「30代の参考書」をテーマに制作された『サントロワ∴』は、近年、自身の音楽活動について「偶像ではなく、実生活、日常を歌いたい」と語ってきた南條の意志を明確に具現化した1枚。自身に縁のある「3」という数字をコンセプトに置きながら、過去にリリースしてきた2枚のアルバムとのつながりも感じさせる作品となった。
「(1stアルバムの)『東京1/3650』が過去じゃないですか。で、(2ndアルバムの)『Nのハコ』が外側から見た今じゃないですか。って来たら次は未来に行くか――そういうことを思っていたのも相まって、これから生きてくにあたっての30代の参考書、未来につながったのかもしれないです。だから、全部が地続きっていうか。でも、ちゃんと吐き出すべきものを吐き出せたから、こんな透明感でできる環境まで来られたのかもしれないですね」
また、声優活動/ソロでの音楽活動/fripSideというユニットでの音楽活動などを同時並行で行いながらも、本作のような日常的で共感性の高い作品を生み出せた背景には、南條自身のマインドが大きく関係しているという。
「立場とか置かれてる環境はもちろん違いますけど、気持ち的には上京する前の自分のままっていう気持ちなんですよ。昔のままでいられるものならいたいし、普通の生活を送ってるわたしのままでいたいんです」
自身も「今までのどのアルバムよりも手応えを感じられた」と語るこの3rdアルバムは、どのようにして生まれたのか。その足跡を知ることのできる、必読のインタビューだ。