真心ブラザーズ @ Zepp DiverCity Tokyo

真心ブラザーズ @ Zepp DiverCity Tokyo
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ニュー・アルバム『Keep On Traveling』リリース・ツアーのファイナル、Zepp Divercity Tokyo・2デイズの2日目。定時の17時を5分くらいすぎたあたりで、客電が落ちSEが響き、真心の2人とMB’S、総勢10名がオンステージ。YO-KING、腰に両手を当てたポーズで客席を眺め、にんまりと笑ってから、ライヴがスタート。1曲目は、ニュー・アルバム収録曲で、ボブ・マーリー・ライクな“朝が来た!”。このツアーのMB’S、7人はいつものメンバーで、キーボードのみ小川文明に代わりHAKASE-SUNになっているんだけど、「あ、なるほど、そういうことか」とわかる、そんな始まり方だった。さらにそのHAKASE-SUNの威力を見せつけたのが、同じく新作から“サニー”、そして歴史的代表曲“空にまいあがれ”、さらにまた新作から“タイムマシン”をはさんで5曲目にプレイされた“日曜日”。MOUNTAIN HORNSの4人とうつみようこがはけた5人編成によるこの曲、もうほんと、ダブでした。いや、元々ダブっぽいけど、さらにドープなことになっていた。

「いやあ、今日はなんか僕、楽しくてしょうがないです。まいったわ、ありがとうございます」「俺のすごいとこは、人より余計なことを考えないとこだね」「いや、余計なことしか考えてないって気もするんですが(桜井)」「(きいてない)だから怖いものとかないというか、痛い目にも遭ってます!」「俺は楽しいだけでここまで来てんのよ。楽しいだけでどこまで行けるかって実験なのよ、俺の人生」「20数年横で見てるけど、それは確かにそうだわ(桜井)」「小学校からそう。だから、物心ついてからずっとそう」「ただね、リンカーンはいいこと言ってます。『人は幸福を自覚して追い求めた分量に応じて、幸福になる』と」

……キリがないのでこのへんでやめますが、あと、以上はかなりダイジェストしてまとめてあるのであって、実際はもっとグダグダだらだらしていましたが、とにかくそのような、相変わらずの「俺楽しい」「俺幸せ」「俺すごい」を主題としたYO-KINGのMCをはさみつつ、“生きる”“話”をプレイ。で、次でサプライズあり。tvk(テレビ神奈川)の40周年記念ソングの発注を受けた桜井(神奈川県民)が書き下ろし、南流石(超大御所振付師&ダンサー。ご存じない方は各自検索)が振り付けをした“カモン!カナガワン”をやる、ということで、その南流石とカナガワン★ダンサーズが登場、客席に振り付けを教え、全員一緒に歌い踊る、という展開に。YO-KING「僕も踊りますよ!」と宣言、実際にがんばって踊っておられました。で、大変に体力を消耗しておられました。

真心ブラザーズ @ Zepp DiverCity Tokyo
そしてさらに、桜井的に、ニューアルバムの曲で最も歌うのに勇気がいる曲“キスっていいよね”へ。なんで勇気がいるのかというと、そういうタイトルでそういう内容の歌だからですが、今日、娘さんの小学校の父兄が来ていること、その方がすごいいい席でめちゃめちゃ踊っていたのをさっきの“カモン!カナガワン”の時に目視したことなどを告げ、客席を大笑いさせたあとに、切々と歌う。HAKASE-SANは木琴(と桜井は紹介していたが、音は鉄琴ぽかったです)、YO-KINGはキーボードと口笛、桜井は歌とアコギの3人編成によるプレイでした。
歌い終わり、桜井、「終わったー! あとはロックンロールの時間だー!」と絶叫。で、“アメンボ”(開放感に満ちすぎたのか、イントロのギター、かなり前のめりでハシり気味でした、桜井さん)、“明日はどっちだ”、そして伝家の宝刀“どか~ん”と3連発。で、ここでMC SAKU(桜井)とMC KOSHI(サックス首藤晃志)とMC ICHIRO(ベース上野一郎)による50円玉(50CENTに対抗したと思しきヒップホップ・ユニット。ちょっと前から真心のライヴなどに出没)がオンステージ。“炎の後半戦”をやる。ベースはYO-KING、ギターはうつみようこがプレイ。エンディングは、MC3人でドラムのライザーに上がって手をつないでジャンプ、着地でジャン! っておしまい、のはずが、ジャン! のあともベースをかき鳴らすYO-KINGのおかげで、都合4回ジャンプを繰り返すことになる。

真心ブラザーズ @ Zepp DiverCity Tokyo
そこからは“Song of You”“EVERYBODY SINGIN’ LOVE SONG”“拝啓、ジョン・レノン”とアンセム3連打。歓喜し放題のオーディエンスに捧げられた本編ラスト曲は、ニューアルバムのオープニング・チューン“胸を張れ”でした。
アンコールは、「やっちゃおうかな、じゃああの曲を。“ふわふわ人”」というYO-KINGのボケを経て、あとそれに続いて「みなさん、今年も目いっぱい夏を楽しみましょう!」という前置きも経て、“ENDLESS SUMMER NUDE”へ。さらに“Keep on smiling”でもうひとアゲしてから、最後はおなじみ“RELAX~OPEN~ENJOY”で、しっとりとしめくくられました。

つい頭から最後まで流れに沿って書いてしまったが、ちょっと、いや、かなり、「おおー」とか「へえー」とか思ったのが、ニュー・アルバムの曲たちが、歴代の代表曲たちと、本当に自然に、違和感なく並んでいたこと。昔の曲をやっても、音楽性やプレイのしかたやアンサンブルなどが、しっかり「今の真心」仕様になっているから、とも言えるし、ニュー・アルバムの曲たちが、どれも、過去の名曲たちにひけをとらないいい仕上がりだから、とも言える。
YO-KINGは、確かに「楽しいだけでやってきた」のかもしれないが、同時に「楽しいだけじゃできないことをやってきた」ともいえるのではないか、じゃなきゃ、今このようなよい感じにはなっていないのではないか、とも思いました。
ってことは、YO-KINGが楽しいだけ、桜井秀俊がそれ以外も、と、つい断じたくなるが、でも、そんなざっくりしたものではないと思う。「楽しいだけでやっていく」ために、あらゆることを考え、あらゆることを行動に移してきたからこその、この現在なのではないか。というようなことを考えながら、帰途につきました。(兵庫慎司)


セットリスト
1 朝が来た!
2 サニー
3 空にまいあがれ
4 タイムマシン
5 日曜日
6 生きる
7 話
8 カモン!カナガワン!
9 キスっていいよね
10 アメンボ
11 明日はどっちだ!
12 どか~ん
13 炎の後半戦
14 Song of You
15 EVERYBODY SINGIN’ LOVE SONG
16 拝啓、ジョン・レノン
17 胸を張れ

アンコール
18 ENDLESS SUMMER NUDE
19 Keep on smiling
20 RELAX~OPEN~ENJOY
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