ルー・リードの"ワイルド・サイドを歩け"のモデルとなったホリー・ウッドローンが他界
2015.12.12 18:20
アンディ・ウォーホルのスタジオ、ザ・ファクトリーのメンバーだったトランスジェンダー女性で、ルー・リードの"ワイルド・サイドを歩け"の歌詞のインスピレーションとなったことでも知られるホリー・ウッドローンが12月6日に他界した。享年69だった。
ホリーは夏に肝臓がんを発症していることが判明し、ロサンゼルスのホスピスに移って療養を続けていたとBBCが伝えている。
1946年にプエルトリコで生まれたホリーは本名を、ハロルド・サンチャゴ・フランチェスキ・ロドリゲス・ダンハークルといったが、トルーマン・カポーティの小説『ティファニーで朝食を』の主人公のホリー・ゴライトリーと、60年代に人気のあったテレビのコメディ・ドラマの『アイ・ラヴ・ルーシー』の主人公のルーシーがニューヨークのブロンクス区にあるウッドローンに地下鉄で目指すエピソードにちなんで自身をホリー・ウッドローンと命名した。
生前のザ・ガーディアン紙とのインタヴューでホリーは15歳の時に生まれ育ったマイアミを離れ、宝石を質に入れたお金でジョージア州アトランタまで辿り着き、その先はヒッチハイクでニューヨークにまで出てきたことを語っていた。ルー・リードはその旅路を次のように"ワイルド・サイドを歩け"で綴っていた。
「ホリーの出は、マイアミ、FLA(フロリダ)/ヒッチハイクで縦断したのはUSA/道すがら眉毛を1本ずつ抜いていき/すねを剃りあげ彼から彼女になった/彼女は言うんだ、『坊や、あんたも裏街道を歩いてみない?』ってね」
ザ・ファクトリーのメンバーの一員としてホリーはアンディが製作した1970年の映画『トラッシュ』や71年の『ウーマン・イン・リヴォルト』などにも出演し、そのほかにも多数の映画やドキュメンタリーに出演を果たしている。最近では性転換者を扱ったコメディ・ドラマ『トランスペアレント』にも特別出演を果たしていた。なお、ホリーは性別適合手術を受けるかどうか悩んだものの、1969年には受けないことを決心したという。
ホリーは今年6月に体調を崩して入院した際に脳と肝臓に悪性の腫瘍がみつかり、自宅療養を続けていたが、その後はホスピスに入所していた。ファクトリー時代の仲間だった俳優のジョー・ダレッサンドロは昏睡状態に入ったホリーを見舞った時のことを次のようにフェイスブックで偲んでいる。
「ホスピスに着いてホリーの部屋の403号室に行ったんだ。彼女の傍らに座って語りかけたんだよ。みんながホリーにをいっぱい愛を送っているんだよってね。なんかまるで俺のことを感じ取ってくれているかのようだったよ」