今年2月からスタートしたこのツアーは、体調不良のドラマー・恒岡 章に代わって、the band apartの“コグ兄”こと木暮栄一がサポート。そのコグ兄が威勢よくドラムを叩き鳴らして、「飛ぶユートピア」からライブは幕を開けた。“シモリョー”こと下村亮介(the chef cooks me)が先頭切ってフロアに手拍子を広げ、ステージ中央のバンマス・イッソンは、あいかわらずすこぶる明瞭で、聴き手のハートをダイレクトに震わせるようなゴシック体の歌声を響かせる。続けて、“たっくん”こと戸川琢磨(COMEBACK
MY DAUGHTERS、The Yasuno N°5 Group)のベースから「Sound in the glow」になだれ込めば熱烈なオイ・コールが勃発! 天を衝くような田渕ひさ子(bloodthirsty butchers、toddle)のギター・ソロも高らかに「Paper airplane」へと繋いで、たくましい推進力をたたえた8ビートがFEVERを丸ごと熱狂の高みへと導いていくのだった。前日イッソンは仙台でHUSKING BEEのライブがあって(そう、待望の『BAD FOOD STUFF』!)、夜走りで朝4時に帰京というハードなスケジュールにもかかわらず、疲労感はみじんも感じさせず力強いパフォーマンスを繰り出していく。場内の一体感は早くも最高潮だ。
「今日の雨で桜は散ってしまいますけど、またいろんな花が咲くと思うので――」と、中盤の「花の咲く日々に」では再びオイ・コールが湧き上がり、続けて「The steady-state theory」「新利の風」とキッズ歓喜のハスキン・ナンバー2連発! 後者の間奏ではエキサイトしたたっくんがステージ前でベースをブイブイいわし、さらにステージ袖からおもむろに“どんどん”こと平林一哉が登場!(この日いちばんと言える熱狂値を記録するも、「もうちょっと何かやってほしかったよね。モノマネのひとつでもね(笑)」と手厳しいイッソンでした・笑)。MCではメンバーやお客さんにしみじみ感謝を述べる場面もあって、『Deliver』の制作とこのツアーがいかにイッソンにとって険しくも実り多いものだったかが伺いしれた。そして、「ツネさん元気ですよ、すごく。電話があって、(か弱~い声で)『ものすごく元気です…』って(笑)」と冗談混じりに盟友の快復を伝え、「いろいろありますけど、思いやっていけたらいいですね。そんな今日の歌を――」と「Today’s song」、そして「THE SUN AND THE MOON」「欠けボタンの浜」と再び魂を込めてプレイ。首筋にぶっとい血管を浮かび上がらせて歌うイッソンからは、いつもにも増して熱い何かを感じたのは筆者だけではないはず。
セットリスト
1 飛ぶユートピア
2 Sound in the glow
3 Paper airplane
4 Do we know?
5 find
6 BY CHANCE
7 polyodomino
8 花の咲く日々に
9 The steady-state theory
10 新利の風
11 Today's song
12 THE SUN AND THE MOON
13 欠けボタンの浜
14 近未来
15 符思議なチャイム
16 A bird's eye-view
enc
17 後に跡
18 琴鳥のeye
19 摩訶不思議テーゼ
enc2
20 WALK