今週のRO69ニュースROUND UP:2015年上半期のベスト・アルバム、海外メディアが選んだのは?

今週のRO69ニュースROUND UP:2015年上半期のベスト・アルバム、海外メディアが選んだのは?

2015年もあと数日で折り返し地点に差し掛かり、あっという間に夏フェス・シーズンが到来するこのタイミングで、海外音楽メディアを賑わしているのが2015年上半期のベスト・アルバム・リストだ。ここ1週間で各メディアのリストがほぼ発表になり、1~6月にどんな素晴らしいアルバムがリリースされたのか、改めて話題になっている。

ここでは主要メディアのリストをいくつかご紹介。

まずはUSの老舗「Rolling Stone」が選んだベスト・リスト。順不同で英米、ジャンルのバランスが非常に取れた45枚がセレクトされている。キャリア初の全米1位を獲得したミューズ『ドローンズ』も早速エントリーしている。
http://www.rollingstone.com/music/lists/45-best-albums-of-2015-so-far-20150616

お次はご存知「NME」。ヴァクシーンズやピースといった自国の若手ギター・バンドがエントリーしているのがUKインディ・ギターの牙城であるNMEらしいチョイスで25枚選出。もちろんノエル・ギャラガー、ブラーも盤石。
http://www.nme.com/photos/these-25-albums-prove-2015-has-been-a-blockbuster-year-for-lps-so-far/379997#/photo/26

「Pitchfork」については、リリース時のアルバム・レヴューの採点に則って厳密に数値化されたリストが以下で公表されている。1位はジェイミーXXの『イン・カラー』で10点満点中9.3点!
http://www.albumoftheyear.org/ratings/1-pitchfork-highest-rated/2015/1

USオルタナの最大公約数的メディア「Spin」ではヒップホップやエレクトロへの目配りの一方で、ベト・コンやアメリカン・レスラーズみたいなコアなオルタナ物をしっかり拾い上げて差別化した50枚。
http://www.spin.com/2015/06/50-best-albums-2015-so-far/

音楽他カルチャー・ページに定評がある英紙「Guardian」は、1月から6月までカレンダー形式でリスト化していて見やすい。
http://www.theguardian.com/music/musicblog/2015/may/08/best-albums-of-2015-year-so-far

クラシック・ロック誌「Mojo」はノエル・ギャラガーやボブ・ディランら納得のメンツに加えて、双子デュオ、イベイーからUSプリミティヴ・ギターの新星ライリー・ウォーカーまで、何気に独自色の強いリストに。
http://www.mojo4music.com/19641/20-best-albums-of-2015-so-far/

こう各メディアのリストを総覧して分かることは、とにかく圧倒的な評価なのがビョーク『ヴァルニキュラ』、ケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』、そしてコートニー・バーネットの『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』の3枚。アラバマ・シェイクスやスフィアン・スティーヴンス、ボブ・ディランらも納得の高頻度エントリーになっている。

björk “lionsong”

Kendrick Lamar “King Kunta”

Courtney Barnett “Pedestrian At Best”

また、マーク・ロンソンの『アップタウン・スペシャル』が去年のファレル・ウィリアムス、一昨年のダフト・パンクの系譜に連なる「ポップ」の象徴的一枚として定義されていることがわかる。あと、ブラーの『ザ・マジック・ウィップ』がUK/USメディアの国別差なく評価されているのも印象的だ。

Mark Ronson “Uptown Funk ft. Bruno Mars”

Blur “Ong Ong”

上記のアーティストたちの作品はここ日本でも話題になったアルバムばかりだが、未だ日本には浸透していないけれど海外では非常に評価が高かったアーティストを2組、個人的なレコメンも含めて紹介しておこう。

まずはほとんど全てのリストにエントリーしていたのが、元フリート・フォクシーズのJ.ティルマンのソロ・プロジェクトであるファーザー・ジョン・ミスティのセカンド『アイ・ラヴ・ユー・ハニーベア』。現代に蘇ったグラム・パーソンズとでも呼ぶべきフォークロアでレイドバックしたこの珠玉のフォーク・ポップ集は、新星トバイアス・ジェッソ・Jr.の『グーン』と並ぶ今年上半期を象徴するSSWアルバムだ。

Father John Misty “I Love You Honeybear”

もう一枚はシャミールのデビュー・アルバム『ラチェット』。以前中村明美さんのブログ(http://ro69.jp/blog/nakamura/124803)でも紹介されていた彼、16歳のテイラー・スウィフトを見て「僕もこの子みたいになりたい」と音楽を志したというそのユニークなバックグラウンドがまんまサウンドのユニークさにも反映されている。超絶ポップなハウス、ガラージのヴォーカリストのようでいて、M.I.A.からFKAツィッグスあたりのカッティング・エッジな歌姫の系譜に連なるミクスチャー・アクトでもある。ヴィジュアルも抜群で早くもアイコン化し始めている気配も。

Shamir “Call It Off”

各メディアの上半期ベスト・リストはこの他にもあらゆるタイプのものが公開されていますので、もっといろんなリストを見たい方は「Best Album 0f 2015 so far」で検索してみてください。「so far(今までのところ)」を付けるとチェックしやすいです。(粉川しの)
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