「LIVE SPARKS!」では、今注目すべき新進気鋭のアーティストのライブレポートをお届けします!
9月23日、新宿SAMURAIにて、
カラノアのワンマンライブが開催された。タイトルは「KARANOAH Presents. ばけもん vs ばけもん」。この強烈な言葉は、TVアニメ『鎧真伝サムライトルーパー』エンディング主題歌である“ばけもん”のサビ頭のフレーズから引用したものだが、雄大(Vo・G)は2年ぶりのワンマンライブにこれを掲げた意図を、ライブの中でこう語った──「柄にもなく、戦いにきたっちゅーわけですわ!」。
そうは言ったものの、オーディエンスに対しては「戦い」というより、感謝の気持ちが素直に溢れ出ていたのが印象的だった。終盤のMCでは「ずっと順調だったわけでもなく、ああバンドってこういう時に終わるんだなと思う瞬間も何回かあったりして」と吐露しながら、聴いてくれる人やライブに来てくれる人がいるから活動を続けられている喜びを伝えずにはいられない状態に至っていた。大事なタイミングでのワンマンライブにつけた「ばけもん vs ばけもん」は、雄大の人間味が滲み出ているカラノアの全曲に通底しているものを表している言葉だと、初期から最新曲までの全20曲の演奏を聴きながら体感した。それはバンドとオーディエンスとの戦いというより、むしろ世の中の「ばけもん」と自分の中にいる「ばけもん」の戦いだ。《この世は腐ってる》(“ばけもん”)と嘆いたり、誰ともわかり合えやしないともがいたり、ここは地獄だと諦めようとしたり。あらゆる憎しみのナイフを外へと向けようとするが、でも結局は自分の弱さや情けなさにその刃は返ってきてしまう。雄大が書く曲は言葉遊びの羅列で、韻の踏み方やメロディとリズムに合わせた文字選びも非常に長けているがゆえに聴き心地が楽しいのだが、その奥にはそんな皮肉だらけの鋭さが潜んでいる。
それでも──音の中にいれば、世界や自分の醜さも忘れて、ただただ気持ちいいと思える瞬間が訪れる。そんな音楽の幸福に、メンバー自身が浸っているようなライブだった。たとえば、中盤に演奏された“ice”では、雄大が目を瞑って、頭を振りながらとても気持ちよさそうに歌っていた。EP『藍より』メドレーの最後で3人が目を合わせて笑顔になった一瞬も、“ナイト”でロングトーンを飛ばす時も、雄大は幸せそうな表情を浮かべていた。誰に許されるでもなく、自分で自分を許すとかでもなく、ただここで息をしていればいい。誰にジャッジされるでもなく、自分で自分を認めるとかでもなく、ただ音に包まれる気持ちよさを感じていればいい。そんなことも感じさせてくれるライブだったのだ。
次のツアーは大阪・福岡・北海道を回ったあと、ファイナルはTOKIO TOKYOにてワンマンライブが行われる。メンバーが絶大な信頼を置いているサポートの永田涼司のギタープレイ含め、歌や演奏力はキャパが小さすぎるほどに申し分ない。最後の“プラナリア”は、肩の荷が下りたのかこの日いちばんの開放感と自由さがあり、オーディエンスとの距離も一層縮まってとてもいい空間になっていた。これを引き続き次のツアーでも体現すれば、カラノアというバンドはさらにデッカい求心力を帯びるだろう。(矢島由佳子)
このライブレポートは、10月30日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号にも掲載!
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KARANOAH Presents.「 ばけもん vs ばけもん」
2026.09.23 新宿SAMURAI
●セットリスト01. えいよー!
02. Sugoroku
03. Paradise
04. まわる
05. MIRE MIRE
06. aquarium
07. boo-boo
08. ice
09. 『藍より』メドレー(ナル〜マスク〜常夜燈〜青くなって)
10. ナイト
11. ばけもん
12. レイ
13. 番
14. ねむ
15. 砂時計
Encore
16. 阿弥陀籤
17. プラナリア
●リリース情報 デジタルシングル『会いに』
2026年10月21日リリース配信はこちら
デジタルシングル『ばけもん』
2026年7月8日リリース配信はこちら
カラノア オフィシャルサイト
提供:A.S.A.B
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部
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