フォールズ @ 恵比寿リキッドルーム
2008.05.15
アルバム『アンチドーツ(解毒剤)』でデビューした、英オックスフォード発のフォールズが早くも来日、ついにイギリスからこういうバンドがでてきた!と感動を覚えるライブだった。フランツ・フェルディナンド、クラクソンズなど、ここ数年、イギリスから現れた「踊れるギター・バンド」はどれも、「ポップ・ミュージックを鳴らすこと」を自らの目標に掲げてきた。ブロック・パーティーにしてもそうで、その後継者か?と当初言われもしたのがこのフォールズだ。しかし、アメリカではサブポップと契約を結んだことにも明らかなように、このバンドの根っこは、少し違うところにある。アルバムと同じく“ザ・フレンチ・オープン”でライブは始まり、幽玄なイントロダクションを経て、“カシアス”“バルーンズ”などのキャッチーな楽曲を次々披露、フロアは一瞬で沸点に。このバンドがすごいのは、「客を楽しませよう」とか「一緒に楽しもう」、とかいったメンタリティを感じさせることなく、「音」のもつプリミティヴさをストイックに追い求め、リズムやビートを「解体」し、また組み上げ、結果的に「ポップ」にしてしまうところだ。だからこのバンドの根本にあるのは、ハードコア・バンドのもつ原始性にも通ずるものなのだ。これこそ英新世代、と呼ぶべきものだと思う。(羽鳥麻美)