QOOLAND @新宿MARZ

QOOLAND @新宿MARZ  - pics by ハブ(夜色きかんしゃ)pics by ハブ(夜色きかんしゃ)
「31か月、バンドをやってきて、今日が230本目のライヴ。当然ながら、全部を観てくれた人はいません。ギタリスト・川﨑でさえ1回休んでるんで(笑)」。平井拓郎(Vo./G.)はそんなふうに冗談めかしていたが、2013年の1年間だけでも115本のライヴをこなし、この3月には大阪・十三ファンダンゴ(3/20)と、今回レポートをお届けする東京・新宿MARZで初のワンマン『進藤と重なって』開催に至った、「四人組ツインタッピングバンド」ことQOOLAND。東京公演も、終わってみれば堂々の全25曲・2時間を駆け抜ける、大ヴォリュームの熱演であった。

QOOLAND @新宿MARZ
QOOLAND @新宿MARZ
管ひであき(Ba.)を先頭にして4人がステージに姿を見せると、オープニングの1曲は2/12にJACKMAN RECORDSからリリースされた『教室、千切る.ep』の冒頭を飾っていた1曲にして、バンド活動初期からのレパートリーでもある“都民”だ。平井が鮮やかなタッピングのフレーズと共に歌い出し、シリアスな痛みを抱え込んだ歌詞が4ピースの躍動感に舞う。川﨑純(G.)も平井と並んでギターのタッピングを決め、管は目を引ん剝いて咆哮を上げるのだった。高度な演奏スキルをもって時に跳ね上がり、時に目眩のするような楽曲を届けるQOOLAND 。また、平井の歌は極めて音楽的でユーモラスな言葉遊びが多用されてはいるけれども、そこで描き出される情景は実はとてつもなくエモいものだったりする。少なくとも、テクニックをひけらかして悦に浸るようなバンドではない、ということだ。倒れないように、どうにか立っているために走り、そして入り組んだ心象をどうにか伝えるために言葉と音のフレーズを詰め込む。QOOLANDのロックには、そういう手応えがある。

QOOLAND @新宿MARZ
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“ベンツとボンゴ”では川﨑によるファンキーなカッティングが弾け、フロアには掌が翳される。続く“熊とフナムシ”では管が両腕を大きくスウェイさせるダンスを見せ、それがオーディエンスに伝播していった。序盤から盛り上がりは上々だ。曲間のMCとなれば、どうにも早口気味で何を言っているのか今ひとつ汲みきれない管だが、「進藤とは何なのかと……お前らのことだろーっ!! (管)」「今日のゲストリスト、みんな進藤様だからね(平井)」「今日、みんなは音楽を聴きにきたわけでしょ(管)」「そんなバカな(笑・平井)」といった調子で、悪ノリのスパイラルにも歯止めが利かなくなってしまう。ステージ上の楽しげなヴァイブが功を奏してか、楽曲の予測不可能な急展開がスリリングな“隣人”でさえ、賑々しいコーラスにつられるように、フロアにも歌声が広がってゆくのだった。この辺りからは、ミニ・アルバム『毎日弾こうテレキャスター』や、昨年のフル・アルバム『それでも弾こうテレキャスター』など、数々の音源作品として残されてきた楽曲群も次々に披露されてゆく。 タカギ晧平(Dr.)の突き飛ばすようなビートに追い立てられ、燃え盛るようなロック・ナンバーを次々に放つ中、平井は「ひたすら、自分に大丈夫、大丈夫、と言い聞かせて作った曲をやります」と語って“I hate”へと向かう。続く“毛利探偵事務所”(コミックやアニメ、小説などをモチーフにした歌も多い)では、管がステージから姿を消したかと思えば階上からフロアを見渡しつつプレイする、といったパフォーマンスも見せていた。「たぶんねえ、恥ずかしくなって帰ってこないんで、晧平と一曲やります」と披露されるのは、『それでも弾こうテレキャスター』制作時期に、あるQOOLAND ファンが結婚するという話を受けて「じゃあ、その話、使わせてもらってええですか、って。ちょっとだけ、喜んで頂きました」というエピソードをもつ“結納の日”だ。タカギがドラム・セットを離れてギターを携え、平井と弾き語りを繰り広げるのだが、いやはや、優しげなフレーズが交錯し、タカギもまたナイスなギタリストなのである。 温かい拍手が広がったところに、叩き付けられる強烈なベース・フレーズ。「ここから第2部いきます!」と、“良い子と良い事”がエモーショナルに響き渡る。4/23にリリース予定の『毎日弾こうテレキャスター again』に収録されるというナンバー“膝を割らないうちに”は、平井が「とびきりええ曲」と自信を漲らせていただけあって、音楽・歌そのものへのまっすぐな敬愛が込められた、美しいナンバーであった。続く“ブルーアルバム”も、入り組んだマインドの先で摑み取った芯の強い美メロだが、ここで平井のギター・ストラップにトラブルが発生。どうにか歌いきり、スタッフに応急処置を施してもらいながら「音楽はいろんな人に支えられながら出来てる! 支えて貰わなければギターも弾けない! キャバクラに通い詰めていたときの歌を、感謝を込めて歌います!」と“さよならNEVADA”に向かうのであった。終盤戦は、痛烈な皮肉混じりの“風邪を引かないうちに”や、アマチュア・アーティスト・コンテストのRO69JACK 2013でグランプリを獲得した “勝つまでが戦争”だ。高速ツインタッピング+スクリームの総力戦で沸騰する、見事な本編フィナーレであった。 アンコールに応えると、『毎日弾こうテレキャスター again』の、更にその次の作品に収録予定という新曲“志士雄”が披露される。“飛天御剣流”と並んで『るろうに剣心』をモチーフにしたナンバーということだが、奇天烈バンド・アンサンブルが生活の悲哀と絡み合う、パンチの効いた一曲であった。そして、『毎日弾こうテレキャスター again』リリースに向け、なんと“ドグラマグラ”のPVを生演奏一発撮りするという趣向も盛り込まれた。オーディエンスは喜びの声を上げるが、平井は「そんなに嬉しいか? 俺が言いたいことは、そういうことちゃうねん。俺らのこと、そんなに好きじゃない人もいると思うねん(笑)。そういう人も、今だけは、めっちゃ好きというフリをして欲しいということやねん! 俺たちを、ASIAN KUNG-FU GENERATIONに、ストレイテナーに、BUMP OF CHICKENに、サンボマスターに、9mm Parabellum Bulletにしてくれ!」と煽り文句を投げ掛ける。当然、フロアは目一杯沸き立つのだった。この後にはダブル・アンコールにも応え、最後の最後に前のめりなパンク・スピリットを全解放する“Melodic Hardcore”で完全燃焼。『毎日弾こうテレキャスター again』を携えての全国ツアーも行われるということで、更に活動を加速させるQOOLANDの動向を、チェックして欲しい。(小池宏和)

QOOLAND @新宿MARZ
セットリスト
01 都民
02 飛天御剣流
03 ベンツとボンゴ
04 熊とフナムシ
05 隣人
06 エンドレスエイト
07 copy & paste
08 大切なお知らせ
09 I hate
10 毛利探偵事務所
11 結納の日
12 良い子と良い事
13 ラストダンス
14 膝を割らないうちに
15 ブルーアルバム
16 さよならNEVADA
17 部屋とアイドル
18 白夜行
19 風邪を引かないうちに
20 ブギーサウンド
21 勝つまでが戦争

アンコール1
01 志士雄
02 ドグラマグラ
アンコール2
01 ゆとり教育概論
02 Melodic Hardcore
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