LOVE PSYCHEDELICO/LINE CUBE SHIBUYA

LOVE PSYCHEDELICO/LINE CUBE SHIBUYA - All photo by 岡田貴之All photo by 岡田貴之

●セットリスト
01.LADY MADONNA 〜憂鬱なるスパイダー〜
02.No Reason
03.This is a love song
04.Beautiful days
05.Shining On
06.Rain
07.Secret crush
08.Last Smile
09.fantastic world
10.This Moment
11.Swingin’
12.Your Song
13.This way
14.Aha! (All We Want)
15.Everybody needs somebody
16.Freedom
(アンコール)
En1.Standing Bird
En2.A DAY FOR YOU


LOVE PSYCHEDELICO/LINE CUBE SHIBUYA
LOVE PSYCHEDELICOは去年、デビュー20周年を迎えました。20年だよ! 今まで、こうやってみんなと出会えたことが……宝物だな、うん」と想いを語るKUMI。「1年間、待っててくれてありがとう!」と呼びかけるNAOKI。ふたりの万感の言葉に応えるように、オーディエンスの多幸感が熱い拍手となって、ホール一面に広がっていく――。

LOVE PSYCHEDELICOのデビュー20周年を記念した全国ツアー「LOVE PSYCHEDELICO 20th Anniversary Tour」(振替公演)も終盤に差し掛かった7月9日、東京・LINE CUBE SHIBUYA。新型コロナウイルス感染拡大の影響による約1年間の全公演延期を経て、ようやく開催が実現した。その東京公演2Days・1日目のステージは、20年の時を重ねてなお、いや今こそ輝きを放つLOVE PSYCHEDELICOという音楽の在り方を、改めて明快に伝えるものだった。

LOVE PSYCHEDELICO/LINE CUBE SHIBUYA
LOVE PSYCHEDELICO/LINE CUBE SHIBUYA
サポートメンバーの富田政彦(Dr)/高桑圭(B)/深沼元昭(G)/松本圭司(Key)とともにこの日のアクトに臨んだKUMIとNAOKI。開演早々いきなり響き渡ったイントロは、デビュー曲“LADY MADONNA 〜憂鬱なるスパイダー〜”。歓声も歌声も禁止、というコロナ禍ゆえの環境にもかかわらず、その歌とビートに身を委ねて踊り、手を挙げる観客の躍動感が、会場の開放感を一気に高めていくのがわかる。
「素敵な夜にしようね!」と呼びかけるKUMIの言葉を挟んで流れ込んだ“No Reason”ではNAOKIのギターソロが激しくうねり、アコースティックギターの音色が弾けるカントリー〜フォーク調の“Beautiful days”が、客席を高らかなクラップに包み込んでいく。

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日本語と英語を自然に織り重ねたKUMIのボーカリゼーション。1960〜70年代ロックのエッセンスを全身で呼吸しながら、まったく新しい色彩感の2000年代のポップミュージックとして咲き誇らせた音楽性――LOVE PSYCHEDELICOの表現は、それ自体がひとつの発明だった。
2010年代以降の日本の音楽シーンを席巻した、音の幾何学模様の如き複雑なアルペジオのシーケンスも、エクストリームな高速BPMのリズムも、この舞台には存在しない。ただ、ロックとポップの黄金律とでも呼ぶべきシンプルで揺るぎないメロディと楽曲が、確かなビートとともに風のように伸びやかに鳴り響いている。そして、それが何より心地好く、心強い。
移り変わる時代性や流行に囚われないからこそ、時代を超えたエバーグリーンな訴求力を放ち続けている――というLOVE PSYCHEDELICOの本質が、名曲“Last Smile”をはじめとするこの日の演奏から鮮明に浮かび上がってきた。

LOVE PSYCHEDELICO/LINE CUBE SHIBUYA
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20年以上の時が経っても、KUMIの豊潤な歌声はしなやかな浮力に満ちていたし、ワイルドなリフからスライドギターのソロフレーズまで自在に繰り出すNAOKIのプレイスタイルは、より一層ロックスター然とした存在感を高めていた。
最新デジタルシングル“Swingin’”から、NAOKIのアコギソロ〜セッションパートを挟んで“Your Song”、そこから「みんな、もっと一緒に踊れる?」(KUMI)と“This way”で客席にクラップの輪を描き出す……といった具合に、会場は刻一刻と高揚の頂へと導かれていく。そして、「本当に素敵な夜をありがとう! 愛してるよ、みんな」というKUMIの言葉とともに披露された“Freedom”が観客のエモーショナルなジャンプやダンスを誘い、本編ラストを一面のクラップで飾ってみせた。

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アンコールでは“Standing Bird”、さらにKUMI/深沼/松本がアコギを奏でて歌い上げる“A DAY FOR YOU”で大団円。6人全員で一礼したあと、KUMI&NAOKIでハイタッチする姿に、そして「また会おうね!」と軽やかに呼びかけるKUMIの声に、ひときわ熱い拍手が降り注いだ。(高橋智樹)

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