6回目の「5月2日」CHABO、陽水、民生らが歌った忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー!

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忌野清志郎の命日である5月2日に開催されるライヴイベント「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 渋谷公会堂 Love & Peace 2015年5月2日」が、昨年に続き渋谷公会堂にて開催された。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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通算5回目、昨年と今年は渋谷公会堂で繰り広げられた、5月2日のスペシャルなステージ。このステージから持ち帰るものは、不思議なほど毎年違っている、ということをRO69のライヴレポートでも書いて来たが、今回ほど「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 渋谷公会堂 Love&Peace」という公演タイトルが、ありのままにストンと腑に落ちたことはなかった。最高の楽曲たちを、最高のミュージシャンが奏で、最高のシンガーたちが歌う最高のショー。その特別な価値と意味を、今になってあらためて思い知らされる一夜であった。

清志郎が愛車に跨がって会場へと駆けつける、恒例のオープニング映像が高揚感を募らせると、“よォーこそ”のあのクールなベースイントロが響いてくる。バンドの華やかなロックサウンドの中にショッキングピンクのジャケットを纏ったトータス松本が登場し、奥田民生も呼び込んでメンバー紹介の歌詞を届ける。《ギター弾くしか のうのない奴さ》はもちろん仲井戸”CHABO”麗市(G・Vo)であり、Dr.kyOn(Key)、湯川トーベン(Ba)、古田たかし(Dr)、そして前線に躍り出てデッドヒートを繰り広げる2人は、梅津和時(A.Sax)&片山広明(T.Sax)のブルーデイ・ホーンズだ。昨年のアコースティックセットも素晴らしかったけれど、この豪華絢爛なバンドサウンドはやはり問答無用に盛り上がる。

トータスがRCサクセションのナンバーでソウルマンとしての本領を発揮すると、続いて登場するのはBRAHMANのTOSHI-LOWだ。以前、居酒屋で遭遇した清志郎に酔っ払って絡み、2時間も一緒に呑んでもらったというエピソード。そして災害復興や非戦に寄せる思いを「あの人なら何を考えて、何を歌うだろう」と告げながら、CHABO、Dr.kyOnと3人で“明日なき世界”を切々と披露した。曽我部恵一は、中学生の時に初めてRCのレコード(『HEART ACE』)を買ったことを振り返りつつ、エモーショナルなヴィブラートで“山のふもとで犬と暮らしている”を届け、浜崎貴司は「ちょっと落ち着きましょうか」と告げながら“いい事ばかりはありゃしない”をじっくり歌い上げるのだが、その直後には結局“JUMP”でまんまとオーディエンスを跳ね上がらせてしまった。

ベストを纏ってすっと姿を見せたのは細野晴臣。HISとしての思い出もあるが、ここでは清志郎との共作で坂本冬美に提供した“幸せハッピー”を、Dr.kyOnのアコーディオンや梅津のクラリネットが絡む無国籍チャンプルー音頭で楽しげに繰り広げてくれる。セットリスト上では触れていないけれども、ここでCHABOはクラリネットとのセッションによるオマケとして、オフィシャル・ブートレグのみ音源化されているRCナンバー“ベルおいで”を、口笛と共に愛おしげに披露。“エネルギー Oh エネルギー”の燃え盛るようなパフォーマンスへと繋いでみせた。

そんなCHABOが「やっと来てくれました!」と紹介するのは、井上陽水である。ソロの弾き語りで、名盤『氷の世界』にも収められた清志郎との共作曲“帰れない二人”を届けると、渋谷のライヴ喫茶「青い森」(RCと古井戸が出会ったことでも知られる店だ)に出演していた頃のディープな思い出を語り(リンコ・「ワッショイ」やら、肝沢幅一やらといった名前が飛び出す語り口がまた楽しい)、当時のRCナンバーでもとりわけ胸に残っているという“忙しすぎたから”のカヴァーを届ける。ちょっと現実感を見失ってしまうほどの、余りに濃密なひとときであった。

昨年と同様、RCを初めて武道館に立たせてくれたことへの感謝の念を交えてCHABOが呼び込むのは、Charである。『県立地球防衛軍』の“かくれんぼ”と“S.F.”を立て続けに披露し、“つ・き・あ・い・た・い”では奥田民生の歌声とCharのギターが激しくせめぎあって上昇線を描き出す。そして、今回のバンド版においても、触れる者の魂を会場ごとまとめて揺さぶってしまうOTシングス“スローバラード”は、やはり圧巻であった。コーラス隊(「おじさんしか出てきません!」と笑わせる浜崎貴司)を交えて賑々しく盛り上がるのは、“トランジスタ・ラジオ”と“毎日がブランニューデイ”だ。

浜崎による「宴会の最後の、乾杯の音頭みたいなやつ、やっていいですか!? OK!CHABO!!」という掛け声を合図に出演者全員集合で繰り広げたのは、もちろん“雨あがりの夜空に”だ。皆に「やって、やって」というジェスチャーで担ぎ出され、ステージ中央で楽しそうにジャンプ一発のフィニッシュを見せてくれたのは、なんと井上陽水であった。ただただ、眼福。その後、スクリーンに映し出されたライヴ映像の中には、渋谷公会堂で“Baby何もかも”を歌い出す間際、平和憲法下の日本が徐々に瓦解しつつある風潮を危惧する清志郎がいた。何度でも思い出すべき思いと歌がある。そんな6年後の、5月2日であった。(小池宏和)

●セットリスト
01. よォーこそ (トータス松本/奥田民生)
02. ベイビー!逃げるんだ。 (トータス松本)
03. ラプソディー (トータス松本)
04. 明日なき世界 (TOSHI-LOW)
05. ドカドカうるさいR&Rバンド (TOSHI-LOW)
06. 九月になったのに (曽我部恵一)
07. 山のふもとで犬と暮らしている (曽我部恵一)
08. いい事ばかりはありゃしない (浜崎貴司/仲井戸”CHABO”麗市)
09. JUMP (浜崎貴司)
10. 幸せハッピー (細野晴臣)
11. エネルギー Oh エネルギー (仲井戸”CHABO”麗市)
12. 帰れない二人 (井上陽水)
13. 忙しすぎたから (井上陽水)
14. かくれんぼ (Char)
15. S.F. (Char)
16. つ・き・あ・い・た・い (Char/奥田民生)
17. スローバラード (奥田民生)
18. トランジスタ・ラジオ (奥田民生/トータス松本/浜崎貴司/曽我部恵一)
19. 毎日がブランニューデイ (仲井戸”CHABO”麗市/奥田民生/トータス松本/浜崎貴司/曽我部恵一/TOSHI-LOW)
20. 雨あがりの夜空に (出演者全員)

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