死ね~

LILI LIMIT

01. Girls like Chagall
02. hew
03. Boys eat Noodle
04. seta gaya
05. Festa

Mrs. GREEN APPLE

01. 愛情と矛先
02. Speaking
03. リスキーゲーム
04. アンゼンパイ
05. うブ
06. StaRt
(encore)
07. パブリック
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