60年代末から70年代にかけての伝説的作品群『イギー・アンド・ザ・ストゥージズ』『淫力魔神』『ファン・ハウス』でガレージ・ロックを極めるところまで極めたイギー・ポップとザ・ストゥージズだが、イギーが主要部分を語り下ろしたザ・ストゥージズの伝記本が刊行される。
版元はジャック・ホワイトのサード・マン・ブックスで、『Total Chaos』というタイトルで今年の冬に出版予定だという。実際の執筆はジェフ・ゴールドとヨハン・クーゲルバーグが行っていて、2日がかりでイギーへの取材を敢行し、イギーがマイアミの自宅に所有しているありあらゆる資料を一緒にひっくり返したという。本ではザ・ストゥージズの輝かしい登場とその後の薬物とアルコールがたたっての凋落、そして、音楽業界から長く締め出された経緯などをひもとき、30年後の再結成やツアー、『ザ・ウィヤードネス』制作についても振り返るという。ゴールドはイギーとの取材について次のように声明で語っている。
「イギーと向かい合って、ストゥージズの物語をダウンロードしてくれる現場に居合わせるのはとても稀有な瞬間でした。イギーはものすごいストーリーテラーで、記憶力も抜群だし、ユーモアも最高に利いていて、おまけになにも包み隠すことはなかったと思います。サウンド、ルックス、ライヴの提示の仕方という意味でストゥージズはパイオニアで、そのキャリアの過程で、パンクというジャンルまで発明し、無数のバンドが彼らの後を追うことになりました。彼らが成し遂げたことはロックの世界では前代未聞でした。これまでロックンロール名誉の殿堂入りしているバンドで、ジューサーをアンプに通し、掃除機やミネラル・ウォーターの空き瓶、ドラム缶を使って演奏を試みたバンドなど、間違いなくこのバンドだけです」
なお、本にはジャック・ホワイト、ジョーン・ジェット、ジョニー・マーらも発言を提供しているという。