「LIVE SPARKS!」では、今注目すべき新進気鋭のアーティストのライブレポートをお届けします!逆光となったステージに飛び込んできた田村晴信(Vo・G)、カナ(Vo・B)、モリモリ(Dr)を出迎えた大きな拍手。そして、“俺の見たピストルズはスマホの中”がスタートすると、爆音に挑みかかるかのような観客の歓声が沸き起こった。メロディ、ビート、歌に収まりきらないくらいの感情や衝動で溢れ返っている3人の音は、フロアにいる人々の理性を瞬時に無効化する。飛び跳ねながら興奮を露わにする観客を大量発生させた“インターセクション”に続いて“LOST IN THE ライブハウス”が届けられた時、会場を満たしていたものすごい熱。昂る気持ちにとことん忠実でいられる場所への強い愛着があるからこそ、彼らはライブハウスについて歌うのだろう。歌、ギター、ベース、ドラム、人々の鼓動、血流、息遣いがシンクロしながら床、壁、天井を震わせる時、ライブハウスも楽器なのかもしれない。そんなことを思わされる音響体験を序盤からすることができた。
「ロックって『憧れ』っていう力によって突き進んできた音楽だと思うんです。だからコピーバンドはものすごく正統で、まっすぐなロックバンドなんじゃないかなって、僕個人としては思います」と、“音楽やろうよ!”を歌う前に語っていた田村。背が低いAC/DCのアンガス・ヤング、事故で右手の中指と薬指の先端を失ったことによって独自のプレイスタイルとサウンドを編み出したブラック・サバスのトニー・アイオミについて触れつつ、「常日頃から才能っていうのは背の高い、低いくらいのもんだなと思ってます。才能がないのもそのままステージに上げたらいい。『才能がない』っていうのがかっこいいのがロックっていう文化の素晴らしいところであり、僕がいちばん好きなところ」と言っていたのも思い出される。「こんな風になりたい」という憧れを掻き立てる面と「自分にもできるかもしれない」という身近さをバランスよく兼ね備えているバンドが171なのでは? そんなことも少し照れくさそうに語っていた。
カナの突発的なプレイによって、もともとはセットリストに組み込まれていなかった“煙”がいきなりスタート。予定外の音を田村とモリモリが臨機応変に乗りこなし、スリリングなグルーヴを生んでいた。機材トラブルも含めた突然の出来事も、3人のアンサンブルの熱をブーストするための起爆剤なのだろう。生身で勝負する人力バンドならではのかっこよさを、彼らは何度も体感させてくれた。
“SUPERSONIC” “love”など、カナがメインボーカルとなる曲は、USオルタナ、グランジロックに通ずる乾いたメランコリックさを帯びている。それに対して、田村の表現にはウェットな切なさがある。ツインボーカルのコンビネーションも発揮しながら浮き彫りにした色とりどりの感情、風景、物語。ライブを締めくくった“ヒットソングシーズン”は、吼える声の狭間からロマンチシズムが滲んでいた。歯軋りのようなフィードバック、強烈なビート、3人で共有する一瞬の間を経てエンディングに到達。漂う余韻がどことなく寂し気なのが171らしかった。彼らの爆音は表情が豊かだ。そういう魅力ともじっくり向き合えたライブだった。(田中大)
このライブレポートは、7月30日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号にも掲載!
171 ⾳楽 ⻘春 LOVE ワンマンツアー
2026.7.10 恵比寿LIQUIDROOM●セットリスト
01.俺の見たピストルズはスマホの中
02.インターセクション
03.LOST IN THE ライブハウス
04.音楽やろうよ!
05.SUPERSONIC
06.壊れたギター
07.love
08.終演です
09.青春のウソホント
10.衣替え
11.快速急行
12.Passengers
13.Suagari
14.煙
15.インターネットを憎まないで
16.薄暮
17.ルーチン・トラブル!
18.足音
19.グレモンハンドル
20.六甲シティEncore
21.EIGHT BEAT SEASON
22.ヒットソングシーズン●ライブ情報
171 presents「現在地フェス 2026」
2026年8月16日(日)大阪・⼼斎橋LIVE HOUSE ANIMA&Pangea<出演>
171 / エダワカレ / お先真っ暗 / 神々のゴライコーズ / 降之⿃ / SYAYOS / 衝動⾰命 / DNA GAINZ / 東京パピーズ / バイセーシ / フリージアン / Hue's / Jose / muk / mogari / 弱⾍倶楽部 / ヨークシン
提供:SPEEDSTAR RECORDS
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部