東京スカパラダイスオーケストラ @ Bunkamuraオーチャードホール

「サンキューサンキューサンキューサンキューサンキュー! なんかこの感じ、久しぶりだね! 6月にNHKホールで『Perfect Future』ツアーのファイナルを迎えて以来、ワンマンは半年ぶり! チケット代もバカにならないのに、ありがとねー!!!!」と、キンちゃんこと茂木欣一が早くも序盤でスマイルだだ漏れなMCをかました通り、6月19日以来となるスカパラのワンマン・ライブ。

それは同時に、デビュー19年目である2008年を締め括るパーティーでもある――ということで、開演時間は前代未聞の「19時19分」。ご丁寧にカウントダウンが行われ、19時19分きっかりに(?)ステージのビジョンに「This Year is 19th Year From Debut 1989」の文字が浮かぶ。そして、そのメッセージはやがて、来るべき20周年イヤー=2009年への祝福へと変わる。普段はクラシックやオペラなどで使われることの多いオーチャードホールは、この時点ですでに割れんばかりの大歓声!

号砲のようなホーン・アンサンブルとともに幕が開くと――真っ白なステージに、すっとぼけたフォントで「トーキョースカパラダイスオーケストラ」と書かれた譜面台が並ぶセット(譜面台は数曲でハケられたが)。ライブの装飾というより、どこか70年代歌番組のスタジオ・セットのような感じだ。そして、目にも鮮やかなマリン・ブルーのスーツに身を包んだ9人の姿が! どうやらこれが、来年2月の発売がアナウンスされているニュー・アルバム『PARADISE BLUE』の基本カラーらしい。そして、6月のワンマンから変わっていたのはスーツの色だけではない。

いきなり新曲を披露したかと思うと、“火の玉ジャイヴ”“Punch’n’Sway”“Latin Scorcher”で一気に開放的な超高気圧モードへ駆け上がる。選曲的には必ずしも6月のワンマンから「ガラリと変わった」というわけではないものの、そのプレイから受ける印象はまるで違う。スカパラのロック・モードを担っていた冷牟田竜之脱退後初のワンマンだから、というのもあるだろうが、それだけではない。何と言うか、ロック&ロールの「ロール」のほうに全身全霊傾けまくったら、そんじょそこらの「ロック」ではビクともしないくらいに強靭で懐深くてスケールでっかい「ロール」になってしまった――とでもいうような、とにかくフリーフォームで、風通しがよくて、それでいてタイトなスカパラがそこにいた。

「今日はオーチャードホール始まって以来の夜にするぜ!」とGAMO。「今日は即完らしいです! 3階席、元気? 人間、立場を決めると気持ちが楽になりますからね(笑)。今日は盛り上がっていくぞー!」と谷中。スカパラというチームの共同作業というよりは、9人のスタープレイヤーがそれぞれの持ち味を理解し合って見せ場を作り合っていくようなカラーがより強くなっているようだ。10人がアメ車にハコ乗りして時速300km出してたようなかつてのイメージから、9人それぞれがマウンテンバイクでフォーメーションを自在に変えながら、それでもやっぱり時速300km出してハイウェイを爆走してる感じになった……とでも言えば、この快感を少しはわかっていただけるだろうか?

終盤、新作『PARADISE BLUE』からの曲を披露。川上つよし作の“Heaven’s Door”はジャジーな趣のミドル・スカ。沖祐一作曲/谷中敦作詞の“そばにいて黙るとき”では9人のうち7人がポップなメロディをハモってみせる。そして“A Song For Athletes”“White Light”“Pride of Lions”の三連打でオーチャードホールが揺れる! アンコールで再び登場した谷中の「みんな、どんどん声が大きくなってていいね! ダンス・バンドとしては最高に誇りに思います!」の声に、さらに大きな歓声が波のように押し寄せる。谷中の「EXILEのPVに出させてもらいました! 文字通り、ひと肌脱いでみました」話や、GAMOの「先月、僕ここでロッシーニのオペラを観たんですけど……その時いた人が今日のライブを観たら腰抜かすんじゃないかって(笑)」というMCを挟みつつ、終始飛んだり跳ねたり大活躍だった加藤が最後は熱演しすぎて手がつったりしつつ、“ルパン三世’78”“DOWN BEAT STOMP”で完全燃焼! 

最後に。冒頭のキンちゃんのMCは、「アルバム・タイトルは『PARADISE BLUE』! 清々しいよねー。今年は秋のツアーをやらずに、ひたすらいい演奏を録音しようって心がけてました。発売前から来るまでガンガン聴いてるぜ!」という告知メッセージを経て、以下のような言葉で締め括られていた。「不況のニュースとか聞いて『ウッ!』てなるけど、やっぱり俺は音楽なんだなあって……この国はいい国だからさ! もっともっといい国にしたいよね!」。そうだ。だからやっぱりこの国にはスカパラが必要だ。改めてそう感じた、最高の一夜だった。(高橋智樹)
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