ロイヤル・ブラッド最新作、その王道ロックが放つ強烈な魅力とは? 秘密に迫る

  • ロイヤル・ブラッド最新作、その王道ロックが放つ強烈な魅力とは? 秘密に迫る
  • ロイヤル・ブラッド最新作、その王道ロックが放つ強烈な魅力とは? 秘密に迫る - photo by Perou

    photo by Perou

  • ロイヤル・ブラッド最新作、その王道ロックが放つ強烈な魅力とは? 秘密に迫る
  • ロイヤル・ブラッド最新作、その王道ロックが放つ強烈な魅力とは? 秘密に迫る - photo by Perou

「SUMMER SONIC 2017」の最大規模ステージにおいて、ロック・デイと言えるラインナップ(大阪8/19・東京8/20)に加わっているロイヤル・ブラッド。洋・邦楽ロックの怪物たちがズラリと並ぶ中、ザ・ストラッツサーカ・ウェーヴスとともに、UK新世代としてどんな戦い方を見せるのか。ひとつの見所となるはずだ。

先頃リリースされた2ndアルバム『ハウ・ディド・ウィ・ゲット・ソー・ダーク?』での、2作連続UK1位というチャート成績は、サマソニ最大規模ステージにも充分見合うものだ。

Royal Blood - Lights Out (Radio 1's Big Weekend 2017)

マイク・カー(Vo・B)とベン・サッチャー(Dr)という2ピース編成で活動しているロイヤル・ブラッドは、マイクがギター弦とベース弦を張ったショートスケールのベースを弾き倒しながら歌い、ベンのパワフルで生々しい躍動感を備えたビートとコンビネーションを描き出すという、荒々しく野生味溢れながらも実は極めてテクニカルなロックをプレイするバンドだ。ライブ映像を観て貰えれば分かるように、その音圧やグルーヴは決して3〜4ピース編成のバンドにも引けをとるものではない。

ニューアルバム『ハウ・ディド・ウィ・ゲット・ソー・ダーク?』では、タイトルどおりに暗澹と沈む心模様を率直なストーリーとして綴り、ヘヴィ&ダーティーなサウンドと鮮やかにシンクロさせることで、ロックでしかありえない感情表現を行っている。
ハーモニーワークの広がりも、3年前のデビュー作とは比べ物にならないレベルに達していると言っていいだろう。心の重さと音の重さがイコールで結ばれるさまを、例えばアルバム冒頭のタイトル曲“How Did We Get So Dark?”や、“Hook, Line & Sinker”などで確かめてもらいたい。

Royal Blood - Hook, Line & Sinker (Official Video)

ギターとドラムスによるリフのコンビネーションは、ロックの重要な音楽的魅力のひとつだと昔からよく言われる。ロイヤル・ブラッドはそれをベース×ドラムスという変則的な編成で実現してしまっているわけだが、もうひとつ重要な点は、彼らが小節を長めに使った秀逸なリフをデザインしていることにあるだろう。これは、ホワイト・ストライプスの“Seven Nation Army”や“Blue Orchid”などが例としてわかりやすいと思う。21世紀のロック・バンドは、一体感やダイナミズムをキャッチーに伝えるために、そういうアイデアを追求する。“She’s Creeping”や“Hole in Your Heart”で溢れ出す強烈なリフは、ロック史上の名リフと並べても遜色ないものだ。

ロックの魅力を知的に科学的に解析し、ユニークにキャッチーに鳴らすために演奏技術を向上させた上で、ロイヤル・ブラッドのまっすぐに胸元へと飛び込んでくる王道ロックは成立している。今日にロックらしいロックを鳴らし人々を熱狂させることは簡単なことではないけれど、決して不可能なことでもないぞと、彼らは証明しているのだ。(小池宏和)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする