【知りたい】『ハリー・スタイルズ』リリース記念、1Dメンバー全員のソロ活動まとめ
2017.05.24 17:10
ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズのソロ・デビュー・アルバム、『ハリー・スタイルズ』がいよいよ本日(24日)日本リリースされる。既に世界中で爆発的ヒットを記録しているこの作品は、1Dのメンバーとしては脱退したゼイン・マリクに続く2人目のソロ・アルバムだ。
ゼインが脱退後の1Dは解散したわけではなく、あくまでも活動休止中(2016年3月〜)ということになっており、各メンバーはその間に活発なソロ活動を次々にスタートさせている。
ボーイ・バンドの「その後」はいつの時代も困難が付きまとうもので、過去にソロ・アーティストとして成功を収めた例はさほど多くない。本物のアーティストになりたい、自分が本当にやりたかったことはこれなんだ、というソロ・ワークにおける情熱が時に「エゴ」と解釈されたり、「アイドル風情になにができるのか」と分かりやすく軽んじられたりと、マイナスからのスタートになることも少なくない。
ハリー自身も出演したTV番組で「ボーイ・バンド脱退後のキャリアには副作用があるんだよね」と、自虐的なジョークを飛ばしていたほどだ。
でも、こと1Dに関しては、今のところどのメンバーも順調に、そしてそれぞれに彼ららしいソロ・キャリアを築きつつある。ここではハリーの新作を筆頭に、5人5様のソロ模様をまとめてみることにしよう。
ソロ・デビュー・シングル“Sign of the Times”がいきなりの壮大なバラッド調ロック・チューンで、デヴィッド・ボウイやクイーンを引き合いに出して語られるなど、ハリー・スタイルズのアルバム『ハリー・スタイルズ』は端的に言うならばロック、フォーク、カントリーといったクラシックな要素を主体としたオーセンティックなボーカル・アルバムということになる。
ただし、この作品で貫徹されているのはどんなクラシックなサウンドに寄ったとしても、常にそれがモダンなポップ・ソングとして成立しているという点だ。
イメージとして最も近いのは、テイク・ザット脱退後、“Angels”の大ヒットで国民的ポップ・スターの座についたロビー・ウィリアムスではないか。ハリーにしてもロビーにしても歌がずば抜けて上手いという前提もあって、王道のポップ・ソングによって王道のポップ・スターになるというのが極めてスムーズな道なのだ。
1Dのファンとその超大衆性を引き受けるソロをやるとしたら5人の中でもハリーしかいないと思っていたが、まさにその期待に応えた堂々たるソロ・デビューなのだ。
リリースから2週間で早くも再生回数2500万回を超えた“Sign of the Times”はこちら。
“Sign of the Times”を聴いて思い出さずにはいられなかった、ロビー・ウィリアムスの“Angels”がこちら。ご参考までに。
ちなみにハリーはトレードマークのロングヘアをばっさり切り落とし、一兵士役でクリストファー・ノーランの新作映画『ダンケルク』に出演するなど、音楽以外にも果敢に新キャリアを開拓しつつある。
しかもいきなり主演に抜擢!などとやって反感を買うことなく、小さな役から地道に役者キャリアを詰み重ねていくあたりに彼のクレバーさが伺える。
ハリーもちらりと登場、『ダンケルク』の日本版予告はこちらから。
1Dメンバーで真っ先にソロ・デビューしたのはもちろん、1Dを正式に脱退した唯一のメンバーである、ゼイン・マリクだ。
ゼイン名義でのソロ・デビュー・アルバム『マインド・オブ・マイン』は、一気にオルタナR&B、ソウル・ポップに寄ったアルバムで、明確に「1Dでは表現できなかった本当の自分」を指し示した内容になっていた。
アルバムのプロデューサーにフランク・オーシャンらとの仕事で知られるマレイを迎え、リル・ウェインやクリス・ブラウン、アッシャーらとのコラボも重ねて今旬なサウンドをがんがん掘り下げつつあるマリク。
文字通りセックスを暗示しているシングル“Pillowtalk”について「1D時代にはこういう歌詞は許されなかった」と彼が語っていたように、1Dを脱退したからこそ花開いたソロ・キャリアなのだ。
“Pillowtalk”はこちらから。
他にもテイラー・スウィフトとのデュエットも話題になった“I Don’t Wanna Live Forever”が大ヒットを記録するなど、キャリアは順風満帆。ゼインの脱退は残念な出来事ではあったけれど、彼が選んだ道は間違っていなかったと思えるのはやはり幸福なことだろう。
“I Don’t Wanna Live Forever”はこちらから。
アルバム・デビューにはまだ至っていないが、ゼインに続いてソロを始動させたのがナイル・ホーランだ。
ナイルのソロ・ワークは、1D時代からアコースティック・ナンバーを好んで歌ってきた彼らしいシンプルなフォーク・チューンで、言わばゼインとは真逆のパターン。1Dから継続した自分らしさをさらに突き詰めてみた、という趣だ。
初のソロ曲“This Town”が昨年9月にアップされた際にはハリー、ルイ、リアムが揃って祝福のコメントを寄せ、ほっこりさせられたのも記憶に新しい。ナイルのソロはメンバーもファンも納得、公認の「ナイルらしさ」ということなのかも。
“This Town”はこちらから。
最新曲はクラプトンへのレペゼンか?というその名も“Slow Hands”。
ゼイン、ナイルに続き3人目のソロ・デビューとなったのがルイ・トムリンソンだ。
昨年末にソロ始動した彼は、スティーヴ・アオキとのコラボ・ナンバー“Just Hold On”をリリースしている。スティーヴ・アオキとのコラボということで予想ができるとおり、思いっきりEDMなダンス・ポップに大きく振りきっている。
しかしこれは彼個人の表現の確立というよりも、1D活動休止中のブレイク、「今やりたいのはこれ」というフレキシブルなチャレンジ期間ということなのかもしれない。
“Just Hold On”のミュージック・ビデオはこちらから。
そしてゼイン、ナイル、ルイ、ハリーに続き、いよいよ最後のソロ始動となったのがhttps://www.youtube.com/watch?v=Vt4Tq89R8u0&feature=youtu.beリアム・ペイン</span>だ。 今月リリースされたソロ・デビュー曲“Strip That Down”はリアム、エド・シーラン、スティーヴ・マックの3人の共作曲。ミーゴスのクエイヴォがゲスト参加している同ナンバーは、1D時代から飛距離を感じさせる新機軸のヒップホップ・トラックだ。 「知ってのとおり僕は1Dだったけど / 今はそこを出て自由なんだ(You know, I used to be in 1D (now I'm out, free))」という一節が同曲の歌詞にあることでファンをざわつかせているが、「本当にやりたかったことはこれ」というメッセージ性において、ゼインのソロに近い意思表明のナンバーと言えそう。 “Strip That Down”はこちらから。 {embed url="http://www.youtube.com/watch?v=13CdKgFiiXQ&feature=youtu.be"} こうしてハリーを筆頭にソロ・デビューで成功を収めている1Dのメンバーたち。 「最低でも1年」と言われていたグループの活動休止は恐らくもっと長引くだろうし、その間に自分たちの独自の道を見つけた彼らが「帰らない」と判断することもあるかもしれない。 いずれにしても、彼らのソロ音源を聴くと、想像以上に破格のポテンシャルを持った「ボーイズ」の奇跡の集合体だったんだなあワン・ダイレクションって……という感慨を新たにせざるをえないのだ。 (粉川しの)