キルスウィッチ・エンゲイジ @ O-EAST

Beast Feast、Extreme The Dojo、Taste Of Chaos、Loud Parkと、この国で開催されたラウド系のイベントを制覇しているキルスウィッチ・エンゲイジ(KSW)。まだ暗くなったばかりだが、今回初となるヘッドラインとしてのジャパン・ツアーの前座に抜擢されたザイ・ウィル・ビー・ダン(TWBD)がステージに立ったとき、既に満杯だった会場が、KSWがコツコツと日本で築き上げた絶大な人気を物語っていた。そのTWBDは、ヘイトブリードのジェイミーが運営するレーベルの期待の新人バンドなのだが、クロウバーやセパルチュラなどのカバー、そしてギタリストのパンテラのTシャツから察するように、音はどっちかっていうと、最近のメタルコアより、一昔前の\'90年代のヘヴィ・ロックを基盤にした、わりとオーセンティックでストレートなもの。だが、集まったキッズはそんなのお構いなし。ダイブ&モッシュはもちろんのこと、この手のライブでは最近欠かせないウィンドミルやハイキックを連発し、“今風”に場を盛り上げる。既に準備運動を通り越して、早くも会場を本気モードにさせていた。

そして、KSW登場。1曲目からして会場は合唱大会と化する。2年前の『アズ・デイライト・ダイズ』の曲を中心に、新旧の人気曲を織り交ぜたセットは文句なしのでき。ヘヴィなリフ嵐の中に随所に“エモ”な美メロを挟んだ彼らの楽曲に、激しくリアクションするのはもちろんありだが、一緒に歌って男泣きするのもヨシ。それだけにオーディエンスも一辺倒に暴れるのでなく、あらゆる曲面にあわせて臨機応変に対応していたのだが印象的だった。フロントを務めるハワード、リーダーであるギターのアダムの親近感ある人懐っこい佇まいも相俟って、エクストリームなその音楽とは裏腹に、和やかなムードが会場全体を覆っていた。っていうか、この人たち、あまりにも“いい人たち”ぶりが滲み出すぎ。ハワードに至っては顔はぜんぜん違うけど、その振る舞いと体格は、元ヤクルト/現巨人の人気者のラミちゃんそっくりだし(運動会みたいな赤帽は一体?)、シーツでできたマントを羽織っているアダムはもろオタク・キャラ(しかもマントの下は“レッドソックス”、“マツザカ”とカタカナでプリントされたTシャツに半ズボン)。一昔前、わりと小動物系の観客に支えられていたけど、今となっては外国でもバリバリ通用するいかついメタラーがフロアを埋め尽くす、近年の日本のヘヴィ・ロック・シーンを考えると、ステージの上と下にいる人間がまるで入れ替わったような光景で、それはそれで非常に興味深いものがあった。

最後、代表曲“マイ・ラスト・セレナーデ”で一際エモーショナルな合唱を巻き起こして、ディオのおおしろカヴァー“ホーリー・ダイヴァー”でセットを閉じたキルスウィッチ・エンゲイジ。今後も末永く、ジャパン・ヘッドライン・ツアーを繰り返してくれることは確実だろう。(内田亮)
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