「初めてのツアーでそれぞれの場所でたくさんのパワーを貰いまして、2ヶ月空いたんですけど、早く皆さんに会いたい!って思ってました」という挨拶に続いて、序盤は運命に逆らおうとする反骨精神が迸る“イジワルな神様”や、じっくりと心象を映し出してゆくロック・ソング“心のカ・タ・チ”といったシングルのカップリング曲を披露してゆく。ときに拳を突き出し、或いは何かを振り払うような身振りを交えながら、まっすぐにその歌を届けてくる。オーディエンスによる温かいハンド・クラップに包まれる“Hello”や、ストリングス風に鳴り響くシンセ音に身を預けるようにしながら軽やかなステップを踏んで歌われる“明日また晴れますように”では、彼女の伸び伸びとパフォーマンスを楽しむ姿が、そのまま会場内の空気を作り上げてゆくようだった。
現在18歳、高校を卒業したばかりの家入レオは、驚くほど堂々としたライヴ・パフォーマンスを見せるアーティストだけれど、まだあどけなさを残すルックスと、スムーズでキレのある身振りにはフレッシュさが漲っている。そして何よりも若さを感じさせるのは、歌である。拙いという意味ではない。鋭い感受性で受け止めた体験を、沸き上がる感情を、ヴィヴィッドにその声と言葉に反映させながら歌の一節一節を紡ぎ上げてゆく。知識や技術の蓄積という点ではベテランには敵わないはずだが、若い感性がまっすぐに落とし込まれた表現はベテランの技巧とは異なる魅力を発揮することがある。家入レオは、自らのすべての作品、すべてのパフォーマンスにおいて、それを証明してしまうアーティストなのである。
間もなく訪れるはずの桜の季節についてや、学校を卒業したばかりであることを語りながら、「出会いもあるし、別れもある。大切な人を思い浮かべながら聴いてください」と椅子に腰掛け、ヴィブラートに感情を込めて届けられる“キミだけ”。そしてバンド演奏のスケール感とエモーションが共に拡大する“Lady Mary”、愛の形に悶え苦しむ心の叫びが壮絶な名曲“Bless You”と、彼女のディープ・サイドが固め撃ちされるステージ中盤である。デビュー・アルバムの『LEO』については「大人でもない、子供でもない、でもどちらの気持ちも分かってしまう。それって今だけなんだな、ちゃんと刻んでおきたい、と思って作りました」と改めて説明する。
ファンキーなバンド・グルーヴの中でオーディエンスを煽り立てながらの“Fake Love”に続いては、メンバー紹介を交えたジャム・セッションからそのままアルバムの最終トラック“Linda”へと傾れ込み、威勢良く甲高いシャウトを繰り出す家入レオ。オーディエンスの好反応も手伝ってか、終盤にかけてますますフレッシュなエネルギーに満ち、飛ぶようにステージ上を跳ね回りながらパフォーマンスを繰り広げてゆく。時間さえ許すのなら、今回のセットをもう一周でもこなしてしまいそうな勢いである。「家やスタジオで歌うのも好きですけど、やっぱりこうやって皆さんの前で歌うのが一番好きです!」と語っていたのは、決して優しいだけではない彼女の歌が多くの人に受け入れられ、アーティストとオーディエンスの歯車がピッタリと噛み合った幸福なライヴ空間が生み出されていたからではないだろうか。
「今日は皆さんからパワーを貰ってるんだなと、改めて思いました……(少し言葉を詰まらせる)……このパワーを、何倍にもして返したいです」と、声援を浴びながら最後に歌われたのは“Say Goodbye”。瞳にいっぱいの涙を溜め、それでも家入レオは、歌を途切れさせることはしなかった。しっかりと思いを込めて歌いきった。アーティストとしての家入レオの今後の活動姿勢を凝縮して伝えるような、そういう一幕だったように思う。配信限定のライヴ・アルバムやライヴ映像作品のリリースも目前に控えた、家入レオの2013年の春。物語はまだ始まったばかりである。(小池宏和)
01 Shine
02 LAST STAGE
03 イジワルな神様
04 心のカ・タ・チ
05 Hello
06 明日また晴れますように
07 キミだけ
08 Lady Mary
09 Bless You
10 Second Dream
11 Fake Love
12 Linda
13 サブリナ
14 ripe
encore
15 ミスター
16 Message
17 Say Goodbye