「ゲンキデスカ、トーキョー!」メジャー・レイザー、3年ぶり来日でフロアを完全制圧

「ゲンキデスカ、トーキョー!」メジャー・レイザー、3年ぶり来日でフロアを完全制圧

3月に発表したシングル“Lean On”がついにYouTube再生数9億回を突破、Spotifyでも再生数5億2600万回超の新記録を達成するなど世界的大ヒットを記録中のメジャー・レイザー。同曲を含む最新アルバム『ピース・イズ・ザ・ミッション』を引っ提げ、昨日12月13日、東京・新木場スタジオコーストにて一夜限りの来日公演が行われた。

RO69では、同公演のオリジナル・レポート記事をお届けします。

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【メジャー・レイザー・サウンド・システム @ 新木場スタジオコースト】

3年ぶりとなるメジャー・レイザーの来日公演。今年6月にリリースされたサード・アルバム『ピース・イズ・ザ・ミッション』ならびにその収録曲“Lean On”の爆発的ヒットによって高まり続けていたファンの熱は、本公演の即ソールドアウトをもってすでに証明されていたが、グループとファンが相互にブチ上げ合うパーティ自体の熱狂もまた壮絶なものだった。

定刻の19時を5分ほどまわった頃、フロアが暗転し、スクリーンに「ML」の文字が。そして、すかさずメジャー・レイザーの3人が登場する。高くせり上がったDJ卓にディプロとジリオネアが入り、ステージ前方にはウォルシー・ファイアが4人の女性ダンサーを引き連れている。ゴムのように弾力のある低音にあの独特の上モノがかぶさると、早くもフロアの興奮が沸点を迎える。「メジャー!レイザー!」のコール・アンド・レスポンスもばっちりだ。また、本日非常に効果的だったのが、ダンサーのパフォーマンス。4人に一人一人スポットが当てられてのダンス・リレーや、グループ・ロゴの入った特大旗振りなど、メンバーと遜色ない役割を担っていた。もちろん、メンバーも決して外さない。ディプロが巨大な風船に入りフロアを転がりまわったり、“Roll the Bass”にてオーディエンスを座らせ一気にジャンプさせたりと、1つ1つの演出が興奮のツボに必中しフロアを揺るがしていく。また、パーティの場をもって完成するのがメジャー・レイザーの音楽なのだということを実感させるように、放たれる音も、音源では密室性の高いくぐもった情念が込められていた楽曲が、今日は基本的に享楽性に振り切れた形で鳴らされていた(ディプロがまわすときだけ、そのドロッとした感覚がチラリ顔を見せるのもまたアクセントとして良かった)。受け手から何が求められているのかを正確に把握し、それをマキシマムに表現してしまう。ディプロの知性、恐るべしである。

中盤には、3人が上半身のシャツを脱いだうえで、ダンサーの中の1人である日本人の「サトウ」さんを通訳に、オーディエンスに対しても「上半身を脱いで盛り上がるように」というメッセージが伝えられる。すると、秒速で無数のシャツがオーディエンスの頭上でまわり始める。狂熱に支えられたこのレスポンスの良さ、最高である。その熱を受けたディプロが、今後は「TOKYO」と書かれた蓄光のシャツを着て日本国旗を振りまわし、「ゲンキデスカ、トーキョー!」と煽るのだから、フロアの興奮も一層、天井を軽々突き破ってしまう。約90分のステージで「浮足立っていない時間」というのがほんの数回しか訪れなかったのだが、その数回も、極めて効果的に使われた。例えば、特大のコーラスに包まれた“Get Free”や、繋いだ手が離れていく映像も美しかった“Be Together”などのアンセムで、必ずその直後にシームレスにBPM早めの展開へ繋げ、ジャンプの前のステップとしても機能させていたのだ。単品で「聴かせる」ことも充分に可能な逸品を、である。ダンスホール・レゲエを基調として多彩にリズムを編みつつ、超モダンなサウンド・プロダクションとキャッチーな上モノによってポップに仕上げられるメジャー・レイザーの音楽だが、その端正なフォルムを多少歪ませてでもフロアに燃料を投下しようという志がビシビシ伝わってきた。

スクリレックス・アンド・ディプロの“Jungle Bae”によって高められたムードを引き継いで放たれた終盤のハイライトは、やはり“Lean On”だった。ワン・コーラス分聴き入っていたオーディエンスが曲後半から堰を切ったように踊り出す様は圧巻の一言。ディプロのバズーカ型クラッカーを合図とした紙吹雪の乱噴射でのフィニッシュまで、必殺曲かくあるべし、という一分の隙も無い使い方だった。この曲を終えると、フロア前方に「T」「O」「K」「Y」「O」のパネルを持たせ、7人での記念撮影。これで終わりか、と思うと、名残惜しむように“All My Love”~トゥーツ・アンド・メイタルズの“54-46 Was My Number”をさらに畳みかけ、本当の締めくくり。真冬の東京の温度さえ上げるような興奮と熱狂の90分に幕が閉じられた。(長瀬昇)
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