たとえば冒頭の“インストゥルメンタル”での、4人が脇目も振らずに一歩また一歩と荘厳な音世界へと踏み込んで行くスリル。たとえばリリース間もない最新シングル曲“greatwall”の、常識も定型も軽やかにすり抜けるメロディとエレピのアレンジが、タイトなビートと一体となって描き出すミステリアスなポップ感。たとえば、TVCMでもお馴染みの“Lightdentity”の目映いくらいのサウンドの輝度とスケール感……オルタナにニューウェーブにエレポップに、と多彩なジャンルの断片を見せつつ、それらを巧みに乱反射させることで「ねごとのポップ」という音の像をくっきりと結んでみせるのはさすがだ。「ツアー・ファイナルですよみなさん! でも、気持ち的にはここからスタートになるわけで。そんな日に、こんなたくさんの人が来てくれて嬉しいです!」と客席に呼びかける澤村小夜子(Dr・Cho)に、大きな拍手喝采が湧き起こる。
季節柄、中盤に盛り込んだクリスマス・ソング“ジングルベル”“merry X'mas”を経て、清冽なシンセの音色がホール狭しと暴れ回る“メルシールー”からそのサウンドはいっそう熱を帯び、広がりを増していく。沙田のアルペジオがメランコリックな音空間を描く“街”。シューゲイザー直系のハード・エッジ感で客席を震わせた“NO”。そして、ねごとの出世作的ナンバー“カロン”で見せた目映いくらいの加速感……デビューから2年の間のバンドとしての大きな成長を、その音のひとつひとつが如実に物語っている。「1年前ぐらいから、ライブのこととか『これでいいのか?』って迷ってて。ステージに立つのが怖い時もありました」と藤咲。「でも、今はほんとに、ここに立てることが楽しいなって、素直に思えてます。いろんな人がねごとに力を貸してくれて、チームとしてひとつになろうって思ってくれてるから、私たちも応えなきゃ、っていう気持ちがすごくあるけど、それだけじゃ足りなくて。みんなと一緒に、作りたい景色がたくさんあります。これからも応援よろしくお願いします!」という言葉に、惜しみない拍手が送られた。この日発表された、4ヵ月連続リリースのラストを飾る2ndフルアルバム(2月6日発売)のタイトル=『5』(five)も、4人だけではないたくさんの「5人目のねごと」への想いが凝縮されていることが窺える。
来年2月からは、アルバム『5』を引っ提げて全国ツアー『お口ポカーン!!卒業旅行は全国ツアー~GREEN and motion~』を回る彼女たち。この日のMCで、そのツアー日程に入っ ていなかった東名阪のライブが『お口ポカーン!!東名阪ワンマンツアー~spark of FLOWER~』として発表された。東京公演は5月11日、Zepp Tokyoワンマン! 「SEED(種)」から「GREEN」、さらに「FLOWER」へ、というサブタイトルそのものの進化を予感させる、充実のライブだった。そして、『COUNTDOWN JAPAN 12/13』では3日 目=12月30日「COSMO STAGE」に登場!(高橋智樹)
01.インストゥルメンタル
02.greatwall
03.drop
04.Lightdentity
05.季節
06.Tonight
07.ワンダーワールド
08.ながいまばたき
09.ジングルベル
10.we wish a merry X'mas
11.メルシールー
12.街
13.week...end
14.AO
15.NO
16.カロン
17.nameless
18.ループ
19.sharp ♯
20.たしかなうた