「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂

「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂 - All Photo by 石井麻木All Photo by 石井麻木

●セットリスト
1. BBQ Riot Song
2. The Autumn Song
3. 虹
4. スターフィッシュ
5. Make A Wish
6. Salamander
7. Alternative Plans
8. Marry Me
9. Space Sonic
10. ジターバグ
11. 金星

「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂

8月28日に行われた「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」。最大同時視聴者数は約21万、総視聴回数は約83万、Twitterのトレンド1位、世界でも4位という数字からも、ものすごい注目を集めたことがわかると思う。Super Chat(投げ銭)の様子からは、ファンの歓喜も手に取るように伝わってきた。アーカイブは残っていないけれど、このレポートから、あの特別な夜の模様が届けられればと思う。少なくとも私には、序盤は意外にも感じたのだけれど、時間がたつごとにいろいろと思い出されて、結果的には彼らの、あらゆる意味での本質が覗くパフォーマンスになったように見えた。

生配信の終盤に明かされたが、場所は猪苗代野外音楽堂。ライブはアコースティックで、野外でキャンプファイヤーのように火を4人が囲むスタイル。背景には蛍のように温かな照明が点在する、フェスさながらの雰囲気だった。

「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂
「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂
まず、さきほど「意外に感じた」と書いた理由は、MCが多かったのだ。昔話から最近の話まで、シリアスな話からユルい話まで(酒の勢いもあってか)おおらかに談笑していた。私はてっきり、ストイックに演奏するものだと想像していたため、最初は驚いた。しかし、だんだん、なんだかこれ記憶がある……あ! というか、これこそELLEGARDENじゃん!とハッとした。いや、別に彼らが、以前のライブでこれほど長いMCをしていたわけではないのだが、おおらかな空気とELLEGARDENの記憶が、頭の中で結びついたのだ。

「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂
復活後の彼らは、久々のライブというだけではなく、大きなステージが多かったためか、ピリッとした緊張感があったし、それを越えたところには、オーディエンスの存在も相まって、感動的でドラマティックな空気が待っていた。この生配信のライブも、彼らにとっては10年以上ぶりのアコースティックということで、演奏に緊張感もあっただろうし、目の前にオーディエンスが見えないやりづらさもあっただろう。しかし、そのことによって、いろんなものがない状態の原点に近い彼らの姿が感じられたとは思う。

「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂
「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂
それは演奏に関しても言えることで、普段はアグレッシブなバンドサウンドで鳴らされている楽曲のアコースティックアレンジから、新たに気づかされたこともたくさんあった。ひとつひとつの楽器のクリアな音から伝わる、直のぬくもり。細美武士(Vo・G)と生形真一(G)の歌声のハーモニーの美しさ。疾走感に夢中で身をゆだねている時にはわかりにくかった技巧や構成も繊細に伝わってきて、うっとりと聴き惚れてしまった。

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まあ、“Make A Wish”をやり直したり、久々に演奏した“Alternative Plans”(感涙!)をトチった細美が土下座する場面も見られたが、彼ら自身も「昔からライブ来てる奴は『出た!』って思ってるよね(笑)」と話していたけれど、うん、失礼ながら、ELLEGARDENに完璧なバンドというイメージはなかった(笑)。もちろん名曲ばかりだし、伝説的に語られることも多いけれど、何より彼らは、涙が出るほどの楽しさもハラハラするほどの危うさもある、とことん生身なところが最高に魅力的なのだ。

「ELLEGARDEN 2020 YouTube生配信」@猪苗代野外音楽堂
序盤から高橋宏貴(Dr)が涙する姿に、ELLEGARDENの楽曲が本当に好きなんだなと思えたこと。高橋と高田雄一(B)が、“Salamander”のイントロで花火を点けて急いで演奏に戻るアイディアを細美から投げかけられた時の、唖然とした高田の表情(手作り特効、きれいでした)。生形と高田という珍しいコンビのトーク。などなど、この日らしい、彼ららしい印象的なシーンもたくさん見ることができた。でも、やっぱり彼らは、休止前から固い信頼関係を築いていた「あいつら」に会いたい、と何度も言っていた。それが叶う日を、これからも待ちわびていようと思う。(高橋美穂)

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