the GazettE/横浜アリーナ

the GazettE/横浜アリーナ - Photo by KEIKO TANABEPhoto by KEIKO TANABE


●セットリスト
SE. 99.999
1. Falling
2. NINTH ODD SMELL
3. GUSH
4. CLEVER MONKEY
5. GABRIEL ON THE GALLOWS
6. 裏切る舌
7. THE MORTAL
8. 虚 蜩
9. その声は脆く
10. BABYLON’S TABOO
11. DOGMA
12. INCUBUS
13. TWO OF A KIND
14. UGLY
15. ABHOR GOD
16. 関東土下座組合
(アンコール)
EN1. GO TO HELL
EN2. INSIDE BEAST
EN3. 貴女ノ為ノ此ノ命。
EN4. HEADACHE MAN
EN5. ATTITUDE
EN6. TOMORROW NEVER DIES
(Wアンコール)
WEN1. UNFINISHED


the GazettE/横浜アリーナ - Photo by KYOKA UEMIZOPhoto by KYOKA UEMIZO
the GazettE/横浜アリーナ - Photo by KEIKO TANABEPhoto by KEIKO TANABE

2018年6月にリリースされた9thアルバム『NINTH』をひっさげ、「PHASE #01」から「PHASE#05」まで、ホールツアー、Zeppクラスのスタンディングツアー、目黒鹿鳴館などのミニマルなライブハウスツアー、さらにワールドツアーと、全61公演を駆け抜けたthe GazettE。ありとあらゆる場所で『NINTH』の楽曲を、そして現在進行形の自分たちを試すようなツアーは、彼らにどんな進化をもたらしたのか? その答えが刻まれたファイナル・横浜アリーナ公演のレポートをお届けする。

the GazettE/横浜アリーナ - Photo by YOSHIHIRO MORIPhoto by YOSHIHIRO MORI
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ライブのオープニングは、アルバムと同じく“99.999”。インダストリアルな轟音と大歓声がメンバーを迎え入れる中、RUKI(Vo)のシャウトを合図に“Falling”で幕を開けた。獰猛なローを操りグルーヴを牽引する戒(Dr)とREITA(B)、時に力強いリフ、時に繊細なアルペジオやソロで楽曲を彩る麗(G)と葵(G)、グロウルからファルセットまで、さまざまな声色で空間を揺らすRUKI。そして、ステージから発せられる5人のエネルギーに負けじと、一丸となってヘッドバンギングやジャンプを繰り出すオーディエンスもまた、この日の立役者だった。
セットリストの核は、多様なツアーで鍛えられ、この会場で暴れ回るのを待っていたかのように次々と襲いかかる『NINTH』の楽曲たち。ストレートな楽曲が多いぶん、バンドの存在がより際立っている。もちろんthe GazettEらしく、演出や衣装などで世界観は作り込まれているのだが、なにより彼ら自身の生身の熱がそのすべてを凌駕しているのだ。だからこそ、ヘビーなライブでは線が細い印象になってしまいそうな“虚 蜩”や“その声は脆く”などのメロディアスな楽曲も、バンドのグルーヴで聴かせる堂々たるロックバラードとして響き渡っていたのが印象的だった。
一転、赤を基調とした陰鬱な演出で始まったのは、前作『DOGMA』からの“DOGMA”と“INCUBUS”。発散する熱だけでなく、内側から侵食されるようなダークさを起爆剤に『NINTH』の世界がいっそう深まっていく。
そこからの後半戦はもはや怒涛。「ついてこいよ!」、「もっと! もっと声を聞かせろ!」と攻め立てるRUKIと、それぞれ花道の端に身を乗り出したり、お立ち台に立って煽るメンバーに、沸点を上げ続けるオーディエンス。互いに求め合いながらも、全身全霊でぶつかり合うような相乗効果が凄まじい。トドメとばかりに「地獄へようこそ!」と始まった本編ラストのキラーチューン“関東土下座組合”で、ステージも客席もまるごと一体化した狂騒が横浜アリーナを制圧していた。

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アンコールは、イントロの麗のワンストロークで悲鳴があがった初期曲“貴女ノ為ノ此ノ命。”を含め新旧織り交ぜたセットリストを展開。MCでは、RUKIが「今日『NINTH』ツアーに初めて来る人もいると思いますし、the GazettEのライブ自体が初めてって人もいると思うんですけど、相変わらずこんな感じでやってます」と語る。ファイナルの場所に選んだ理由として「(横浜アリーナは)まず見た目がかっこ良くない?」というのもRUKIらしいが、さらっと言ってのけたその「相変わらず」がどれだけ難しいことか、いかに彼らが一つひとつ壁を越えて掴んできたか、である。『NINTH』はたしかに、これまでthe GazettEが作り上げてきた自身の「王道」をふたたび更新した作品だった。それは過去をしっかりと見つめ直した肯定の先にしか生まれない。さらにRUKIは、フェスなどのステージに立つ時「みんなも含めてthe GazettEだから。ある意味、おまえらは俺らの武器でもある」と続けた。ついてこられるオーディエンスがいなければ、これだけアグレッシブなライブは成立しない。まさにそれを証明するように、全員で高め合った熱狂のラストは《此処に孤独を捨てに来ればいい》と「明日」を歌う“TOMORROW NEVER DIES”。唯一無二の「相変わらず」に懸ける想い、それを支え続けてきた絆に、改めて胸が熱くなった。
止まない歓声に応えたダブルアンコールでも、真摯に感謝を語ったRUKI。「俺らの命を懸けた夢をみんな一緒に見ていって下さい。ついてこいよ!」という言葉とともに、その想いをまっすぐ込めて“UNFINISHED”が贈られる。銀テープとともに眩いメロディが降り注ぎ、満場の笑顔が灼熱の夜のフィナーレを彩った。

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結成15周年を経て生まれた『NINTH』、そしてこの61ヶ所の挑戦。それは、どんな場所でもthe GazettEがthe GazettEであるための自信を掴む道程だったに違いない。ライブ終了後には、2020年3月10日の結成18周年ライブ開催が告知された。その自信を手に、ますます結束を強めて突き進む彼らが次にどんな景色を描くのか、楽しみでならない。(後藤寛子)
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