真心ブラザーズ @ ZEPP TOKYO

真心ブラザーズ @ ZEPP TOKYO - 真心ブラザーズ真心ブラザーズ
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真心ブラザーズ、デビュー20周年。それを記念して今年はリリースやステージで様々な企画が予定されているらしいのだが、まず今回は若手グループとの対バン形式で行われるライブだ。しかもZEPP TOKYO2デイズである。気になる若手ゲストはというと、初日がチャットモンチー、2日目がフジファブリックという、豪華かつフレッシュかつ勢いに満ち満ちた顔ぶれ。題して『真心の先輩風でビュービュー』、2日間とも観させて貰ったので、まとめてどどんとレポートさせて頂きます。

まずは初日。開演と同時にYO-KINGと桜井秀俊が登場し、前説からゲストの呼び込みを行う。と思いきや、なんといきなりチャットモンチーとのセッションからスタートしてしまったのだ。この辺、ただの対バンには終始しない豪華企画である。さすがに用意は抜かりない。5人が横一線に並び、真心のギターに合わせて一人ずつ自己紹介の歌を歌う、桜井が言うところの「“会員番号の唄”的な」オリジナル・ソングだ。楽しい。そして、ややもするとオーディエンスより楽しんでいそうなのが壇上の5人、とりわけ真心なのである。さて、ここからはチャットモンチーの持ち時間だ。いきなりユルいお祭りムードを一変させる、タイトなバンド・アンサンブルが轟いた。凄い。凄いロック・バンドだ、チャットモンチーは。こういう雰囲気の変化で、そのグループが持つ「ロック力」のようなものが明らかになる。“恋の煙”“シャングリラ”という必殺チューン2曲を叩き付けた後、新作アルバム『告白』の収録曲を次々に披露してゆく。冒頭の2曲の盛り上がりは当然カタいが、更なる凄みを見せつけたのがこの『告白』の曲群だった。自由奔放なのにキャッチーなソング・ライティングと、歌詞の物語性をドラマティックに演出してゆくプレイ。若くして早くもロックの教科書みたいな存在になってしまった。

これに対し真心、4ピースでの再登場と同時に、無言で演奏をスタートさせる。ブルージーで重厚な“うみ”“マイ・リズム”と、貫禄のロック・モードで応酬である。YO-KINGの迫力のブルース・ハープが耳を貫く。THE真心ブラザーズ時代の楽曲は、今の彼らの高揚感のあるファンキーなロック作品とは違うが、シリアスに胸を打つロック・ソングとしての性能はやはり飛び抜けて高い。本人達は「当時の曲は盛り上がる曲が少ない」と語っていたけど、20周年を良い機会にもっともっと、今のバンド・グルーヴで聴かせて欲しい。今度は一転、桜井作の穏やかで優しいフォーク・ロック風の新曲へと繋いだ。“それが本当なら”では、YO-KINGがドラマーを務める。「チャットモンチーを意識した編成で、えっちゃん気分で歌いたいと思います」とは桜井の弁だ。この後、ドラム・セットに機材トラブルが起こってしまったりもしたのだが、慌てず騒がず、当初の予定にはなかった“荒川土手”の2人の弾き語りで埋め合わせてしまう。さすがの年季、さすがの舞台強さ。YO-KINGの口笛と桜井のギターのハーモニーがたまらなく良い。ラストは2曲をボルテージ高く走り抜けて、見事な先輩ぶりを見せつけてくれた。

さあ、ここからは再び、お楽しみのセッション・タイムである。まずはYO-KING、えっちゃんのギター・エフェクターの数の多さをいじる。あっこちゃんの方に目をやっては、「あんたもベースのくせにゴテゴテゴテゴテ……こらーっ!!」と先輩風暴風圏に突入である。なんでえっちゃんには言わないんだ。でも、なんか気持ちわかるかも。ここは、どこか体育会系ノリのあっこちゃんが残念賞というか役得というか。さてさて、それにしてもこのセッション・タイムが豪華だった。チャットの“ハイビスカスは冬に咲く”は、あのバウンシーに展開するパートの後に、「うー、モルツーモルツーモルツーモルツー♪」とアクロバティックに繋ぐスペシャル・バージョン。なんか妙にはまってるのが凄い。そしてこの5人によるYUI“CHE.R.RY”のカバー。これまた何たる華やかさ。真心2人のノリノリぶりがまたおかしい。“拝啓、ジョン・レノン”のえっちゃんの歌もサマになっていて格好よかった。なんか豪華すぎて、頭かかえましたよ、俺。

