RIP SLYME@ZEPP TOKYO

RIP SLYME@ZEPP TOKYO
RIP SLYME@ZEPP TOKYO
RIP SLYME、2010年最初で最後のワンマン・ライブにして、毎年恒例のクリスマス特別企画ライブ。ただし、2003年だけはやらなかった。と、MCでRYO-Zが言っていた。ネタを思いつかなかったそうです。「動物限定ライブ」というアイデアはあったけど、ボツったそうです。
要は、このシリーズ・ライブはまず「ネタありき」なわけで、「子供限定ライブ」(行きました)「男限定ライブ」(行った行った)「カップル限定ライブ」(これも行った)「オーケストラと一緒にやるライブ」(行った気がする)「鬼のようにゲストが出るライブ」(これすげえよかった)「マニアックな選曲でやるライブ」(これは去年ね。結構行ってるな俺)などなど、毎回企画を盛り込みながら2000年から続いているわけです。
ただし。その10回目なので「RIP SLYME SWEET 10 X’mas Live」と銘打たれた今回は、ある意味初めて「そうではない」ライブだった。
つまり、ネタが何にもなかった。ただ、「何にもない」のではなく、「何にもない」ということをやってみる、という趣旨のライブだった。のではないか。

まず、ホール内に入ってステージを見ると、DJブースがひとつしかない。FUMIYAが病気療養で休んでいた期間代役を務めたDJ SOMA、FUMIYA復帰後もツインサポートDJとしてずっとライブに参加し続けていた彼が、いない。で、1曲目“Supreme”のイントロが鳴り、シルクハットに上半身タキシードに目んとこにマスク(RYO-Z曰く「オペラ座の怪人仮面」)という姿の、PES・SU・ILMARI・RYO-Zが、その順番で登場、1バースずつ歌っていく、という始まり方だったんだけど、2曲目“SCAR”からがすごかった。
そのまま7曲目“GALAXY”まで、DJ仕様(曲がつながってるってことね)でノンストップ。もう、ほんと「怒濤」というのはこういうこと、とか言いたくなるすごいテンション。どの曲もトラックがオリジナルとは作り替えられている、というのはRIPの場合珍しいことではないけど、どの曲もそのリアレンジが「音バキバキ」な方向につっ走っている。“FUNKASTIC”、途中でキックだけになっちゃうし。“楽園ベイベー”、ハードハウスみたいにトラックになってると思ったら、後半ピアノ・ハウスに変わるし。
それ以降も然りで、ゲストMCやゲストボーカルなし、ゲスト・ミュージシャンもゼロで、最後まで5人きりで押し切ったステージだった。なんか、すんごいストイック。これ、ほんとにRIP SLYMEのクリスマス・ライブか? と思うほど。企画ライブぽかったのは、「ネットで人気投票をやって1位になったので」という理由で、『BAD TIMES』収録曲の“ミニッツ・メイド”をやったことぐらいだった。

ただ、といってもRIP SLYMEなんだから、本当に簡素で何にも演出がないライブではない。MC4人、1曲目はスタンドマイクで歌い、2曲目からハンドマイクになるのかと思ったらそのスタンドマイクの上半分だけマイクにくっついてるやつ、なんていうんでしょう、ほらフレディ・マーキュリーが持ってるやつ、あれで“SCAR”を歌ったり、フロア上空にでっかいミラーボールが仕込まれていたり、バックの壁一面がLEDになっていて1曲ずつに合わせた映像やグラフィックが出たり、5曲目の“楽園ベイベー”ではひとりずつステージ両脇の固定カメラに向かってラップするさまがバックのLEDに映ったり、アンコールの“Present”ではステージ上にシャンデリアが現れて雪が降ったり、MCの時、話が長引いてダラッとした空気になりそうになるたびに、FUMIYAがKARAの“ミスター”をかけてMC4人は腰振りダンスをしたり――と、いろいろあった。
が、これ、他のアーティストのライブなら「相当いろいろある」に値するけど、RIP SLYMEの場合は「必要最小限」レベルだ。なので、やっぱりストイック。あと、楽しそうだけど、真剣。いや、いつも真剣だけど、今年唯一のちゃんとしたライブだから気合いが入っている、という以上のものを感じる。

で、本編最後のRYO-ZのMCで、理由がわかりました。来年の活動の発表をしたのです。
曰く、今、ニューアルバムをレコーディングしている。3月には出す予定で、たぶん大晦日も制作作業をしていると思う。アルバムタイトルは『STAR』。で、リリースのあと、RIP SLYME最大本数の長いツアーをやる。ツアー名は『STAR TOURS 2011』である。
そして、そのニューアルバムは、外部の人の手を極力借りず、できる限り5人だけで作り上げる、というものになるそうです。ってことはおそらく、ツアーもそういうものになるということだ。で、RIPは既にそのモードになっていて、だからゲストどころかSOMAもいない5人きりで、とても筋肉質でストイックなライブをやった、ということだ。と、僕は理解しました。で、その筋肉質でストイックなRIP SLYMEが、めちゃめちゃかっこいい、ということも、今日ここで、よおくわかりました。元々僕は、RIP SLYMEの、というかFUMIYAの「ヒップホップなのにトラックはハウス寄り」なところが大変に好きで、トラックが全体的にそっちに寄っている感じだったので、よけいすばらしく感じた。という、個人的な好みもありますが。

とにかく、来年がめちゃめちゃ楽しみになりました。しかし、クリスマス・ライブをこういう使い方したこと、なかったんじゃないかと思う、RIP。来年はどうするんだろう。(兵庫慎司)

セットリスト
1 Supreme
2 SCAR
3 GALAXY
4 FUNKASTIC
5 楽園ベイベー
6 UNDERLINE No.5
7 Good Times
8 ミニッツメイド
9 黄昏サラウンド
10 虹
11 One(CHRISTMAS CLASSIC version)
12 JOURNEY
13 星に願いを
14 Watch Out!
15 メドレー By The Way~DISCO-MMUNICATION~FRESH~トゥナイト~Supa Sonic
16 Good Day~adidas remix~
17 WONDERFUL
アンコール
18 雑念エンタテインメント
19 JOINT
20 Present
アンコール2
21 マタ逢ウ日マデ2010~冨田流~
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