ねごと @ TOKYO DOME CITY HALL

「お口ポカーン!! 東名阪ホールツアー~SEED with groove~」

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ねごと @ TOKYO DOME CITY HALL
「本日は、ねごとpresents『お口ポカーン!! 東名阪ホールツアー~SEED with groove~』ファイナルにお越しいただき、誠にありがとうございます!」……開演予定時間の18時をやや過ぎた頃、会場に響き渡る陰アナウンス。その声が「TOKYO DOME CITY HALLより、みなさまに夢のご案内を させていただきます、ねごとドリーム号のギター操縦者、沙田瑞紀です!」と続けたところで、客席の温度が一気に上がる。11月のシングル『nameless』から4ヵ月連続リリースの真っ最中のねごとが、12/6:名古屋アートピアホール、12/7:大阪サンケイホールプリーゼと回ってきたワンマン・ツアーの最終日=TOKYO DOME CITY HALL公演。ライブの構成やMCこそ等身大の彼女たち 4人の手作り感満載だったが、その一方で楽曲とアンサンブルの飛翔力、そしてひたむきな向上心でもって、束の間の音楽宇宙旅行を描き出してみせるような、清々しいくらいにマジカルなアクトだった。

たとえば冒頭の“インストゥルメンタル”での、4人が脇目も振らずに一歩また一歩と荘厳な音世界へと踏み込んで行くスリル。たとえばリリース間もない最新シングル曲“greatwall”の、常識も定型も軽やかにすり抜けるメロディとエレピのアレンジが、タイトなビートと一体となって描き出すミステリアスなポップ感。たとえば、TVCMでもお馴染みの“Lightdentity”の目映いくらいのサウンドの輝度とスケール感……オルタナにニューウェーブにエレポップに、と多彩なジャンルの断片を見せつつ、それらを巧みに乱反射させることで「ねごとのポップ」という音の像をくっきりと結んでみせるのはさすがだ。「ツアー・ファイナルですよみなさん! でも、気持ち的にはここからスタートになるわけで。そんな日に、こんなたくさんの人が来てくれて嬉しいです!」と客席に呼びかける澤村小夜子(Dr・Cho)に、大きな拍手喝采が湧き起こる。

ねごと @ TOKYO DOME CITY HALL
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「韓国に行った時に澤村がいなくなってあわてて3人で探したら、先に1人バスに戻ってた」話を披露しつつ「このメンバーをまとめるのは大変(笑)」とこぼすのは、今年9月にリーダーになった藤咲佑(B・Cho)。「陰アナでパワーを使ってしまって、指先が冷たくなってる……」とマイペースな口調で語るのは沙田瑞紀(G・Cho)。「コレステロール値がすごくてチョコ禁したけど、今日はもたないと思ってさっき甘いチョコ食べちゃいました」と明かす澤村。そして、「ホットヨガを始めて、瞑想して、汗かいて、今日のために身体を作ってきました。1日1本飲むヨーグルトも飲んできました!」と蒼山幸子(Vo・Key)。この大きな会場でも彼女たちのMCは、やや緊張しながらもいつも通りのゆるふわな空気感を漂わせている。それでも、「よく『なんで4ヵ月連続リリースを決めたの?』って訊かれるんだけど、答えは簡単で。この4人でこれからも音を鳴らしていきたいし、音楽を続けていきたいと思ったから。それだけなんですね。今日はツアー・ファイナルだけど、今日がまた新しい始まりだって思ってる」という蒼山の言葉が、空気をぐっと引き締める。まだまだ止まらない、もっともっと先を目指していく――彼女たちの言葉の端々から滲む意気込みが、この日の演奏をより色鮮やかなものにしていた。

季節柄、中盤に盛り込んだクリスマス・ソング“ジングルベル”“merry X'mas”を経て、清冽なシンセの音色がホール狭しと暴れ回る“メルシールー”からそのサウンドはいっそう熱を帯び、広がりを増していく。沙田のアルペジオがメランコリックな音空間を描く“街”。シューゲイザー直系のハード・エッジ感で客席を震わせた“NO”。そして、ねごとの出世作的ナンバー“カロン”で見せた目映いくらいの加速感……デビューから2年の間のバンドとしての大きな成長を、その音のひとつひとつが如実に物語っている。「1年前ぐらいから、ライブのこととか『これでいいのか?』って迷ってて。ステージに立つのが怖い時もありました」と藤咲。「でも、今はほんとに、ここに立てることが楽しいなって、素直に思えてます。いろんな人がねごとに力を貸してくれて、チームとしてひとつになろうって思ってくれてるから、私たちも応えなきゃ、っていう気持ちがすごくあるけど、それだけじゃ足りなくて。みんなと一緒に、作りたい景色がたくさんあります。これからも応援よろしくお願いします!」という言葉に、惜しみない拍手が送られた。この日発表された、4ヵ月連続リリースのラストを飾る2ndフルアルバム(2月6日発売)のタイトル=『5』(five)も、4人だけではないたくさんの「5人目のねごと」への想いが凝縮されていることが窺える。

ねごと @ TOKYO DOME CITY HALL
ねごと @ TOKYO DOME CITY HALL
次々に音楽の新しい扉を開いているがゆえに直面する問題や不安をひとつひとつ乗り越え、着実に前進するねごと。蒼山いわく「私たちにとって爆弾みたいな曲。みんなに気づいてほしい、立ち止まって聴いてほしいって思って作った曲」=“nameless”の、4人のアンサンブルとビートのギリギリのバランス感が生み出すポップ・ワールドの鮮烈さには改めて驚かされたし、“ループ”の弾むようなビート感と客席に投げ込まれた純白の巨大バルーンが無上の祝祭感を演出していた。そして……「未来がどうなるかは神様でもわからない。けど、『こんなの意味あるのかな』っていう日々とか、誰かのくれたひと言みたいなちっぽけな記憶ほど『たしかなもの』なんじゃないかなって。今、いちばん気持ちをこめて歌いたい曲です」という蒼山の言葉とともに鳴り響いたのは、1月23日リリースの新曲“たしかなうた”。オルタナ・バラード的なサウンドスケープの中を、決然とした歌と言葉が、どこまでもしなやかに、強く伸び上がっていった。

 来年2月からは、アルバム『5』を引っ提げて全国ツアー『お口ポカーン!!卒業旅行は全国ツアー~GREEN and motion~』を回る彼女たち。この日のMCで、そのツアー日程に入っ ていなかった東名阪のライブが『お口ポカーン!!東名阪ワンマンツアー~spark of FLOWER~』として発表された。東京公演は5月11日、Zepp Tokyoワンマン! 「SEED(種)」から「GREEN」、さらに「FLOWER」へ、というサブタイトルそのものの進化を予感させる、充実のライブだった。そして、『COUNTDOWN JAPAN 12/13』では3日 目=12月30日「COSMO STAGE」に登場!(高橋智樹)

01.インストゥルメンタル
02.greatwall
03.drop
04.Lightdentity
05.季節
06.Tonight
07.ワンダーワールド
08.ながいまばたき
09.ジングルベル
10.we wish a merry X'mas
11.メルシールー
12.街
13.week...end
14.AO
15.NO
16.カロン
17.nameless
18.ループ
19.sharp ♯
20.たしかなうた
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