藤巻亮太、名曲だらけの「旅立ちの日」。レミオの曲も披露したツアー東京公演レポ!

all pics by 関山一也

ミニアルバム『旅立ちの日』のリリースに伴い、2015年5月14日の名古屋公演より『藤巻亮太 TOUR 2015「旅立ちの日」』をスタートさせた藤巻亮太。RO69では、2015年5月15日に行われた東京公演・中野サンプラザホールでのライヴの模様を、ライヴ写真とレポートでお届けする。

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およそ2年ぶりの全国ツアー「旅立ちの日」の中野サンプラザ公演。3年前のレミオロメン活動休止から、衝動を吐き出した1stアルバム『オオカミ青年』のあと、長い沈黙の時を経て、藤巻亮太が帰ってきた。新たな船出となった今回のライブは、全てを受け入れることで一回り逞しくなったソロ藤巻を目の当たりにする感動的なものだった。

この日のステージは5月13日にリリースされたばかりのミニアルバム『旅立ちの日』の楽曲を中心に披露されていった。舞台の中央に立ち、背後からの光を浴びて、真っ直ぐに前を見据えて滔々と歌う“born”。一聴してそれとわかる藤巻の歌声が会場に沁み渡ると、離れていた時間は一瞬でゼロになっていく。

「今回は『旅立ちの日』というミニアルバムのツアーなので……明るく行きたいなと思います。夜明けとか、太陽が昇っていくところを想像して曲順を考えました」。最初のMCでそう語った藤巻。「でも曲が足りないので随所に新曲が入ってます。そんな時はチラッと横を見て『知らないのは私だけじゃない』と思って、盛り上がってください(笑)」と会場を和ませると、これまでのディスコグラフィーや新曲に加えて、レミオロメンのナンバーも織り交ぜながらライブは進んでいった。

この日のサポートメンバーは、設楽博臣(G)、御供信弘(B)、山本健太(Key / ex.オトナモード)、伊藤大地(Dr / ex.SAKEROCK)。ひとりひとりメンバー紹介をする藤巻の口調からもバンドの親密な空気感が伝わってくる。そんな4人の演奏が優しく藤巻の歌声に寄り添ったミディアムナンバー“春の嵐”では、ステージが桜色に染まり、3拍子に揺られてベースの御供が味わい深いウッドベースを奏でた。

《そうだ夜はこんなにも暗い/そうさ外はこんなにも寒い》と、自分を取り囲む現実を確めるように歌った“ing”。2年の沈黙を破り、レーベル移籍を発表したこの曲が生まれたことは藤巻にとって意味深いことだった。前へ進むことを決意した、心の叫びを噛みしめるように静かに聴き入る会場に《I love you》が力強く響き渡る。

「楽しんでいただけてるでしょうか?僕がいちばん楽しんでるかもしれない(笑)」と、中盤。「ソロになってアコースティックとか弾き語りとかいろんなライブをやりました。それは自分の大きな財産です。そうやって音楽は面白いなと思ってるときに、こうしてバンドのツアーに出られて幸せです!」と語ると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。

冒頭のMCを借りるなら、太陽が頂点へと向かう、その様を体現するように会場が熱気に包まれたのが、地元・山梨のサッカーチーム「ヴァンフォーレ甲府」のために作ったアンセム“ゆらせ”だった。「今日イチのグッドバイブレーションを届けてください!」と、藤巻が力強く呼びかけると、客席からは一斉に腕が突き上がる。疾走感のあるロックサウンドに「イェーイ!」と藤巻の伸びやかに放たれていった。

奮い立つようなエネルギーを湛えた新曲を交えながら、ライブはクライマックスに向かった。客席に手拍子を求めた“名もなき道”では、「みんな最高!」と、満足そうな笑顔を見せた藤巻。「よく人生は旅に喩えられたりしますけども。大事なものは心から消えないと思います。魂のふるさとを大事に、明日からもキラキラと生きて行ってほしい」と、少し照れながらも大切なメッセージを伝えると、“旅立ちの日”へと繋いだ。音楽には、迷いも、悲しみも、怒りも、全ての闇を表現する必然がある。だが、最後に人が求めるものは希望であり、光なのかもしれない。そんなことを思う晴れやかなステージだった。

「次にみんなに会うときはアルバムで」と、次の再会を約束したラストシーン。2年という決して短くはない冬の季節を待ち続けたファンがいる、その幸せも感じているのだろう。「みんなの笑顔を忘れないうちに曲を書こうと思います」という言葉を残して、藤巻亮太は「旅立ちの日」ファイナルの地、5月28日 なんばHatchへと向かった。(秦理絵)