●セットリスト
1.BERSERKER TUNE
2.The World Record
3.Alternative Dancer
4.DAY TO DAY
5.タイムリープ
6.Man-like Creatures
7.Lightning
8.Braver
9.SAD AND BEAUTIFUL WORLD
10.冬の太陽
11.TRAIN
12.VANISH
13.瞬きをしない猫
14.KILLER TUNE
15.DISCOGRAPHY
16.灯り
17.鱗(うろこ)
18.Boy Friend
19.彩雲
20.REMINDER
21.The Future Is Now
22.原色
23.Melodic Storm
24.シーグラス
(アンコール)
EN1.From Noon Till Dawn
EN2.羊の群れは丘を登る
(ダブルアンコール)
WEN1.スパイラル
WEN2.ROCKSTEADY
「もうずっと前から、今日のことを考えて準備してきたんで。今日で今日が終わるっていうのが信じられません……まだ全然終わってないけど(笑)」。冒頭から祝祭感に沸き返るホールを見回して、ホリエアツシ(Vo・G・Piano)が晴れやかな表情で語りかける。
「今日、本当に全部出し切って、今日が最後でもいいっていうぐらいの気持ちでやりたいと思います。でも――明日になったら、『またすぐやりてえ!』って思うぐらい、楽しいライブにしましょう。俺たちストレイテナーっていいます。よろしくお願いします!」。そんな宣誓とともに、ライブは刻一刻と歓喜と熱を帯びていく――。
スタンディングアリーナ&スタンド席を埋め尽くしたオーディエンスの情熱と、高純度に磨き抜かれたロックとメロディが真っ向から共鳴し合ったこの日のアクトはそのまま、ストレイテナーというバンドの揺るぎない核心を何より鮮やかに象徴するものだった。
大山が加入して4人編成になってからすでに10年。あたかもひとつの生命体の如く躍動するそのサウンドスケープが、“DAY TO DAY”、“タイムリープ”といった近年の楽曲はもちろんのこと、“Man-like Creatures”、“TRAIN”といった歴代の代表曲にも、ホリエがエレピやピアノの音色を奏でる“Lightning”、“Braver”の風景にも、格段に伸びやかなスケール感を与えている。
「ずっとここにこれ(センターステージ)があって、邪魔だと思ってたでしょ?」とホリエが観客に語りかければ、「手品で言えば『あの帽子から鳩を出すんだろうな』ぐらいバレバレだったね(笑)」とナカヤマが続ける。正方形のステージを土俵に見立てて「せっかくだから、相撲取る?」と言うのは日向。「四方に人がいると……くだけづらいね(笑)」とホリエはやや照れつつも、MCになるとここ最近のライブではお馴染みのリラックスしたトークを繰り広げ、ホールを沸かせていく。
その一方で、「20周年も終わって、21年目に入りました。ツアーにも足を運んでくれた人も多いと思います。今日は、もう次に行きたいなと思って。今までのストレイテナーじゃないぜっていうところもね、見せたいわけですよ!」というホリエの勇壮な言葉に、一面の拍手喝采が広がる。
「20周年で散々過去の話を振り返ってきたんで、今日は未来の話をしようかなと思ったんですけど……未来のことは全然わかんない(笑)」とホリエ。「俺たちは、自分たちを裏切らないカッコいい音楽を作って、みんなと一緒に楽しいライブをやるだけです。これから先、何が未来にあるかわかりません。でも一個だけ確実なこと――こうやってこの4人が出会ったからには、ストレイテナーは今までも、これから先もずっと、この4人でやりたいと思います!」。そんな言葉に続けて鳴り渡った“The Future Is Now”が、ひときわポジティブな生命力とともにホールの空間を満たしていった。
“From Noon Till Dawn”の《今だったら言える この世は素晴らしい》のラインで《〜言える みんな愛してるぞ!》と叫ぶホリエに、会場の温度はなおも天井知らずに高まり、“羊の群れは丘を登る”でフィナーレ――と思いきや、三たび舞台に4人が登場。
「みんなそれぞれの人生だから、いつかストレイテナーの音楽が必要なくなる時が来るかもしれないじゃない? でも、あなたのこの先の人生のどこかでまた、俺たちの音楽が鳴り響くような時が来たらいいなと思って、俺たちはずっと鳴らし続けるんで」……そんな言葉とともに演奏されたのは、この日のために作ってきたという新曲“スパイラル”。ツアーのドキュメンタリー映像が映し出される中、アコギをフィーチャーした凛とした楽曲越しに「今」の感慨を歌い上げるこの曲が、観客の想いをさらに高ぶらせていく。この日のラストナンバーは、バンドのキャリアとともに在り続けたロックアンセム“ROCKSTEADY”。彼らの21年史を未来へとつなぐ、金字塔的な名演だった。(高橋智樹)