4月にリリースした新作『あくたもくた』を携え、6月より全国ツアー「SAKANAMONワンマンツアー2015 ～あく太もく太の大冒険～」を敢行してきたSAKANAMON。2015年7月24日、その最終公演がZepp DiverCityにて行われた。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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「器用に喋れないからこそ、音楽をやってる。俺らはみなさんのマインドを守る盾になりたい、そんな音楽で勝負していきたいんです」――アンコールで藤森元生 (Vo・G)の放ったその言葉こそ、SAKANAMONというバンドを表すのに相応しいものだった。――4月にリリースされたメジャー3rdアルバム『あくたもくた』を引っ提げての全国ワンマンツアー『SAKANAMONワンマンツアー2015～あく太もく太の大冒険～』のツアーファイナルがZepp DiverCityで行われた。哀愁漂うメロディーに乗った、捻くれているのに真っ直ぐ届く言葉の数々。自分を守ってくれる盾の前では気負わなくてもいいのだと、彼らの紡ぎ出す正直な音に救われた夜となった。

開演時刻の午後7時。SEに合わせて沸き起こったハンドクラップに乗って藤森、 森野光晴 (B)、木村浩大 (Dr)の3人が軽快なステップで登場してポジションにセットすると、“ケセラセラ”でいよいよファイナル公演の幕を開ける！ 「俺についてこい、よろしく！」との森野の強気な掛け声に導かれて“幼気な少女”“ミュージックプランクトン”、さらに“ジリキの迷宮”とハイテンションチューンをノンストップで繰り出していく。自由に手を挙げ、身体を揺らし、歌い、笑い合う。序盤からそんなピースフルな光景が広がる会場の雰囲気は、「ギターより踊りに専念する」という藤森を筆頭に自由で明るいものとなっていた。そして細やかなギターリフが冴え渡る“ぱらぱらり”や、豪快なサイケデリックロックチューン“爆弾魔のアクション　～願い～”を惜しみなく投下していく。お馴染みの自己紹介を挟み、出身地が異なる3人の「東京で大きくなりました」という積年の思いを乗せた“東京フリーマーケット”では、《まだまだ諦めてないんだ》と意地にも似た思いを感情的に歌った。SAKANAMONの紡ぐ歌詞は、ポジティヴとはまた違う。開き直った、という表現が最も近いだろう。ヒーローにはなれない情けない自分にも言いたいことがあるんだという開き直りが、聴き手の心にぐっと入り込んでくる。真っ直ぐに屈折した藤森の性格が生み出す言葉の数々に自分の弱いところを委ねられるのは、彼自身が気負わずに自分を曝け出してくれるからだろう。“TACHNOMUSIC”でマスコットキャラクターである「サカなもん」の被り物を被って奇妙なダンスをする藤森の姿に笑いながら、そんなことを感じた。

そして森野の口から、今回のツアーで初となる“アナログラブ”を披露する旨が告げられると会場からは大歓声が沸き起こり、さらに特別ゲストとしてエキゾチックポップバンド・杏窪彌(アンアミン)からMIN(Vo)が登場！ 愛らしい歌声でアジアンテイストな旋律を淡々と歌うMINの声が、男女の恋模様を時計の針に例えた歌詞の世界を立体的に表現していた。まるで異世界に迷い込んだかのような心地良い浮遊感に浸るのも束の間、次に「聴いてテンションの下がる、一番変なダイエットの曲」と言い放ち“肉体改造ビフォーアフター”を演奏し始めた時には、このバンドの持つ音楽的振り幅に圧倒された。お祭り番長こと木村の全身全霊の「アゲコール」が導いたキラーチューン“マジックアワー”から、本編ラスト“TSUMANNE”の会場一体となった「つまんねぇよ」の特大コールに至るまで、つまんない瞬間なんて一瞬も与えない圧巻のライヴアクトとなった。

そして再度呼ばれたアンコールは、藤森＆木村が森野のことを「暗い」と罵った後の森野の「俺、暗くねぇから！」の叫びに始まったショートチューン“明るいくん”で幕を開け、続けて新曲を披露！ パワフルなのにどこか哀愁を漂わせる、彼ららしいソングライティング技が光るナンバーだ。そして“ハロ”“妄想DRIVER”の2曲で締めくくると、ファイナルに相応しい割れんばかりの拍手喝采が彼らを温かく包み、最高の形で幕を閉じた。(峯岸利恵)

●セットリスト

01．ケセラセラ
02．幼気な少女
03．ミュージックプランクトン
04．ジリキの迷宮
05．ぱらぱらり
06．脳内マネジメント事情
07．爆弾魔のアクション　～願い～
08．スポットライトの男
09．東京フリーマーケット
10．かくれんぼ
11．TACHNOMUSIC
12．アナログラブ
13．肉体改造ビフォーアフター
14．僕の登下校
15．プロムナード
16．烏兎怱怱
17．マジックアワー
18．君の○○を××したい
19．TOWER
20．アリカナシカ
21．TSUMANNE

（encore）
01． 明るいくん
02. 《新曲》
03． ハロ
04． 妄想DRIVER

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