MONOBRIGHT@恵比寿リキッドルーム

MONOBRIGHT@恵比寿リキッドルーム
MONOBRIGHT@恵比寿リキッドルーム
思えばこの1年半弱のMONOBRIGHTには、本当に色々なことがあった。昨年2月に「DO10!!攻約宣言」という超過密スケジュールを発表して以来(内容の詳細はこちら→http://ro69.jp/news/detail/30968)、シングルを4枚、ミニアルバムを1枚、フルアルバムを2枚リリース。そしてレコーディングの合間を縫うようにして全国ツアーを5回。さらに昨秋にはまさかのビッグサプライズ、元ビークルの首謀者にして稀代のポップ・モンスター=ヒダカトオルの加入。それに伴うバンド名の大文字化……というように、目まぐるしい絨毯爆撃と大規模な構造改革を全くの同時進行で行ってきた彼ら。その「攻約宣言」の最終10項目目、4thアルバム『ACME』(「アクメ」でなく、「ンナクメッ!」と読むそうです)のリリース・ツアー「ACMEを憐れむ歌2011」のクライマックスにあたるのが、この日行われた恵比寿リキッドルームでのツアーファイナルである。

開演時間を5分ほど回った頃、客電が落ち、場内が歓声に包まれる。そしてSE“淫ピーDANCE”が流れ出し、オーディエンスのハンドクラップに迎えられてメンバーが登場。桃野の「今日は踊ろうぜー!」というコールから“アナタ MAGIC”がプレイされると、すかさずフロアに拳が乱立! 続いて間髪入れずに“DANCING BABE”“JOYJOYエクスペリエンス”を投下して、場内のダンス熱を一気に沸点まで持っていく。そして「凪(会場がシーンとする様子。ストレイテナーのシンペイが命名)」というフレーズがフロアの笑いを誘ったMCから“踊りませんか”へ突入し、その後も桃野とヒダカが中心となってしきりにフロアを煽りながら、暴走気味のダンスナンバーが並んだ序盤戦を一気に駆け抜けていくのであった。

「円谷プロという会社がありまして…」という語りから始まったオタク男子=出口のウルトラセブン論がフロアに感嘆の声(と若干の凪)を起こしてから、ライブは大胆にシューゲイザーに振り切った楽曲で構成された中盤のブロックへ。桃野のポエトリー・リーディングのような歌唱法が新鮮だった“夜明けのバル”、松下が小刻みなギター・ストロークで浮遊感のあるノイズをフロアにまき散らした“スロウダイヴ”と、実験作『ADVENTURE』からの流れを汲んだ内省的な新曲群が続き、フロアが静謐なムードに包まれていく。この手の中盤での緩急の付け方は、攻約宣言以前の「兎にも角にも踊らせたもん勝ち」だった頃の彼らのライブの中にはあまり見られなかった。明らかにこれは、殺人的なスケジュールを自らに課し、これまでに使っていなかった筋肉を、開けていなかった引き出しを総動員することを自らに強いた攻約宣言によって得た、大きな収穫のひとつと言っていいだろう。

そしてサッカーのチャントを模した開放的なかけ声がフロアの高揚感を攻め立てまくった11曲目“COME TOGETHER”から、ライブの勢いは再び加速。“あの透明感と少年”“頭の中のSOS”と、バンド初期からの鉄板曲で会場の祝祭ムードを盛り上げた後に披露された本編ラストは、ヒダカ作曲・桃野作詞の激烈アンセム“WONDER WORLD”! 松下のエモーショナルなギターフレーズと瀧谷の心地よいスネアの連打がフロアに膨大なエネルギーを送り込み、会場のテンションがまさしく絶頂(ACME)に達したところで、ライブ本編の幕が下りた。

絶頂状態のまま行われたアンコールでは、“踊る脳”の途中でドーパミン大放出中の桃野が「愛してるよ愛してるよ! 抱きしめたいよエビスー!」というトゥーマッチな絶叫と共にスピーカーによじ上り、下りられなくなるというなんとも「らしい」一幕も。続くダブル・アンコールでは、桃野が上半身裸、下は黒パンツという「江頭スタイル」で登場。「キモいって言ったの誰だこの野郎!」と、有頂天のカヴァー“オードリー・ヘプバーン泥棒”をほぼ錯乱状態でプレイ(有頂天ファンの出口、テンション上がりすぎて9mm中村ばりのロー・ポジションでベース弾いてました)。そして歌詞の一部を《Tokyo Sun, Tokyo Rain》に変えた“California Sun, California Rain”で巨大なシンガロングを巻き起こし、最後は桃野がフロアにダイブ!「震災とかこういう時だから、一緒に踊れて嬉しかったよ! 愛してるぜみんなー! また来るよ! ありがとう!」という言葉を残し、ステージを去っていった。

大熱狂のうちに大団円を迎えたこのツアーファイナルをもって、見事「DO10!!攻約宣言」を全て達成したことになるMONOBRIGHT。しかしこの日のMCでは、彼らは特にそのことについて触れていなかった。忘れていたなんてことはまずないだろうから、これは彼らの大攻勢がまだ終わらないと受け取ってしまってもいいのでは。「絶頂のその先」を体感できる日を、期待して待ちたい。(前島耕)

[セットリスト]
1. アナタ MAGIC
2. DANCING BABE
3. JOYJOYエクスペリエンス
4. 踊りませんか
5. NO CONTROL
6. 宇宙のロック
7. Timeless Melody
8. 夜明けのバル
9. スロウダイヴ
10. miu
11. COME TOGETHER
12. あの透明感と少年
13. 頭の中のSOS
14. WONDER WORLD

アンコール
1. Pet
2. WARP
3. 踊る脳

ダブルアンコール
1. オードリー・ヘプバーン泥棒
2. California Sun, California Rain
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