家入レオ @ 赤坂ブリッツ

家入レオ @ 赤坂ブリッツ

家入レオを突き動かすもの、そして彼女とファンを新しい季節へと導くものが、激しく、ときに暖かいエネルギーと化して渦を巻くようなステージであった。家入レオ初となるワンマン・ツアーは、今年1月に彼女の故郷・福岡からスタートして、大阪、名古屋、東京と4都市での公演が行われたのだが、この3月には大阪と東京で追加公演を開催。東京では1月の渋谷クラブクアトロから赤坂ブリッツへと規模を拡大したものの、フロアはみっちりとオーディエンスで埋め尽くされていた。ステージを覆う薄い幕をプロジェクターに「歌を歌っていると笑顔になれた」「嫌われたくなくて、作り笑顔をした」「そのたびに心が空っぽになった」「でも、音楽があったから寂しくはなかった」といったモノローグが映し出され、次の瞬間に家入レオのシルエットが浮かび上がってアカペラで“Shine”が歌い出される。迫力のオープニングに、割れんばかりの歓声が巻き起こっていた。

「初めてのツアーでそれぞれの場所でたくさんのパワーを貰いまして、2ヶ月空いたんですけど、早く皆さんに会いたい!って思ってました」という挨拶に続いて、序盤は運命に逆らおうとする反骨精神が迸る“イジワルな神様”や、じっくりと心象を映し出してゆくロック・ソング“心のカ・タ・チ”といったシングルのカップリング曲を披露してゆく。ときに拳を突き出し、或いは何かを振り払うような身振りを交えながら、まっすぐにその歌を届けてくる。オーディエンスによる温かいハンド・クラップに包まれる“Hello”や、ストリングス風に鳴り響くシンセ音に身を預けるようにしながら軽やかなステップを踏んで歌われる“明日また晴れますように”では、彼女の伸び伸びとパフォーマンスを楽しむ姿が、そのまま会場内の空気を作り上げてゆくようだった。

現在18歳、高校を卒業したばかりの家入レオは、驚くほど堂々としたライヴ・パフォーマンスを見せるアーティストだけれど、まだあどけなさを残すルックスと、スムーズでキレのある身振りにはフレッシュさが漲っている。そして何よりも若さを感じさせるのは、歌である。拙いという意味ではない。鋭い感受性で受け止めた体験を、沸き上がる感情を、ヴィヴィッドにその声と言葉に反映させながら歌の一節一節を紡ぎ上げてゆく。知識や技術の蓄積という点ではベテランには敵わないはずだが、若い感性がまっすぐに落とし込まれた表現はベテランの技巧とは異なる魅力を発揮することがある。家入レオは、自らのすべての作品、すべてのパフォーマンスにおいて、それを証明してしまうアーティストなのである。

間もなく訪れるはずの桜の季節についてや、学校を卒業したばかりであることを語りながら、「出会いもあるし、別れもある。大切な人を思い浮かべながら聴いてください」と椅子に腰掛け、ヴィブラートに感情を込めて届けられる“キミだけ”。そしてバンド演奏のスケール感とエモーションが共に拡大する“Lady Mary”、愛の形に悶え苦しむ心の叫びが壮絶な名曲“Bless You”と、彼女のディープ・サイドが固め撃ちされるステージ中盤である。デビュー・アルバムの『LEO』については「大人でもない、子供でもない、でもどちらの気持ちも分かってしまう。それって今だけなんだな、ちゃんと刻んでおきたい、と思って作りました」と改めて説明する。

ファンキーなバンド・グルーヴの中でオーディエンスを煽り立てながらの“Fake Love”に続いては、メンバー紹介を交えたジャム・セッションからそのままアルバムの最終トラック“Linda”へと傾れ込み、威勢良く甲高いシャウトを繰り出す家入レオ。オーディエンスの好反応も手伝ってか、終盤にかけてますますフレッシュなエネルギーに満ち、飛ぶようにステージ上を跳ね回りながらパフォーマンスを繰り広げてゆく。時間さえ許すのなら、今回のセットをもう一周でもこなしてしまいそうな勢いである。「家やスタジオで歌うのも好きですけど、やっぱりこうやって皆さんの前で歌うのが一番好きです!」と語っていたのは、決して優しいだけではない彼女の歌が多くの人に受け入れられ、アーティストとオーディエンスの歯車がピッタリと噛み合った幸福なライヴ空間が生み出されていたからではないだろうか。
 
家入レオ @ 赤坂ブリッツ
桜の花びらに見立てた紙吹雪が舞い落ちる演出が、歌詞にも季節にもピッタリの“ripe”で万感のフィナーレを迎えると、にわかにレオ・コールが巻き起こる。再登場した家入レオは、バンド・メンバーとお揃いの物販Tシャツ姿で、今度は金色のリボンが降り注ぐ中、賑々しく“ミスター”を披露だ。そして、5月22日にリリースされるニュー・シングル曲“Message”へと向かう。「これからは、音楽の世界でまっすぐに生きてゆくことになります。残念ながら今日この場に来ることが出来なかった方も、みなさんと一緒に歩いて行きたいという気持ちを込めて歌います」と、希望を指し示しながら力強くドライヴしてゆくその歌が届けられた。「spring(春)」の語源そのままを連想させるような、新たに芽吹く生命力に満ち満ちたナンバーだ。

「今日は皆さんからパワーを貰ってるんだなと、改めて思いました……(少し言葉を詰まらせる)……このパワーを、何倍にもして返したいです」と、声援を浴びながら最後に歌われたのは“Say Goodbye”。瞳にいっぱいの涙を溜め、それでも家入レオは、歌を途切れさせることはしなかった。しっかりと思いを込めて歌いきった。アーティストとしての家入レオの今後の活動姿勢を凝縮して伝えるような、そういう一幕だったように思う。配信限定のライヴ・アルバムやライヴ映像作品のリリースも目前に控えた、家入レオの2013年の春。物語はまだ始まったばかりである。(小池宏和)

01 Shine
02 LAST STAGE
03 イジワルな神様
04 心のカ・タ・チ
05 Hello
06 明日また晴れますように
07 キミだけ
08 Lady Mary
09 Bless You
10 Second Dream
11 Fake Love
12 Linda
13 サブリナ
14 ripe

encore
15 ミスター
16 Message
17 Say Goodbye
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