ブライアン・ウィルソン、痛々しい過去の思い出を片付ける自伝を発表

ブライアン・ウィルソン、痛々しい過去の思い出を片付ける自伝を発表

4月12日からビーチ・ボーイズの名作『ペット・サウンズ』の50周年アニバーサリー・ツアーの日本公演に乗り出したブライアン・ウィルソンだが、自身の過去の記憶が今も痛みを伴うことを語っている。

ブライアンは10月11日に自伝『I Am Brian Wilson: A Memoir』を出版するが、その中で自身と辛い記憶との付き合い方について綴っている。この自伝は、ザ・ルーツのクエストラヴ、パーラメントやファンカデリックを率いるジョージ・クリントンらの自伝を共著したベン・グリーンマンによるもので、ダ・カーポ・プレスより刊行される。

ブライアンは1991年にも自伝と称した『Wouldn’t It Be Nice: My Own Story』を出版しているが、これはブライアンが精神科医のユージーン・ランディによるマインド・コントロールの影響下にあった時期のもので、ランディを美辞麗句で飾り立てる内容になっていた。その後、ブライアンの関係者からは内容の信憑性を疑う発言が相次ぎ、マイク・ラヴやアル・ジャーディーンらのビーチ・ボーイズのメンバーからも名誉棄損で訴えられることになった。その後、ブライアン自身もこの本は自分の伝記ではないとその内容を否定しており、今回の出版についても「ある人におしゃかにされたことがあるから、別な人とやることにしたんだ。どうしてもやらなきゃだめなんだ」と語っていた。

今回公開された内容の抜粋によれば、ブライアンは過去の思い出について次のように語っている。

「ぼくの人生については何度も何度も語られてきているし、ぼくはそれでも構わないと思っている。別に他人に自分の人生について語られてもいいと思ってる。時には事実通りに語られることがあるし、そうでない場合には間違っていることだってある。ただ、ぼくとしては、自分の人生を遡って振り返ってみたりすると、あまりにも痛みを感じることをたくさん思い出してしまうことになってしまう。こういうことについては、時には口にしたくないこともある。時には思い出すのも嫌なこともある。でも、歳を取るにしたがって、こうした痛みはその形を変えてもきている。時々、思い出というのはまったく予期しなかったようなタイミングで蘇ってきたりもする。ひょっとすると、ぼくのような人生を送ってきていると、そのようにしか思い出とは触れ合えないものだからなのかもしれない。兄弟でバンドを始めてそのマネージャーを父親が務め、父がだんだんと気難しくなって、やがては手に負えなくなっていく姿を目の当たりにし、自分自身もだんだんと気難しくなってやがては手に負えなくなっていく姿を目の当たりにし、愛した女性たちが来ては去って行ったのを見届けて、子供たちが自分たちの世界に登場するのを見守り、兄弟たちが歳取っていくのを見守り、そして兄弟たちがこの世から姿を消して行ったのをぼくは見届けてきた。こうした出来事のいくつかが、ぼくの今を形作っていった。ほかのいくつかの出来事はぼくを深く傷つけた。でも、それらの違いや区別がなかなかつかないこともあった。怒りを爆発させた父が、ぼくや兄弟たちに腕を振り上げた時、それはぼくを形作っていたのか、傷つけていたのか、どっちだったのだろう? そうしたことも今となってはすべて思い出となってしまっているが、一度にすべてと向き合うことはできない。それをすべて受け入れていくために、この一生をかけて生きてきたくらいだからだ。今、そんな思い出をすべてこの本に片付けていくつもりだ」
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする