インキュバスのブランドン・ボイド、RO69独占で昨今のロック・シーンを語る

インキュバス『トラスト・フォール(サイドA)』3月25日(水)発売

今年デビュー20周年を迎え、来週3月4日(水)より大阪と東京で来日公演を行うことが決定しているインキュバス。RO69では、本サイト独占でブランドン・ボイドに一つの質問を投げかけ、答えてもらった。

Q「現在の音楽シーンではロック・バンドに勢いがないと言われることもありますが、それについての考えは?また、そんな時代にあなたたちが果たしたい役割は何ですか?」

ブランドン・ボイド「どのような音楽が作られ、どのような音楽が大多数のリスナーの興味を惹くのか、その要因となるものはたくさんあると思うし、そうした要因には実は音楽とその創作とは特に関係ないように思える要素もたくさんあるんだ。特に社会経済や現時点で一番人気のある特定の薬物などは影響を与えるものなんだよ。たとえば、ロック・ミュージックがその最も典型的な形で人気を博している時期というのは、大麻と幻覚剤が流行の薬物となっていて、住宅や広い空間が手に入りやすい時期に当たるというのがぼくの見解なんだ。ロック・ミュージックというのは、生ドラムとエレクトリック・ギターを使って大音量で演奏するものだから広い場所を使えることが条件になってくるんだよ。ベビー・ブームの後に全国の都市部郊外で住宅地が造成されたというのはロック・バンドの台頭にとって理想的な前提条件となったんだね。インキュバスというのは言ってみれば、カリフォルニアの恵まれた中流家庭とガンジャが人気でよく手に入ったということが間接的な要因となって生まれたバンドだということなんだよ。クリントン大統領の経済政策の賜物だね。

その一方、そうしたことがいろいろあったとして、それに続いて、トレンドとは絶えず変化していくという事実もまたあるわけだね。風が吹けばリスナーがこの美しくも複雑なコースを巡回していくジェットコースターのように舞わされていく、その様子はすごくおもしろいものだよ。そしてぼくが強調したいのは、ロックンロールはこれから先も何度も日の当たる場所に躍り出ていくことになるということなんだ。リスナーの肩を叩いて『俺はいつだってここにいたんだぜ』とか『いつまでもここにいるんだぜ』とかそんな決まり文句を語りかけてくるはずさ。特にぼくたちのカルチャーの中で大麻がレクリエーション的にたしなむ薬物として受け入れられつつあることを考えるとなおさらそう思えるね(※訳注:アメリカ西海岸では大麻の完全合法化もしくは医療大麻や大麻所持の合法化が実現している)。そうやっているうちにまた誰かがこの車輪を発明し直して、ぼくたちもみんなでその新しい音楽的な発明に驚嘆して(と言うと、ぼくたちにはどうしても手を出せないあるもののことを妙に連想させるんだけど)、ロックをやってる人たちはちょっとさみしいことにはなるけど、でも、その後にもまたなんか新しい発明が生まれるんだよ。

ぼくが自分たちは恵まれているなと思えることと、自分たちの自信ともなっていることとして言えるのは、インキュバスには多様性があって、これが音楽の世界ではある恩恵をもたらしてくれているということなんだ。ぼくたちはロック・バンドだけど、あまりにもたくさんのスタイルを取り込んできているから、「伝統的な」と呼ばれることがありえないということなんだ。今の世の中では、音楽も美意識も巨大な単一さの渦へと呑み込まれているようでもある。それだけに、ぼくたちはかなり思いがけないような形で特別な立場に置かれているんだ。ぼくたちは作りたい音楽しか作らないし、作った音楽を愛しているし、これからも企業やカルチャーの情勢に強いられて生まれたようなインキュバスの楽曲なんてものを聴かせることにはならないよ。ぼくたちがソングライターでパフォーマーでもあるから。

というわけで、まとめてみると、音楽とはあるサイクルを追っているもので薬物や経済からの影響から免れられない(し、間接的に影響を受けている)と。あるいはより雄弁にまとめるとこういうことかもしれない。つまり、ぼくにはなにを言っているのかよくわからないし、今朝コーヒーを飲み過ぎたようにも思うし、みんながまた身も心も捧げて愛してくれるような楽曲を書くのにとにかく専念したいということだね」

なお彼らは3月25日(水)に、2011年のアルバム『イフ・ノット・ナウ、ウェン?』以来の新録作となるEP『トラスト・フォール(サイドA)』のリリースを予定している。

ライヴ、リリースの詳細は以下の通り。

●ライヴ情報
<大阪>2015年3月4日(水) 堂島リバーフォーラム
open 18:00 / start 19:00
1F Standing ¥7,200 (税込)
2F指定 ¥7,200(税込) ※一般発売より販売

<東京>2015年3月6日(金) 豊洲PIT
open 18:00 / start 19:00
All Standing ¥7,200 (税込・ 入場時別途ドリンク代)

<東京>2015年3月7日(土) 豊洲PIT
GUEST:MAN WITH A MISSION
open 17:00 / start 18:00
All Standing ¥7,200 (税込・ 入場時別途ドリンク代)

※6歳以上有料 / 6歳未満入場不可
(問)H.I.P. 03-3475-9999 / www.hipjpn.co.jp

<チケット販売>
プレイガイド一般発売中

更なる公演の詳細は以下のサイトで御確認下さい。
http://www.hipjpn.co.jp/live/incubus

●リリース情報
インキュバス『トラスト・フォール(サイドA)』
2015年3月25日(水)発売
UICL-1130 / 1,620yen (tax in.)

1. トラスト・フォール / Trust Fall
2. メイク・アウト・パーティー / Make Out Party
3. アブソルーション・コーリング / Absolution Calling
4. ダンス・ライク・ユア・ダム / Dance Like You're Dumb