「あけましておめでとう」という海北大輔の挨拶からはじまった1曲目は、何と1stアルバム『冬空と君の手』に収録されている”手紙”! さらに“約束”、“通り雨”と、初期の名曲を畳み掛けていく。しょっぱなから不変的な魅力に圧倒されてしまったが、確実に大きな変化も感じた。一人一人の音が力強いのだ。特に、海北の歌。弾き語りもやっている影響だろうか、マイクを通さずとも響いてきそうなくらいクリアだ。会場の温度もあっという間に上がっていき、4曲目の“はじまり”の頃には、海北が頭を振るとブワサッ!と汗が飛び散るほど。今やサポート以上の存在感を見せる、ギタリストの三井律郎の陽のエネルギーも、大きく影響していると思う。
ソールドアウトの状況に「2013年、一発目から幸先がいいです」と笑顔を見せる海北。そして「僕らにとってありがとうは、誠心誠意歌うこと、楽器を鳴らすこと」と言い、すぐに次の“合い言葉”へ突入した。以前、海北はMCが長かったし、それはそれで味わい深かったけれど、どんどん歌うたいとしての自分に焦点を合わせてステージに立つようになってきたと思う。“一つだけ”、”教会通り“と続くうちに、どんどん涙腺が刺激されていく。彼らの楽曲は喜怒哀楽を表現しているのに、どうしてどんな楽曲も涙が出そうになるんだろう。
《頑張れよ 負けるなよ》というサビが、時代を経て熱量を増してきたように思える“旅立ち前夜”、金髪で気合いを入れた大岡源一郎のMCから、彼も歌う“鼓動”と、ますます会場の空気が心地よくなってくる。“希望”のイントロで「フゥー!」というオーディエンスの声が飛べば、次の曲は源ちゃんがつんのめるように「“ココロノウタ”!」と紹介。ライヴ感たっぷりの展開だ。
いよいよ本編も終わりに差し掛かり、海北が口を開いた。2013年のテーマが「仲間」だということ、年明けに聞いた仲間の大きな決断に、まだモヤモヤしていること……そんな、たっくさんの気持ちを込めた新曲“最後の頁”がラストナンバーとなった。最後、と名付けられているのに、まるではじまりのように力強い。「歌」が冴え渡る、彼らにしか生み出せない名曲だ。
例えば、彼らから暫くれていた人も、改めて聴いてみると、今の時代だからこそ、今の年齢だからこそ、ハッとする言葉や音があるんじゃないだろうか――ライヴ中、ふと、そんなことを思った。彼らはまだ、線路の上。続いていく旅路を、今年も追い続けたい。(高橋美穂)
セットリスト
1.手紙
2.約束
3.通り雨
4.はじまり
5.合い言葉
6.ひとつだけ
7.教会通り
8.Over(新曲)
9.青よりも蒼く
10.バードコール
11.声
12.旅立ち前夜
13.鼓動
14.希望
15.ココロノウタ
16.ひとりごと
17.最後の頁(新曲)
ENCORE1.あしたのおと
ENCORE2.線路の上
W・ENCORE.呼吸