【ライヴレポ】グドモよ、武道館の先へ新たな道を描け! 感謝と愛のワンマンツアーファイナル

all pics by 佐藤広理

グッドモーニングアメリカが、4月24日に新木場STUDIO COASTで全国ツアー「グッドモーニングアメリカ TOUR 2016」のツアーファイナルを開催した。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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「また挑戦者として、いろんな壁を乗り越えていきたいです」と、金廣慎吾(Vo・G)はMCで言っていた。昨年11月に開催した初の日本武道館ワンマン公演を経て、この先のグッドモーニングアメリカがどんな風に進んでゆくのか。あの武道館ライヴからおよそ5ヵ月ぶりとなるツアーで彼らが見せてくれたのは、ここから再びの挑戦者として、バンドの新たな歴史を積み上げてゆくのだという強い情熱と決意だった。

ライヴの前には、たなしん(B)によるウルトラクイズ風の早押クイズが行なわれた。選ばれたふたりのお客さんをステージに上げて、出題されたのは「たなしんのお母さんの名前は?」という問題。惜しくも正解は出なかったが、2階席に観に来ていたお母さんが自ら答えを明かすと、一足早い母の日と称して、たなしんが花束と手紙をお母さんにプレゼントするという流れに。ライヴ前、いきなり意表を突くような心温まる余興だったが、それが終わると、いよいよ4人がステージに登場。熱いライヴの火蓋が切って落とされた。

“ディスポップサバイバー”からスタートしたライヴは初っ端からエンジン全開だった。渡邊幸一(G)が強くこぶしを突き上げれば、会場もそれに応えて一斉に腕があがる。その勢いをさらに加速させたのは、キャッチーなメロディが弾む“キャッチアンドリリース”。ステージの上にさらに一段ステージを置いたような高い位置から繰り出すペギ(Dr)のドラムが楽曲をスピーディにリードした。緑から赤へと激しく色を変えるライティングを浴びて届けた攻撃型のロックナンバー“アウトサイダー”まで、冒頭の4曲を一気に駆け抜けると、「今回のツアーで受け取ったものを全部ぶつけて、特別な日にしたいです」と、渡邊。このツアーに賭けるメンバーのただならぬ気合いが伝わってきた。

コミカルなサビのフレーズに会場が一段と湧いた“コピペ”から、金廣のエモーショナルな歌唱が胸を打った“ハローハローハロー”へと、ライヴはセルフタイトルアルバム『グッドモーニングアメリカ』の収録曲を中心に進んでいった。そして、この日披露された楽曲には、《優劣なんか/下らない/誰かの物差しだ》と歌う“アウトサイダー”や、《すっかり飼い慣らされた魂》《突破していこう》と歌う“突破していこう”、《自分押し殺して/居場所を/守ってるんです》と歌う“inトーキョーシティ”など、自分らしく生きられる方法を、どうしても見つけられずいる私たちに、そっと寄り添うための言葉がたくさん詰まっていた。最近は、幸せについて考えるとき、ついつい他人と比較できてしまう環境があるゆえに、自分だけの価値観で幸せを見つけづらいと思うことがある。そんな時代だからこそ、たとえ不器用でも真っ直ぐに、自分らしい生き方を探し求めたいと歌い続けるグッドモーニングアメリカの等身大の音楽は、きっと私たちにとって必要不可欠なのだ。

ライヴの中盤には、4月30日に誕生日を迎える金廣への一足早いお祝いということで、みんなでバースデーソングを歌うと、「恥ずかしいな、これ」と照れ笑いを見せた金廣。クライマックスでは、会場いっぱいに《頑張れ》の声が響き渡った“友よ”から、フロアからのウォーウォーという雄々しい歌声が響き渡った“空ばかり見ていた”へと、とりわけ歌に力のあるエモーショナルな楽曲を披露する流れは圧巻だった。そして、最後に4人が渾身の力を込めて繰り出したドラマチックなナンバー“一陽来復”へ。最初は、金廣がひとりギターを掻き鳴らして歌い、次第に加わるバンドサウンド。生きる意味を探しながら、強く生きようと覚悟を綴った1曲は、この日のライヴの締めくくりに相応しいものだった。

会場からの熱烈なアンコールに応えて、再び登場したメンバーは、すでに長く活動してるバンドならではのエピソードとして、「ファン同士で結婚している人もいる」と切り出した。そして、「健やかなるときも、病めるときも」という意味を持つ、ハートフルなウェディングソング“for better, for worse”をしっとりと披露。ミラーボールに当てた光が会場いっぱいに乱反射するピースフルな空間は、とても温かくて心地よかった。そして、問答無用で昂揚感を掻き立てる“未来へのスパイラル”へ。全23曲のライヴで、彼らが残した熱い想いは、きっとこのライヴが終わったあとも長く胸のなかにとどまり続けるだろう。

この日、グッドモーニングアメリカは念願の主催フェス「八王子天狗祭 2016」を11月5日に開催することを発表した。武道館というバンドにとって大きな目標を達成したいま、新たに見据える目標がそれになる。再びチャレンジャーとして、地に足を着けて歩み出した4人。その姿は、かつてないほどフレッシュで衝動的なエネルギーが満ち溢れていた。

●セットリスト
1. ディスポップサバイバー
2. キャッチアンドリリース
3. 限界を越えて
4. アウトサイダー
5. コピペ
6. 言葉にならない
7. ハローハローハロー
8. 雨ニモ風ニモマケズ
9. 拝啓、ツラツストラ
10. 雨の日
11. ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
12. ビッグバン
13. RPG
14. アブラカタブラ
15. 突破していこう
16. 低気圧の夜
17. イチ、ニッ、サンでジャンプ
18. 友よ
19. 空ばかり見ていた
20. inトーキョーシティ
21. 一陽来復
Encore
1. for better, for worse
2. 未来へのスパイラル

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