レディオヘッドはなぜ今“I Promise”を『OK COMPUTER』リイシュー盤に封じ込めたのか?

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名盤誕生から20年目の今年リリースされることになった、レディオヘッドの『OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017』。
リマスター×高音質UHQCDという形態で届けられる本作には、シングルB面曲のほか、3曲の未公開音源が収録される。そのうちの1曲として6月2日に先行公開(Spotifyでシングルリリース)されたナンバーが、“I Promise”だ。

“I Promise”は1996年の一時期(レディオヘッドがアラニス・モリセットの「Can’t Not Tour」に帯同していたときなど)にライブ披露されていたナンバーで、つまり『ザ・ベンズ』から『OKコンピューター』へと至る過渡期に生まれた1曲だが、結果的に『OKコンピューター』やその時期のシングルには収録されなかった。

音源は「BBC Radio 6」の公式サイトで聴くことができる。

http://www.bbc.co.uk/programmes/p054mc1l

アコギのストロークにトム・ヨークの若かりし歌声が伝い、幽玄のギターサウンドやシンセサウンドがレイヤーを構成してゆくアレンジ。シンプルだがとても良い曲である。普通のバンドなら迷わずリリースするところだろう。


しかし恐らくこの曲は、ウェットな情緒が強すぎたのだと思う。泣き腫らした後の冷めた達観と決意に通ずるようなこの曲のテンションは、『ザ・ベンズ』までのレディオヘッドには相応しいかも知れないけれど、『OKコンピューター』のデザインに見合うものではなかった。

つまり、今回初公開された“I Promise”は、「残酷なまでのリアリティを斬新なサウンドと共に突きつける」という『OKコンピューター』の目的とバンドの舵取り(それはブリットポップの息の根を止める手続きでもあった)を、逆説的に明らかにしてくれるナンバーなのである。20年を経てこのアルバムを再考するタイミングに最も適したリリースと言えるだろう。

『OKNOTOK』のディスク2は“I Promise”に始まり、未公開曲の中では最も早い時期にライブ披露されていた“Man of War”と、こちらもファンの間では名曲の呼び声高い“Lift”が続けて収録されている。リリースは6月23日。資料価値の高そうな豪華「OKNOTOK BOXED EDITION」なども用意されており、楽しみだ。(小池宏和)
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