一夜明けての2日目。頭上の低気圧は、真心の先輩風ビュービューによるものだそうだ。紹介を受けて先行するのはフジファブリック。ソリッドに纏まったバンド・アンサンブルが、志村の一癖も二癖もあるソングライティングを力強く盛り立てていく。ダンス・ロックだろうが“若者のすべて”のようなミディアムのメロディアスな曲であろうが、きっちりとバンド・グルーヴとしてオーディエンスに叩き込んでゆくところが素晴らしい。「これ、前から歌って欲しかったんですよー」とYO-KINGを呼び込んで披露されたのは、“線香花火”。ファンキーな演奏にソウルフルな歌唱、確かに、あつらえたように相性バッチリなのである。YO-KINGに負けじと、一層高らかに声を張り上げる志村。“Sugar!!”を含めて新曲3曲を絡めながらの、来るニュー・アルバムへの期待感を募らせるような、堂々たるパフォーマンスであった。

そして真心は、前日のシンプルなバンド・セットとはうって変わり、MB’S全8名を引き連れての大所帯編成だ。最新アルバムの冒頭曲から“BABY BABY BABY”へと傾れ込む、賑々しいホーン・サウンドに包まれてのキラーなセットである。フジファブリック・志村を呼び込む際には、桜井が志村の背後から迫り、YO-KINGが「志村、うしろー!」と叫ぶネタも披露。いじっております。というか“マイ・ガール”での志村が焚き付けられてラップ・パートでノリノリだったのが、なんか意外でおもしろい。昨日とは異なる新曲“Song of you”(タイトルは変わるかも知れないと言っていた)では、桜井たっての要望でコール&レスポンスの仕込みが入る。「2009年の夏はもらった!」というこの自信作は、ROCK IN JAPAN FESTIVALのステージをイメージして作ってくれた曲らしいので、ファンは楽しみにしていて欲しい。仕込みを待つまでもなく、爽やかでアッパーなサマー・チューンである。名曲連打/華やか&クソファンキーなMB’Sの演奏で、パーティー請負人チーム面目躍如、といった様子の、この日の真心であった。

ところがパーティーはこれでは終わらない。フジファブリックとのセッションに突入した7名のスペシャル・バンドは、いきなり“どか〜ん”を投下。オーディエンスも更に加熱する。前日の“CHE.R.RY”に対抗するカバー曲では、なんとアリス“冬の稲妻”を披露してしまう。フジのタイトな演奏に、この曲の肝であるハーモニーがしっかりと映えていた。MB’Sの鍵盤奏者・小川はフジ・金澤の師匠にあたる人らしく、実質的な先輩後輩キーボード対決でけたたましいソロをプレイしたりもする。挙句の果てにアリスのカバーは“チャンピオン”までやってしまったのだが、タイトな演奏はキープしていることをさっぴいても、これではほぼものまねカラオケ大会である。このまま打ち上げになってしまうのではないか、というノリノリぶりであった。それにしても、本当に豪華で、フレッシュな実力派バンド2組を前に貫禄を見せつけてくれて、そして笑いと感動のための準備がしっかりなされていた素晴らしいイベントであった。もし出来得ることなら、ぜひとも継続的なイベントにして頂きたい。(小池宏和)

4/24 セットリスト

真心ブラザーズ&チャットモンチー
1. 真心とチャットモンチーの夜

チャットモンチー
1.恋の煙
2.シャングリラ
3.8cmのピンヒール
4.染まるよ
5.バスロマンス
6.長い目で見て
7.Last Love Letter
8.恋愛スピリッツ
9.風吹けば恋
10.ヒラヒラヒラク秘密の扉

真心ブラザーズ
1. うみ
2. マイ・リズム
3.風を浴びて君想う(新曲)
4.それが本当なら
5.傷だらけの真心
6.高い空
7.荒川土手
8.人間はもう終わりだ!
9.スピード

真心ブラザーズ&チャットモンチー
1.ハイビスカスは冬に咲く〜モルツのテーマ
2.CHE.R.RY(YUIカバー)
3.拝啓、ジョン・レノン

アンコール
4.真心とチャットモンチーの夜


4/25 セットリスト

フジファブリック
1.ダンス2000
2.Sugar!!
3.バウムクーヘン
4.若者のすべて
5.線香花火 w/YO-KING
6.Merry-Go-Round
7.TAIFU
8.Surfer King

真心ブラザーズ
1.Sometimes時々
2.BABY BABY BABY
3.新しい夜明け
4.マイ・ガール w/志村
5.Song of you(新曲)
6.愛
7.ENDLESS SUMMER NUDE
8.EVERYBODY SINGIN’ LOVE SONG

真心ブラザーズ&フジファブリック
1.どか〜ん
2.冬の稲妻
3.STONE
4.TEENAGER

アンコール
5.チャンピオン
6.どか〜ん
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