All photo by 羽場功太郎「LIVE SPARKS!」では、今注目すべき新進気鋭のアーティストのライブレポートをお届けします!
和テイストのSEや紗幕に投射された映像によって、ここがパンパンに埋まった代官山UNITのフロアであるという現実と、
なるみやがその音楽表現でもって創出せんとする仮想空間との境界が、じわりと融解していくようなオープニング。やがて紗幕の向こう側へと登場した彼女は、舞いのような艶やかなジェスチャーとともに、ウィスパー混じりに可憐な歌声を揺蕩わせ、ふわりとメロディへ乗せていく。
活動開始からまもなく3年、22歳の誕生日当日に迎えた初の全国ツアー「夢見行脚」初日。スタンディング形式でのライブ自体も初めてということで、オーディエンスの視線の近さに驚いてみせたりとフレッシュなリアクションはあったものの、パフォーマンス自体は実に堂々たるものであった。ライブの縦軸として配されていたのは“可愛いあの子が気にゐらない”や“通心障害”、“桃色の血潮”といったダンスビートの楽曲だ。……と言ってもドラムンベースや2ステップ、エレクトロスウィングなど多様な要素を含むうえに、コロコロと拍子を変えたりとまったく一筋縄にはいかない。極め付けは、高速BPMで突っ走りながら突如として3拍子となり、アイドルポップ顔負けのカラフルなサビが来たかと思えば、パッヘルベルの“カノン”を引用してみせたりという“永眠のすゝめ”。こうして文字にすると難解でしかないのに、体感としてはすんなりポップに聴かせてしまうバランス感覚は特筆すべき強みだろう。
また、新たな試みとして“夏の悪夢”とリリース未定の新曲をピアノで弾き語るシーンもあった。自らを「弾き語り苦手系アーティスト」なんてカテゴライズ(?)していたが、言葉とは裏腹に実に表情豊かな鍵盤のプレイも、一段と力強くエモーショナルな響きを得た歌声も逸品。特に、合唱コンクールで歌われてもおかしくないくらいのポピュラリティを備えつつ、パーソナルな心象風景を描き出すという新曲の二面性に引き込まれたが、なるみやという存在が持つ二面性はそれだけじゃない。シリアスな歌唱とフレンドリーでくだけたMCしかり、顔出しをしないスタイルと赤裸々に内心を開示するリリックも、オリエンタルな和音階やレトロなスウィング感を愛用しながら、ロー域をドカンと押し出してダンサブルにまとめたサウンド面もそう。一見するとアンビバレントなマテリアルの共存こそが、彼女の放つ存在感をひときわ色濃く鮮やかなものとしているのだ。
ライブ終盤には、ここ最近でライブに対する考えの変化が起きたことも明かし、自分と似た感性を持っているであろうファン/リスナーにとってのコミュニティとして、みんなが集える場にしていきたいのだと宣言。自己評価からして「ネガティブ」だし、歌詞の内容もシニカルでルーザー感が付きまとうものが多いが、そこに共鳴して集まったオーディエンスにとっては彼女の表現こそが確かな光に成り得る。そんな確信がしなやかな強さへと変換され、明白な形で自らの殻を破るにまで至るライブだった。向こう半年にも及ぶロングツアー、たくさんの新たな出会いを経たなるみやはどんな姿を見せてくれるのだろうか。前途は明るい。(風間大洋)
このライブレポートは、5月29日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号にも掲載!
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●ライブ情報
なるみや Live Tour 2026 “夢見行脚”
自身初となる全国7都市を巡るツアー
【日時・会場】
20265.6 (Wed) 東京 代官山UNIT (OPEN 15:15 / START 16:00)
2026.6.14 (Sun) 大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE (OPEN 15:30 / START 16:00)
2026.7.20 (Mon) 愛知 ell.FITS ALL (OPEN 15:30 / START 16:00)
2026.8.22 (Sat) 福岡 INSA (OPEN 15:30 / START 16:00)
2026.9.19 (Sat) 北海道 SOUND CRUE (OPEN 15:30 / START 16:00)
2026.10.10 (Sat) 宮城 LIVE HOUSE enn 2nd (OPEN 15:30 / START 16:00)
2026.11.1 (Sun) 広島 SIX ONE Live STAR (OPEN 15:30 / START 16:00)
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なるみや オフィシャルサイト
提供:ユニバーサルミュージック
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部