EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場

出演ラインナップの豪華さもさることながら、まるで幕張に煌びやかな、新しいテーマパークが出現したかのようだった。エレクトロニック・ダンス・ミュージック隆盛の時代にラスベガスで成長を遂げた大規模フェス=EDC(Electric Daisy Carnival)が、EDC Japan 2017として日本初開催である。会場内に足を踏み入れるや否や、カラフルな装飾と照明、華やかなパフォーマーたちが出迎えてくれる。

EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場 - Adi Adinayev for InsomniacAdi Adinayev for Insomniac
ZOZOマリンスタジアム内に設営された最大規模ステージのkineticFIELDは、古城のようなデザインのステージセットの両脇に巨大なフクロウのオブジェ(Night Owlと呼ばれるEDCの象徴)が佇んでいる。これまでに世界各地で熱狂を育んできたEDCが、そのまま持ち込まれたという様相だ。

この初日は正午から、DAIKI、TJO、BANVOXらという、日本出身でワールドワイドに活躍する人気DJたちが登場。Perfumeの”TOKYO GIRL”や“NANIMONO (feat. 米津玄師)”も繰り出される中田ヤスタカのパフォーマンスには、サプライズできゃりーぱみゅぱみゅも参加し、“CANDY CANDY”、“原宿いやほい”、“にんじゃりばんばん”といったヒットチューンがオーディエンスを沸かせていた。

EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場 - Jake West for InsomniacJake West for Insomniac
質実剛健にしてグルーヴィなテックハウスを鳴り響かせるDJデュオのサナリー・ジェームズ&ライアン・マルシアーノ、そしてトランス色の強いサウンドがフィジカルに訴えかけるサンダー・ヴァン・ドーンの2組は、2015年に両者のコラボ曲“ABC”も発表したオランダ発のアクトだ。いずれもスケール感の大きなダンス性をキープしてみせる。

スタジアムの外に足を踏み出してみると、規模は小ぶりながらアスファルト敷きの踊りやすい環境でミニマルサウンドを中心としたDJパフォーマンスが楽しめるneonGARDENや、ブームボックス(=ラジカセ)を模した車両にサウンドシステムを組み込み、さながらパレードか山車のように多くの笑顔を連れ回す移動型ステージのboombox ARTCARなどもあって楽しい。

EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場 - Adi Adinayev for InsomniacAdi Adinayev for Insomniac
さて、ビーチに設営されたステージ=circuitGROUNDS。ここに出演したシカゴのデュオ、ルイス・ザ・チャイルドが素晴らしかった。極めてキャッチーで情緒的な歌モノのフューチャーベースを連発するのだが、ポップミュージックとして既に洗練された完成度の高さを誇っている。“Love is Alive(feat.Elohim)”は本当に良い曲。

先頃には同曲も収めた日本限定EPも配信リリースされているので、ぜひチェックしてほしい。そしてニューヨークのグリフィンは、初っ端から人気曲の“Whole Heart”をアンセムのように繰り出し、DJブース上でドラムをぶっ叩くわギターを弾き倒すわ、自由度の高いパフォーマンスで伸び伸びと今日の勢いを伝えていた。

フォーキーなシンセフレーズやパーカッションを駆使するエモーショナルなハウスで、ごく自然にオーディエンスの歌心を呼び覚ましてしまうのはスウェーデンのデュオ、ギャランティスだ。昨年のヒットチューン“No Money”の合唱が熱い。
EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場 - The Holy Mountain for InsomniacThe Holy Mountain for Insomniac
そして初日circuitGROUNDSでクローザーを担うのはファットボーイ・スリムである。幕張のビーチが似合うぞ、ノーマン・クック。彼は本来、しっかりと同時代の優れたEDMを紹介してくれるのだけれども、今回はファットボーイ・スリムここにあり、と言わんばかりに名フレーズ連発のブレイクビーツ天国と化す。何より、熱狂の質がまったく古びていないのが凄い。彼は今でも、世界最高峰のスマイル請負人だ。

EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場 - Jake West for InsomniacJake West for Insomniac
少し時間を遡り、17時30分からkineticFIELDでパフォーマンスをスタートさせたのは、マシュマロの被り物で人気のミステリアスなDJ、マシュメロである。会場内には彼のコスプレをしたオーディエンスも多く目に付いていた。

アルバム『Joytime』の冒頭を飾った“Know Me”を手始めに、その極悪にしてどこかコミカルな、BPMの早いフューチャーベースがぶっ飛んでゆく。LEDスクリーンに映し出される、マシュメロ印のアニメーションも効果てきめん。フィールドをばんばん波打たせてしまう。即効性と記名性を兼ね備えたパフォーマンスである。フィニッシュと同時に、まだ明るいうちから盛大な花火が打ち上げられていた。

この後のカスケードは、どこまでも安心感をもたらす、ベテランならではのエレクトロハウスの時間だ。流暢な日本語で日本での在住経験も語りながら親密な挨拶を届け、彼らしいカラフルなサウンドと鍛え込まれたダンスビートに、夜の華やかな照明や噴水も映える。こんなふうに大舞台で堂々の活躍を見せる今のカスケードに触れて、深い感慨を覚える十数年来のファンもきっと多いことだろう。

EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場 - Tyler Hill for InsomniacTyler Hill for Insomniac
さあ、初日kineticFIELDでトリを務めるのは、DJ Magのトップ100 DJにおける2016年度ナンバー1、マーティン・ギャリックスである。4月にはこれまでの楽曲をたっぷりとコンパイルした『ザ・マーティン・ギャリックス・コレクション』も配信リリースされたが、ザ・ウィークエンド“Can’t Feel My Face”に扇動的なシンセリフが加わったリミックスや、サンダー・ヴァン・ドーンらとの共作曲“Gold Skies”なども織り込むプレイ。

アップリフティングでありながらも幻想的な余韻を残してゆくマーティンのサウンドと、敢えて光量を控えめに、スピリチュアルな空間を生み出す演出もぴったり嵌まっている。そして今春のコーチェラで初披露された、トロイ・シヴァンを迎えての新曲“There for You”のズバ抜けた美しさ。まだ2日間の折り返し地点でありながら、EDC Japan 2017の大成功を確信させる1シーンであった。(小池宏和)
EDC Japan 2017(1日目)@ ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場 - Ivan Meneses for InsomniacIvan Meneses for Insomniac
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