斉藤和義 @ Zepp Tokyo - 斉藤和義斉藤和義

斉藤和義 @ Zepp Tokyo

今年の8月にデビュー15周年を迎え、これを記念してリリースされたベスト・アルバムを携えての全国ツアー『斉藤和義 ライブツアー2008 “歌うたい 15<16”』の東京公演2日目。15年という年月に対して特に気負いもせず、いつも通りにロック・モード全開だし、MCはいつもの調子で「いえーい!」と何度も繰り返すようなゆるゆるモード。テレビの収録が入っていたって「畏まりがちだけど、『そんなの知るか』ってことで楽しんでください」と平然と構えていて、“君の顔が好きだ”ではおなじみの放送禁止用語も大連発。淡々と次々に曲を披露していくが、その歌声からは有り余るほどの人間くさい情感が滲み出てきていて、最終的にはその歌と言葉とメロディで私たちは泣かされてしまうのだ。ライブを観ていて改めてその才能に惚れ惚れしてしまった。Zeppのフロアは超満員のお客さんが埋め尽くし、曲間には会場からは男女構わず「せっちゃーん!」と呼ぶ声で溢れかえる。なんと、男子から野太い声で「せっちゃーん、抱いてー!」という声がかかる始末。「すぐ済みますけど・・・大丈夫ですか?」と軽く交わすせっちゃん。男子をも虜にするその魅力は、まさに前半で披露された斉藤和義の自己紹介的な歌でもある“男節”で歌われる《ネタになるなら泣かせても 歌にするのが仕事だぜ》と言えてしまう、最高に情けないけど、最高に男らしいところにあるんだろう。前回のツアーと同じくバンド・メンバーは、ギターにキセルの辻村豪文、ドラムに100sの玉田豊夢、キーボードにエマーソン北村、ベースに隅倉弘至の4人。今回は特に玉田豊夢のドラムとの絡みが素晴らしかった。中盤、アコースティック・コーナーが設けられ、玉田豊夢のドラムと斉藤和義のギターのみで“レノンの夢も”を演ったのだが、これがまた偉く恰好良かった。硬質なリズムとザクザクとかき鳴らされるアコギが迫りくる上質なアコースティック・ロック。息を呑むように見守りながら耳を傾けていたオーディエンスは、演奏終了とともに大拍手と大歓声を上げていた。べスト盤を携えてのツアーということで、この15年間を網羅したセットリストで歌うたい・斉藤和義の魅力を余すところなく凝縮したライブだった。デビュー曲“僕の見たビートルズはTVの中”はもちろん、涙なしでは聴けない名曲中の名曲“歌うたいのバラッド”から久々にライブで聴けた楽曲、そして最近できたばかりだという新曲までアンコールを含めて全27曲、約2時間半。ここ最近の数々のCMソング起用などで新たなファン層が増え、初めて彼のライブを観るというお客さんも多い中、初めての人も古参ファンも大満足できる内容だったのではないだろうか。ツアーはまだまだこれから札幌、名古屋、大阪、福岡、広島、仙台と続いていく。ツアーを終えた後、年明けからは新作に向けてレコーディングをスタートさせるという嬉しいニュースも飛び出した! 15周年イヤーを締めくくる一区切りとなるこのツアーに立会うことができて良かったと思える一夜だった。(阿部英理子)
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