追悼カート・コバーン。ニール・ヤング、ベック、ビリー・ジョーらが語る

追悼カート・コバーン。ニール・ヤング、ベック、ビリー・ジョーらが語る

4月5日に没後20周年を迎えたニルヴァーナのカート・コバーンをさまざまなアーティストが追悼している。その中でもニール・ヤング、ベック、グリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロング、アーケイド・ファイアのウィン・バトラーの追悼コメントをAP通信が伝えている。

ニールはカートが自殺した後にアルバム『スリープス・ウィズ・エンジェルズ』をクレイジー・ホースと書いたことでも知られているが、その機会さえあれば、生前のカートに言葉をかけてあげたかったと次のように語っている。

「カートには誰も相談相手がいなかったのが悲しいことだなと思えて、俺だったら『きみが潜ってるようなことは俺もよく知ってるけど、そんなに思ってるほどひどいもんじゃないから』って声をかけてあげられたのになと思うんだよ。『そんなに捨てたもんじゃないから。ちょいとファッキン目をつむっただけで、すべてなんともなくなるんだ。すべてよくなるんだよ。きみにはほかにやるべきことがたくさんあるはずなんだ。ちょっと休みを入れたらどうだい。自分が本当はやりたくないようなことをあれこれやってほしがってるファッキン連中のことなんか気にするなよ。とにかく、なんにもやるな。連中にファッキン消えろって言ってやればいいんだよ』ってね。それだけでよかったんだよ。機会があったらそう言ってあげたかった。もうちょっとのところで、その機会に恵まれそうだったんだけど、結局、そうならなかったんだよね」

ベックは『ネヴァーマインド』がリリースされる3年前にライヴで共演した時のことを振り返っていて、その時のヘッドライナーについてはもう憶えていないが、ニルヴァーナのことは鮮烈に記憶していてその時からファンになったと次のように語っている。

「ぼくの記憶では、連中はステージに出て来た瞬間から中指を突き立てて、観客に向けてその中指をかざしてたんだよ。パンク系のライヴはぼくもたくさん観てきてるし、ぼくがもっと若かった頃のパンクのライヴはバンドがかなり攻撃的で観客に対しても対決的だったんだよね。でも、ニルヴァーナはそういうのとはまるで違ってたんだよ。カートは笑ってて、それはいたずらっぽくもあるんだけど、示威的でもあって、演奏を始めた瞬間に観客全体がそれまでまったく観たことのなかった形で爆発したのをよく憶えてるよ……最初の一音から観客を全員我が物にしてたんだよ。たとえ、その後全然成功してなかったとしても、ぼくはニルヴァーナのことをいつまでもあの時のことで記憶してただろうね。ものすごく強烈な印象としてぼくの中で残ったんだ。その時ね、『これってなんなんだ? なんか始まってるぞ』って思ったのをよく憶えてるよ。で、それからファンになったんだ」

その一方でビリー・ジョーは1990年にツアーをしていた頃、まだニルヴァーナのことをよく知る前から演奏するクラブでよく「ニルヴァーナ」というバンド名が落書きされてあったのを記憶しているという。その後、『ブリーチ』を聴いた時には特にぴんとこなかったが、今考えてみるとカートはレノン=マッカートニー的存在だったように思えると次のように語っている。

「あいつはとにかくきれいな曲をよく書いてたからね。あそこまで自分のなんたるかを、自分の感じてることをバカ正直に書いて、それをちゃんと形にまとめられるっていうことはさ、よくわからないけどすごいことだと思うよ。『ネヴァーマインド』が出た時にはそれを聴き取ってね、『ようやく俺たちのビートルズが現れたんだな。この時代のビートルズを俺たちは手に入れたんだ』って思ったのを憶えてるよ。その後はもう二度とそんなことは起きてないから」

『ネヴァーマインド』がリリースされてから初めてニルヴァーナについて知ったウィン・バトラーは自身や友人たちへの影響を次のように語っている。

「突然、ぼくの通ってた中学校での友達付き合いが一変してね、家庭が壊れたりしてて学校に馴染めてなくて、教室の後ろとかで煙草を吸ってて、イケてる服とかも買うようなお金のなかったような子たちが突然、ほかのみんなと同じ扱いになったんだよ。ぼくはどうやって周囲と馴染んだらいいのかさっぱりわからないいような子供だったから、ああいう主張がカルチャーのなかであれだけ大声を上げているとなると、本当にオルタナティヴ・ミュージックが不思議なことになってた時代だったと思うし、ジェーンズ・アディクションやR.E.M.やニルヴァーナとかが活躍しているのも北アメリカの各地のいろんなフリークスを観ている感じで、『すげえな』って思ったよ」
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