THE BAWDIES @ ZEPP TOKYO - pics by 橋本 塁 (SOUND SHOOTER)pics by 橋本 塁 (SOUND SHOOTER)

THE BAWDIES @ ZEPP TOKYO

THE BAWDIES @ ZEPP TOKYO
ニュー・アルバム『LIVE THE LIFE I LOVE』のリリース・ツアーは、前半・後半の2部構成。まず前半は、6月12日(土)ZEPP SAPPOROを皮切りに、各地のZEPPと富山・高松・周南(山口)・大分を回る全12本。で、夏フェス・シーズンをはさんで、後半は、9月17日(土)水戸ライトハウスからスタート。前半で行っていない全国各地を回って、11月5日(土)大阪堂島リバーフォーラムと11月27日(日)東京・日本武道館でしめくくる、全25本。ちなみに、夏のフェスやイベントへの出演は、今、数えたら、全部で12本でした。つまり、6月12日から11月27日までの168日のうち、49本ライヴやってることになります、THE BAWDIESは。平均すると3.4日に1本のペース。
で、このライヴ・レポートは、その11本目=前半のしめくくりにあたるZEPP TOKYO2デイズの1日目のものです。2日目もあるし、ツアー後半もあるので、何曲かは曲名出しますが、あくまで「何曲か」だけ、そして、どの曲を何曲目にやったのかがわからない形で、書きます。
つまり。開演予定時刻から10分近く経ったところで、いつものSE“SOUL MAN”が鳴り響き、超満員のフロアから大歓声が巻き起こり、4人が、このツアーからの新しいスーツ……なんて形容すればいいんだあの色、明るめな青なんだけど「ブルー」でも「スカイブルー」でも「水色」でもない、そしてもちろん「紺」でもない、もうなんか「青」としか言いようのない色の、ソフト・スーツっぽいフォルムのスーツで登場。1曲目を華々しく、かつものすごい勢いで、でもどことなく「軽やか」と言いたくなるプレイと歌でもって一気にやり通し、終わったところで、「BAWDIESです! おー皆の衆! 祭りはとっくに始まってますよー! アツい夏にしようぜー!」と、ROY、絶叫。と書くところで、1曲目がどの曲だったのかは、書けないのでした。さて、どう書こう。えーと、当然、『LIVE THE LIFE I LOVE』の曲たちが軸で、そこに“HOT DOG”“EVERYDAY’S A NEW DAY”“SHAKE YOUR HIPS”などなどの過去の代表曲たちが加わったメニュー。尺は全部で2時間弱、ただしそれが30分くらいに感じるような、体感としては「フェスで観る時とおんなじ」みたいな、もう頭から最後まで一気呵成に駆け抜ける、あっという間のステージだった。
って、そういう押しまくりな曲ばかり並べているわけではなくて、合間にしっとり聴かせるミドル・チューンがはさまっていたり、全体の緩急やストーリー作りが考えられた構成だったりはするんだけど、そんなような、いわば頭で考えて工夫したことを、今のTHE BAWDIESの勢いとか爆発する肉体性が、もう制御不能にふみつぶして蹴散らしていくような、そんなライヴでした。ほんともう、ひたすらに、痛快で爽快で痛快。と、つい、「痛快」を2回書いてしまうくらい。
MCで、「MARCYが最近チャラい」というエピソードをROYがいくつも振ってフロア全員大笑い、MARCYが「おまえ嫌いー!」とキレる、なんていうぐだぐだな一幕も随所にあるものの、ひとたび曲が始まると、ステージの上も下も一瞬にしてシャキッとハイテンションに戻る。あ、その「MARCYチャラい」話、2日目以降もMCで使うかもしれないので、というかおもしろかったから使ってほしいので、詳しくは書かずにおきます。にしても、不思議なバンドだよなあ、と思う。って、別にこのツアーに限ったことじゃなく、そもそもTHE BAWDIESってそういうバンドだし、誰もがそういう認識をしていると思うが、何度聴いても何度観ても、それが「ああ、そういうことか」って腑に落ちない、むしろさらにどんどんわからなくなる、そんな不思議さだと思う、それ。
聴けば、観れば明らかなように、THE BAWDIESのやっていることって、「この4人でなければできなかったこと」が、ひとっつもない。1950年代、1960年代あたりのR&Bやソウル・ミュージックやロックンロールのアーカイヴからそのまんま借りてきた、リフやコード進行やリズム。「そのコードだったら、まあそうなるよね」っていう、つまり意外性や独創性ゼロのメロディ。六本木の、おじさんやおじいさんが集まるオールディーズの飲み屋のハコバンとTHE BAWDIESは、音楽的に、どう違うでしょう。違いません。おんなじです。と、僕は思う。イノベイティヴであること、革新的であることを目指すロックと、伝統的であることを目指すロックがあるとしたら、100%後者のみ。で、たぶん本人たちも、「自分たちにしかできないことを」とか、「オリジナリティを」とか、考えていない。自分たちが大好きでたまらないソウルやR&Bやロックンロールを、力いっぱい鳴らして歌いたい、それだけ。
要は、誰でもできるわけです。誰でも思いつけることなわけです。それが、こんなにピカピカで、こんなにかっこよくて、こんなにワクワクさせてくれる表現になっている理由、今んとこ、まだ僕はわからない。もっというと、その昔のロックのアーカイヴに10も20もゴロゴロありそうなリフやリズムが使われた曲であればあるほど、そのピカピカ感やワクワク感が高くなったりするのだ、このバンドの場合。この日もプレイされた“B.P.B”なんて、その好例だと思う。大好きです、この曲。ただ、ちょっとその不思議さを解き明かすヒントになりそうなことを、昔、インタヴューをしたミュージシャンが言っていたのを、観ながら思い出した。『JAPAN JAM ’11』でTHE BAWDIESがセッション・ゲストに招いた日本のソウル・シンガーのトップランナー、トータス松本の言葉です。ふたつあります。ひとつめは、ウルフルズ結成以前、ブルース・ギタリストを目指していた頃の話。ふたつめは、“ガッツだぜ!!”リリースの時のインタヴュー、つまり大ブレイクする直前の発言です。「オリジナル曲なんて作る気なかった。『コピー・バンドで武道館まで行ったる!』って思っててん」「ウルフルズの音楽は、なーんも新しない。やってるこの4人が、前代未聞なだけや」後者に関しては、ほんとシンプルなもの言いだけど、でもまあ、確かにそういうことなのかもなあ、と思います。で、前者に関しては、「THE BAWDIESとは何か」「トータス松本とは何か」に留まらず、「ロックンロールとは何か」「音楽とは何か」はては「表現とは何か」みたいなことまで、どんどん広がっていきそうなテーマなので、ここでは掘り下げないでおきます。またいずれどっかで書きます。
とにかく、ツアー後半も行きたいし、夏フェスシーズンも何度か観れそうだし、これからも楽しみです。(兵庫慎司)
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